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二角獣は乙女を望む
前編
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地球によく似た世界、エリダラーダ。機械などの電気で動くものがない代わりに、魔法がある世界です。
所謂『剣と魔法のファンタジー』の世界ではありますけれど、なぜか上下水道や道路といったインフラもありますの。百々のつまりは、電気や機械といったものの代わりに魔法や魔力が込められた石――魔石を使っている世界ですわね。
当然のことながら電気やエンジンがありませんから、電車やバス、バイクや車などはありません。
ですので、移動手段はファンタジー世界によくある馬に始まり、騎獣と呼ばれる多種多様な魔物、馬や魔獣を使った通常の馬車や魔獣車、魔法と魔石を使った超高価な貴族御用達の魔法生物の馬車、あとは徒歩です。
そうですわね……ゴーレム馬車がバスに近いでしょうか。
そんなこの世界には大陸が七つあり、その中でも中央に位置する一際大きな大陸であるベスティア大陸。その中心にある国の一つ、ハトゥール国の南にあるティグラート領の領主館のとある一室にて。
「ぁ……っ、んっ、はぁ……っ」
ドレスを着たままベッドの上で声が洩れないようにうつ伏せになり、シーツを握ってとある症状が落ち着くのを待っているわたくしがいます。
あ、申し遅れました。わたくしはティグラート領オークランス公爵家次女のヴィルヘルミーナと申します。成人したての三十歳ですわ。
え? 成人年齢がおかしいですって? それはのちほど説明いたしますわね。
そして地球や電気、電車やバスという言葉からわかる通り、ネット小説で流行りの転生者ですわ。
但し、小説とか漫画とかアニメとか乙女ゲームとかに転生したヒロインや悪役令嬢やモブなどではなく、ごく普通に前世の記憶を持ったまま異世界に転生しただけの存在ですの。
そんなわたくしが住むエリダラーダ世界ですが、各国の文献や歴史書によりますと昔から転生者がいたようで、上下水道や道路、電気の代わりの魔石を広めたのが転生者だったと言われております。当然のことながら、ゴーレム馬車もそうですわね。
かくいう我がオークランス公爵家も何代かに一人、または二人、多い時で三人もの転生者が生まれる確率が高いそうで、数百年前まで平民だった我が家はその転生者の功績により騎士爵から始まり、準男爵、男爵、子爵……と徐々に爵位を上げていき、今や五つある公爵家のうちの一つとなりました。
ちなみに、我が国の爵位は一番下から騎士爵、準男爵、男爵、子爵、伯爵、辺境伯、侯爵、辺境侯、公爵となっております。更にその上に大公爵と王家がありますが、大公爵は王族の方がなる爵位で、生きているうちに王太子様に王位を譲った方がなりますの。
ですので、一代限りの爵位ですのよ。
それはともかく、わたくしは今、非常に厄介な症状に見舞われております。
「あっ、あんっ、は……あぁ……っ」
誰かに触られているわけでもありませんのになぜか身体中が熱くなり、愛撫などのエッチなことをされている状態なのです。しかも、乳輪すらも巻き込む形で乳首が硬く尖っておりますので、ドレスの布地の良し悪しや厚さに関係なく、容赦なくわたくしの乳首を刺激しておりますので、なおさらです。
これをやりすごすにはその快楽に溺れないよう別のことを考えるか、水風呂に入るしかないわけなのですが……。
――溺れないための脳内会話(?)ですが、いい加減この話し方に疲れましたわ。ですので、本来のわたくしの言葉に戻そうと思います。
いえね、我が家では、家族の前では普通に庶民のような会話や言葉づかいが室内で繰り広げられる。何せ元は庶民だ。
しかも、我が家に転生してくる者はなぜか武将が多い。
積み重ねた功績も、『戦争で敵将の首を幾つも獲ったから』という理由で爵位が上がったにすぎない。だから、どうしてもそっち系というか、綺麗な話し方にならないのが現状だったりする。
当然のことながら、外では貴族然とした話し方をしてる。
もちろん、戦争がない時は文官が功績をあげたこともある。ただねぇ……。
騎士や兵士といった武官にしろ、外交や内政をする文官にしろ、なんで我が家の転生者には三国志とか戦国時代に出て来る、歴史に名を残すような人しか転生していないんだよ!
