オカマ上司の恋人【R18】

饕餮

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泪視点

Bloody Mary ★

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 布団を取りに行くと言うと、圭が一緒にくっついてこようとして「嘘……綺麗になってる……」と、キッチンを見てびっくりしていた。まだ片付けなければいけないとこはあるがこれなら合格と言われ、何とか合格をもぎ取る。遅くまで頑張った甲斐があるというものだ。外野で何か言っているがそれを敢えて聞こえないふりをし、買い物へ行こうと誘う。
 帰ると言う姉たちを圭が引き留め、時間があるならと俺も一緒に姉たちを引き留める。その心遣いが嬉しく、また惚れ直してしまう。「わかったわ」と言ってくれた姉たちにお願いも忘れない。

「じゃあ、荷物持ちお願いね♪」

 との言葉に、四人は盛大なしかめっ面をし、溜息をついた。
 謝る圭に「荷物持ちならいいわよ」と返す姉に、わざと「お圭ちゃんのための荷物持ちに決まってんでしょっ!」と喧嘩をふっかけると、乗って来た。おろおろする圭に充が何か言っているが、聞こえないふりをして言い合いをしているうちに圭が鞄を持って先に出ていき、あとを追いかけるように充も出ていった。

「で? 前嶋さん、なに?」
「泪?」

 突然喧嘩をやめた俺に、怪訝そうな顔を向ける姉。

「これを」

 前嶋から渡されたのは一本のUSBだった。

「調査報告書です。中に全て入っています」
「早かったわね……。でもありがとう」

 USBを受け取ってから書斎のパソコンを立ち上げてUSBを挿し、一度画面に映し出す。そして一度そのUSBを抜くと初期化済みのUSBを挿し込んでコピーをし、姉に渡す。そしてもう一度USBを差し込んで念のため保存し、パソコンの電源を落とした。

「はい、姉さん報告書」
「泪……?」
「見たいなら小野さんか前嶋さんがいる時がいいと思うわ。それを見てお圭ちゃんに対する気が変わったら言ってちょうだい」

 今は買い物が先よと言ってペントハウスを出る。エレベーターを待っていると、前嶋が寄って来た。

「……酷い親も居たもんだ。泪さんはどこでこの話を?」
「お圭ちゃん本人からよ。偶然あのコの傷を見てしまって」
「そうか」

 前嶋はそれだけ言うと、あとは何も言わなかった。ちょうどエレベーターが来たので乗り込もうとしたところで姉たちも来たので、そのまま一緒に乗り込む。下に降りると圭が曲がるのが見え、あとを追うように充も曲がるのが見えた。慌てて追いかけ、何か言おうとしていた充の言葉を遮るように話しかける。

「お圭ちゃん! 置いてくなんてひどいじゃないの!」
「喧嘩してたって、声をかけるぐらいしてちょうだい! 心配するでしょ?!」

 姉弟喧嘩してたと言う圭に怒り、充にもおざなりのお礼を言い、姉にも謝ったほうがと言いかけて結局充も姉に同じように怒られていた。

「あら、間に合わなかったみたいね」

 冷たく言い放つと夫婦喧嘩が始まり、それを完全に無視して圭に声をかけてから手を握ると、こくんと頷いてくれたのでゆっくりと歩き出す。先にどこに行くのかと聞く圭に、敬語をやめないかと提案する。仕事中は仕方がないが「今はプライベートよ? しかもアタシたちは恋人同士じゃないの」と言い、それでも渋る圭に

「じゃあ、お仕置きする?」

 と言うと「やだ」と言ったので、「お仕置きしたかったのに」と冗談を言った。ついでとばかりに何をご馳走してくれるのかと聞く。

「お蕎麦と、ちらし寿司にしようかなと思って」

 その答えに楽しみだなあと思っているところに「他に食べたいのある?」と聞かれ、思わず「お圭ちゃん」と本音が出てしまった。
 真っ赤になって言葉に詰まる圭にそれは追々と言い、すまし汁をリクエストした。膨れっ面になった圭に「あら可愛い♪ じゃあ、奥からね」と商店街の奥へ移動する。
 いろんな場所で買い物をし、最後に布団屋さんに寄って布団を取りに行くが、さすがに膝掛けは置いてなかったので一組は前嶋に持たせ、布団だけ持って帰る。
 ペントハウスに戻り、圭が料理している後ろ姿に妄想を膨らませていると、ちらし寿司と天ぷら蕎麦、浅漬けがプレートになって出て来た。ハマグリのすまし汁を添えて。

 食後のお茶を飲んでいる時に姉の携帯が鳴り、「お仕事入っちゃった」と三人を引き連れ、「ご馳走様」の言葉を残して帰って行った。

 午後は圭と二人で掃除していなかった場所を掃除し、布団も入れ替える。夕食はパスタが食べたいと言うと、商店街には売っていない調味料があると言われた。今度は少し離れたスーパーに行って調味料や食材をきちんと買い込み、ついでとばかりに約束の膝掛けを二枚と「二人でかけましょ♪」とブランケット一枚と、圭のためのヒートテック素材のスパッツを数着買って戻る。
 パスタはミートソースで、卵スープと温野菜サラダも出てきて、かなり嬉しかった。

 圭がお風呂に入っている間に書斎兼仕事場に行き、挿したままの前嶋の報告書を読む。
 頼んだのは圭の事故の報告書だ。血が足りないというのはわかる。何かの拍子でどこかを切った場合、場所によっては出血多量で死にかけるからだ。
 だが、全身に傷があるというのはおかしい。なぜ普通に事故にあっただけで全身に傷ができるのかがわからなかった。だから、悪いとは思いつつ調べた。いずれ穂積サイド……特に姉である瑠香は必ず身上調査をするだろうと思ったからコピーを渡したのだが……。

前嶋さんアイツ……一体どこでこんな写真、を……」

 その写真は、まさに惨状といえるものだった。
 車はどかされた直後だったのかその姿はなかったが、どこかの店舗に突っ込んだのかガラスは粉々に割れ、奥のほうで腕や足を押さえている人が数人と、ガラスが大量に刺さった子供が一人。警察官に押さえられながらもその子に声をかけているのか、泣いている同年代の子が二人、写っていた。

「全身、って……死にかけた、って……!!」

 こういう意味だったのかと胸が痛くなる。

 圭の足の傷は、長さがバラバラだったのを今更ながら思い出す。報告書を読みながら泣きたくなった。そして怒りがわいた。

 こんな大怪我を負ったにも関わらず、生きて戻って来た圭の頑張りに。

 庇ってもらい、命を助けてもらったにも拘わらず、一度も見舞いにすら行かなかったその子供とその両親に。

 誉めるべき行為に憤りをぶつけた、元両親に。

 そして、圭を救いあけだ在沢夫妻に感謝をする。

 怒りを鎮めるために一旦深呼吸をし、もう一度報告書を読み返して意外な苗字を見つける。

「あら、素敵♪」

 そう言ってUSBを閉じ、パソコンから抜いて机の引き出しにしまうとパソコンの電源を落とす。部屋に戻って冷蔵庫を開け、水を出してベッドのヘッドボードに置いて戻ると、ちょうど圭が風呂から出て来た。今朝の『約束』とお仕置きのことを忘れているのかそのまま部屋に行こうとしたので

の挨拶とお仕置きが残っているわよ? お仕置きはあとで……そう言ったでしょ?」

 逃げる間も与えずにそう言って自分の寝室に連れ込んだ。


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