当時のハトゥール国やその周りはいずれも小国で、自国を豊かにしようとあちこちで小競り合いがあった時代。その中でハトゥール国は中央に位置し、尚且つ肥沃な大地を有していたためかよく狙われていたそうだ。
それを踏まえて我が家の家系図を紐解くと、前述の通り初代は平民だった。その時に起きた戦争で、初代は徴兵で一介の兵士となり、武功をあげてオークランスの姓を賜り貴族となった。そこまでは初期や戦争終結時のハトゥール国にはよくある話だが、その後功績を残せずに没落した家も沢山あるそうだ。
けれど、我が家はここからが違って今現在も残っている古い貴族のうちの一つであり、家系図には名前の横に【転生者】と書かれている。しかも、何が得意なのか、どんな功績を残したのかも書かれているので、そういった意味では我が家の家系図は特殊といえるのだろう。
もちろん、転生者がいる家系は我が家だけではないが、不思議とその系統が被る事はない。特に我が家は武将が転生しやすい家系だったようで、きな臭い時代には必ずといっていいほどに転生者が生まれ、功績をあげている。
そんな我が家の初代は愛馬に「赤兎馬」と名付け、剣だけでなく弓が得意だったと書かれているのだよ。
ええ、ええ! 赤兎馬という馬の名前、しかも弓が得意な武将なんて一人しか思いあたらない。なので思わずそれを見た私は叫んだよ!
『何で初代が呂布なんだよ!』
と。まさか、その時の転生者が最強と言われている三国志の武将だなんて思わないじゃないか!
因みに、『三国志演義』に於いて呂布の武器は方天戟、または方天画戟と書かれている。形は西洋のハルバードに近い形状の長柄の武器だけど、正史に於いては当時既に廃れていた武器で、存在しないんだとか。
それはともかく、そんな叫び声を長兄に聞かれたのが運の尽き。それまで転生者だと家族の誰にも言ってなかったんだけど、その叫び声で転生者だとバレた私は家族の前で前世を吐かされた。しかも、私がその時代よりもずっと後の時代の生まれだと知ると、ご先祖様である転生者の、誰がどの時代の人間だったのかをこと細かく聞かれたのだ。
そりゃそうだよね……転生者全員、私が生きていた時代よりも前の人達ばかりだから、それなりに歴史は研究されたり教科書に載っているわけだし。ただ、そんな話はピンポイントでその時代が好きだった事からできたことだ。そういう意味では助かった。というか、何か意図的にこの家に転生させられたような気がしなくもないが。
因みに、長兄と次兄は初代の呂布と同じ時代――しかも戦ったと言った。あえて誰とは言わん――の、姉はサルと呼ばれた人と恋愛結婚した正妻様が前世である。そして私だけが、我が家始まって以来初めての、ごく普通の一般人の転生者だった。そして兄二人と姉は、前世でも夫婦だった人――当然記憶持ちの転生者――を嫁に迎えたり嫁に行ったりしている。ケッ……リア充爆発しろ!
……なんて過去の事を思い出したりしながら身体の反応を逸らしていたんだけど、いつもならとっくに収まっている反応が全く引いてくれず、今日は逆に酷くなる一方だった。
「ああんっ、あぁっ!」
ヤバイ、マジでヤバイ。ちょっと動くだけで乳首がドレスに擦られて、ますます身体の反応がヤバイ。これ以上酷くなったら婚約者に頼るしかないけど今は全然会ってないし、私がどうにかなってしまうしかなさそうだ。それもこれも、全部婚約者のせいだーーー! ……そう思った時だった。
人払いしてあったはずなのに扉の外から何か言い争う声がすると、いきなり扉が思い切り開けられた。誰だと思ってなんとかそっちを見ると、そこには光の加減で永久凍土のような淡いブルーにも見える白い髪を首の後ろで縛った、琥珀色の瞳の婚約者がいた。肌が黒いせいか、妙にその髪の色と瞳の色が似合っているのが悔しい。しかもイケメンだからか、婚約者持ちだというのにモテるし。
私? 父に似てしまったせいか多少整っている程度なのと婚約者の魔力のせいで全然モテませんが何か? つーか、婚約者一筋ですが何か?
そんな婚約者は私の顔と荒い息づかいで具合が悪いと思ったのか、彼は眉間に皺を寄せると慌てて私のそばに寄って来た。そして間近に来て私の中に流れる彼の魔力がどうなっているのか気付いたのだろう……その目に熱がこもり始めた。
けれど、今は彼の顔など見たくもない。たとえ彼しか私の身体の症状を治せなくても。
だからとっとと帰って欲しいものだけど「彼女と二人きりで話したい」と、私の部屋の前にいた両親にそう告げてしまった。
私の婚約者だからか二人きりにしても大丈夫だと判断したらしい両親は、嬉しそうに頷いて扉を閉めてしまった。両親よ、ふざけんな! 今は本当に色んな意味でヤバイんだってば!
けれど、私は貴族令嬢――公爵令嬢である。なんとか身体の反応を誤魔化し、ベッドから起き上がって降りようとしたけど、彼に止められたのでベッドに腰掛けた。それを確認した彼は、パチンと指を鳴らす。
私には全く感じられないけれど、多分防音とか視界を阻害する結界かなんかを張ったんだろう。
まあ、仕方がないよね。私の状態は本当にヤバイし、家族ですら知らない状態だから、知られるわけにもいかないし。どんな話をされるのかわからないけど、背筋をピンとはる。……乳首がドレスの布地を押し上げているのは目を瞑る。どうせ彼にはバレてるだろうし。
「あら、婚約者様。今更何用でございますか?」
「……何故言わなかった」
「……何の事でございましょう?」
「何故、こんな状態になるまで、私に言わなかった、ミーナ!」
「ちょ……っ! やめっ、あああっ!」
怒っている彼の両手が伸びてきたかと思えば、いきなり胸元のドレスだけが引き下げられ、胸だけをあらわにされた。ドレスで擦られ、硬く尖った乳首が刺激されて背中に甘い痺れが走り、思わず声をあげてしまう。
乳だけ出すなんて、なんて器用なんだ、婚約者様。そしてドレスがダメになったらどうしてくれる!
そんな事を考えていたのがまずかったのか、私をベッドに押し倒すと両手で乳首を擦り、硬い乳首を楽しむように捏ね始めた。チラリとその顔を見上げれば、目は完全に乳首に釘付けで……。これアカンやつや、と思った時にはもう遅かった。乳首を捏ねている彼の指先から何かが流れ込んできて、一気に身体が熱くなってしまい、収まり始めていた快楽の波が私を襲った。
「ああんっ! ひぁっ、やぁっ!」
「……話は後で聞く。今はミーナの身体を戻すのが先だ」
「ああ……っ、は、んぁ……っ!」
乳首を指先で挟み、乳房を揉む彼の手が激しくなる。それと共に彼から流れ込んできた何かが身体のあちこちを刺激する。
子宮のあたりから絶えず這い上がる甘い痺れは私をどうしようもなく淫らにさせるようで、彼はそれが嬉しいのか「ふふ……」と笑って手の動きを止めることはないし、更に何かが……彼の魔力が流れ込んでくる。そこまできてしまえばもう私にはなす術はないし、彼によって身体に覚えさせられた愛撫と快楽に身を委ねるしかなく、視界が白く弾けてイかされた私は、そのままブラックアウトした。
***
「気を失ったか……」
達した彼女の身体が震えている。一度達すれば収まる私の魔力がまだ暴れていて、いつも以上に感じているらしい彼女の乳首は相変わらず硬く尖り、しゃぶって欲しそうにその存在を主張していた。
ドレスを捲って秘部に手をやれば、そこは相当濡れていた。……よほど今の状態を我慢していたらしい。これでは、今までのように達せさせればいいという問題ではなくなっているし、少々魔力を流し過ぎたかと思うものの、今の彼女の身体の状態ではこれ以上ここでは何も出来ない。
どのみち婚姻のために彼女を我が城へと連れていかねばならないし、手伝ってもらいたい事もある。
移動中の馬車の中か城で彼女を堪能すればいいかと引き下げたドレスを元に戻して抱き上げ、彼女をベッドへと寝かせた。その後張っていた結界を消してこの家の者を呼ぶと、彼女を連れて城へ戻る事を告げた。
私の名はマティアス・カレヴォ・ハトゥール。一角獣族が暮らす国の王で、ヴィルヘルミーナ・オークランス公爵家次女の婚約者で、前世の記憶を持つ転生者だ。
彼女と出会って十五年。成人した彼女をやっと抱ける事ができると内心で喜びつつ、彼女を抱き上げて馬車へと運んだ。
所謂『剣と魔法のファンタジー』の世界ではありますけれど、なぜか上下水道や道路といったインフラもありますの。百々のつまりは、電気や機械といったものの代わりに魔法や魔力が込められた石――魔石を使っている世界ですわね。
当然のことながら電気やエンジンがありませんから、電車やバス、バイクや車などはありません。
ですので、移動手段はファンタジー世界によくある馬に始まり、騎獣と呼ばれる多種多様な魔物、馬や魔獣を使った通常の馬車や魔獣車、魔法と魔石を使った超高価な貴族御用達の魔法生物の馬車、あとは徒歩です。
そうですわね……ゴーレム馬車がバスに近いでしょうか。
そんなこの世界には大陸が七つあり、その中でも中央に位置する一際大きな大陸であるベスティア大陸。その中心にある国の一つ、ハトゥール国の南にあるティグラート領の領主館のとある一室にて。
「ぁ……っ、んっ、はぁ……っ」
ドレスを着たままベッドの上で声が洩れないようにうつ伏せになり、シーツを握ってとある症状が落ち着くのを待っているわたくしがいます。
あ、申し遅れました。わたくしはティグラート領オークランス公爵家次女のヴィルヘルミーナと申します。成人したての三十歳ですわ。
え? 成人年齢がおかしいですって? それはのちほど説明いたしますわね。
そして地球や電気、電車やバスという言葉からわかる通り、ネット小説で流行りの転生者ですわ。
但し、小説とか漫画とかアニメとか乙女ゲームとかに転生したヒロインや悪役令嬢やモブなどではなく、ごく普通に前世の記憶を持ったまま異世界に転生しただけの存在ですの。
そんなわたくしが住むエリダラーダ世界ですが、各国の文献や歴史書によりますと昔から転生者がいたようで、上下水道や道路、電気の代わりの魔石を広めたのが転生者だったと言われております。当然のことながら、ゴーレム馬車もそうですわね。
かくいう我がオークランス公爵家も何代かに一人、または二人、多い時で三人もの転生者が生まれる確率が高いそうで、数百年前まで平民だった我が家はその転生者の功績により騎士爵から始まり、準男爵、男爵、子爵……と徐々に爵位を上げていき、今や五つある公爵家のうちの一つとなりました。
ちなみに、我が国の爵位は一番下から騎士爵、準男爵、男爵、子爵、伯爵、辺境伯、侯爵、辺境侯、公爵となっております。更にその上に大公爵と王家がありますが、大公爵は王族の方がなる爵位で、生きているうちに王太子様に王位を譲った方がなりますの。
ですので、一代限りの爵位ですのよ。
それはともかく、わたくしは今、非常に厄介な症状に見舞われております。
「あっ、あんっ、は……あぁ……っ」
誰かに触られているわけでもありませんのになぜか身体中が熱くなり、愛撫などのエッチなことをされている状態なのです。しかも、乳輪すらも巻き込む形で乳首が硬く尖っておりますので、ドレスの布地の良し悪しや厚さに関係なく、容赦なくわたくしの乳首を刺激しておりますので、なおさらです。
これをやりすごすにはその快楽に溺れないよう別のことを考えるか、水風呂に入るしかないわけなのですが……。
――溺れないための脳内会話(?)ですが、いい加減この話し方に疲れましたわ。ですので、本来のわたくしの言葉に戻そうと思います。
いえね、我が家では、家族の前では普通に庶民のような会話や言葉づかいが室内で繰り広げられる。何せ元は庶民だ。
しかも、我が家に転生してくる者はなぜか武将が多い。
積み重ねた功績も、『戦争で敵将の首を幾つも獲ったから』という理由で爵位が上がったにすぎない。だから、どうしてもそっち系というか、綺麗な話し方にならないのが現状だったりする。
当然のことながら、外では貴族然とした話し方をしてる。
もちろん、戦争がない時は文官が功績をあげたこともある。ただねぇ……。
騎士や兵士といった武官にしろ、外交や内政をする文官にしろ、なんで我が家の転生者には三国志とか戦国時代に出て来る、歴史に名を残すような人しか転生していないんだよ!
当時のハトゥール国やその周りはいずれも小国で、自国を豊かにしようとあちこちで小競り合いがあった時代。その中でハトゥール国は中央に位置し、尚且つ肥沃な大地を有していたためかよく狙われていたそうだ。
それを踏まえて我が家の家系図を紐解くと、前述の通り初代は平民だった。その時に起きた戦争で、初代は徴兵で一介の兵士となり、武功をあげてオークランスの姓を賜り貴族となった。そこまでは初期や戦争終結時のハトゥール国にはよくある話だが、その後功績を残せずに没落した家も沢山あるそうだ。
けれど、我が家はここからが違って今現在も残っている古い貴族のうちの一つであり、家系図には名前の横に【転生者】と書かれている。しかも、何が得意なのか、どんな功績を残したのかも書かれているので、そういった意味では我が家の家系図は特殊といえるのだろう。
もちろん、転生者がいる家系は我が家だけではないが、不思議とその系統が被る事はない。特に我が家は武将が転生しやすい家系だったようで、きな臭い時代には必ずといっていいほどに転生者が生まれ、功績をあげている。
そんな我が家の初代は愛馬に「赤兎馬」と名付け、剣だけでなく弓が得意だったと書かれているのだよ。
ええ、ええ! 赤兎馬という馬の名前、しかも弓が得意な武将なんて一人しか思いあたらない。なので思わずそれを見た私は叫んだよ!
『何で初代が呂布なんだよ!』
と。まさか、その時の転生者が最強と言われている三国志の武将だなんて思わないじゃないか!
因みに、『三国志演義』に於いて呂布の武器は方天戟、または方天画戟と書かれている。形は西洋のハルバードに近い形状の長柄の武器だけど、正史に於いては当時既に廃れていた武器で、存在しないんだとか。
それはともかく、そんな叫び声を長兄に聞かれたのが運の尽き。それまで転生者だと家族の誰にも言ってなかったんだけど、その叫び声で転生者だとバレた私は家族の前で前世を吐かされた。しかも、私がその時代よりもずっと後の時代の生まれだと知ると、ご先祖様である転生者の、誰がどの時代の人間だったのかをこと細かく聞かれたのだ。
そりゃそうだよね……転生者全員、私が生きていた時代よりも前の人達ばかりだから、それなりに歴史は研究されたり教科書に載っているわけだし。ただ、そんな話はピンポイントでその時代が好きだった事からできたことだ。そういう意味では助かった。というか、何か意図的にこの家に転生させられたような気がしなくもないが。
因みに、長兄と次兄は初代の呂布と同じ時代――しかも戦ったと言った。あえて誰とは言わん――の、姉はサルと呼ばれた人と恋愛結婚した正妻様が前世である。そして私だけが、我が家始まって以来初めての、ごく普通の一般人の転生者だった。そして兄二人と姉は、前世でも夫婦だった人――当然記憶持ちの転生者――を嫁に迎えたり嫁に行ったりしている。ケッ……リア充爆発しろ!
……なんて過去の事を思い出したりしながら身体の反応を逸らしていたんだけど、いつもならとっくに収まっている反応が全く引いてくれず、今日は逆に酷くなる一方だった。
「ああんっ、あぁっ!」
ヤバイ、マジでヤバイ。ちょっと動くだけで乳首がドレスに擦られて、ますます身体の反応がヤバイ。これ以上酷くなったら婚約者に頼るしかないけど今は全然会ってないし、私がどうにかなってしまうしかなさそうだ。それもこれも、全部婚約者のせいだーーー! ……そう思った時だった。
人払いしてあったはずなのに扉の外から何か言い争う声がすると、いきなり扉が思い切り開けられた。誰だと思ってなんとかそっちを見ると、そこには光の加減で永久凍土のような淡いブルーにも見える白い髪を首の後ろで縛った、琥珀色の瞳の婚約者がいた。肌が黒いせいか、妙にその髪の色と瞳の色が似合っているのが悔しい。しかもイケメンだからか、婚約者持ちだというのにモテるし。
私? 父に似てしまったせいか多少整っている程度なのと婚約者の魔力のせいで全然モテませんが何か? つーか、婚約者一筋ですが何か?
そんな婚約者は私の顔と荒い息づかいで具合が悪いと思ったのか、彼は眉間に皺を寄せると慌てて私のそばに寄って来た。そして間近に来て私の中に流れる彼の魔力がどうなっているのか気付いたのだろう……その目に熱がこもり始めた。
けれど、今は彼の顔など見たくもない。たとえ彼しか私の身体の症状を治せなくても。
だからとっとと帰って欲しいものだけど「彼女と二人きりで話したい」と、私の部屋の前にいた両親にそう告げてしまった。
私の婚約者だからか二人きりにしても大丈夫だと判断したらしい両親は、嬉しそうに頷いて扉を閉めてしまった。両親よ、ふざけんな! 今は本当に色んな意味でヤバイんだってば!
けれど、私は貴族令嬢――公爵令嬢である。なんとか身体の反応を誤魔化し、ベッドから起き上がって降りようとしたけど、彼に止められたのでベッドに腰掛けた。それを確認した彼は、パチンと指を鳴らす。
私には全く感じられないけれど、多分防音とか視界を阻害する結界かなんかを張ったんだろう。
まあ、仕方がないよね。私の状態は本当にヤバイし、家族ですら知らない状態だから、知られるわけにもいかないし。どんな話をされるのかわからないけど、背筋をピンとはる。……乳首がドレスの布地を押し上げているのは目を瞑る。どうせ彼にはバレてるだろうし。
「あら、婚約者様。今更何用でございますか?」
「……何故言わなかった」
「……何の事でございましょう?」
「何故、こんな状態になるまで、私に言わなかった、ミーナ!」
「ちょ……っ! やめっ、あああっ!」
怒っている彼の両手が伸びてきたかと思えば、いきなり胸元のドレスだけが引き下げられ、胸だけをあらわにされた。ドレスで擦られ、硬く尖った乳首が刺激されて背中に甘い痺れが走り、思わず声をあげてしまう。
乳だけ出すなんて、なんて器用なんだ、婚約者様。そしてドレスがダメになったらどうしてくれる!
そんな事を考えていたのがまずかったのか、私をベッドに押し倒すと両手で乳首を擦り、硬い乳首を楽しむように捏ね始めた。チラリとその顔を見上げれば、目は完全に乳首に釘付けで……。これアカンやつや、と思った時にはもう遅かった。乳首を捏ねている彼の指先から何かが流れ込んできて、一気に身体が熱くなってしまい、収まり始めていた快楽の波が私を襲った。
「ああんっ! ひぁっ、やぁっ!」
「……話は後で聞く。今はミーナの身体を戻すのが先だ」
「ああ……っ、は、んぁ……っ!」
乳首を指先で挟み、乳房を揉む彼の手が激しくなる。それと共に彼から流れ込んできた何かが身体のあちこちを刺激する。
子宮のあたりから絶えず這い上がる甘い痺れは私をどうしようもなく淫らにさせるようで、彼はそれが嬉しいのか「ふふ……」と笑って手の動きを止めることはないし、更に何かが……彼の魔力が流れ込んでくる。そこまできてしまえばもう私にはなす術はないし、彼によって身体に覚えさせられた愛撫と快楽に身を委ねるしかなく、視界が白く弾けてイかされた私は、そのままブラックアウトした。
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「気を失ったか……」
達した彼女の身体が震えている。一度達すれば収まる私の魔力がまだ暴れていて、いつも以上に感じているらしい彼女の乳首は相変わらず硬く尖り、しゃぶって欲しそうにその存在を主張していた。
ドレスを捲って秘部に手をやれば、そこは相当濡れていた。……よほど今の状態を我慢していたらしい。これでは、今までのように達せさせればいいという問題ではなくなっているし、少々魔力を流し過ぎたかと思うものの、今の彼女の身体の状態ではこれ以上ここでは何も出来ない。
どのみち婚姻のために彼女を我が城へと連れていかねばならないし、手伝ってもらいたい事もある。
移動中の馬車の中か城で彼女を堪能すればいいかと引き下げたドレスを元に戻して抱き上げ、彼女をベッドへと寝かせた。その後張っていた結界を消してこの家の者を呼ぶと、彼女を連れて城へ戻る事を告げた。
私の名はマティアス・カレヴォ・ハトゥール。一角獣族が暮らす国の王で、ヴィルヘルミーナ・オークランス公爵家次女の婚約者で、前世の記憶を持つ転生者だ。
彼女と出会って十五年。成人した彼女をやっと抱ける事ができると内心で喜びつつ、彼女を抱き上げて馬車へと運んだ。
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