オカマ上司の恋人【R18】

饕餮

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圭視点

Aquamarine

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 翌朝。
 目が覚めたら隣に泪がいなかった。ダイニングのほうから話し声が聞こえるので、電話でもしているのだろう。
 窓に目を向けると陽が射しており、一面真っ白を期待していたのに降った痕跡すら見当たらず、ほんの数分のホワイトクリスマスに少しがっかりしてしまったことに少し苦笑する。
 ヘッドボードに置いてある時計を見ると九時を少し回ったところだったので、慌てて起きようとして体を起こすと股間からとろりと何かが出て来た感触がし、「あっ」と声を上げてしまった。慌ててティッシュを取って拭うと、白濁したものがくっついて来た。
 お風呂を出たあと、私を抱き締めて寝ていた泪が「やっぱり気持ちいい」と言って私の体に手を這わせはじめて胸を愛撫し、横抱きのまま貫きながら愛撫をされたことを思い出した。そして赤面してしまい、次いで青くなる。

「あら、おはよう。起きたのね。……何で真っ赤になったあと、青くなってるの?」
「うわっ?!」

 いつの間に来たのか、泪がベッドサイドに立っていたので驚いた。

「……それにしても、良い眺め♪」
「え……?」

 下を見ると私は裸で、「きゃっ!」と言って前を隠そうとするけれど、「今更でしょ! 寒い、寒い」と胸を掴みながら私を抱き締め、布団に潜り込む泪。

「あんっ……冷たっ! 泪さん、冷たい! 離れて!」
「イヤよ! あ、どうせならこのまま一緒に温まりましょ♪」
「朝からはダメ!」

 コトを始めようとした泪を叩くと、「仕方ないわねぇ……」と言いながらも片手は胸から手を離さず、また私を抱き締める。だから冷たいって言ってるのに……。

「あー、温かい。あ、これから一緒に出かけましょ?」
「出かける?」
「そう。クリスマス・イヴだし、デートしましょ?」
「うん!」

 返事をするとチュッと額にキスを落とされ、そのまま唇にキスをされる。

「ん……ふっ、んんっ」

 朝からはダメだと言ったにも拘わらず、胸をゆっくりと愛撫し始める泪。

「あんっ……、だから、んっ、ダメだってば!」

 ぺしっと泪の手を叩き、怒る。

「もう! ケチ!」
「ケチじゃないです! 出かけるんでしょ?」

 私の言葉にむう、と眉を寄せた泪はしばらく黙っていたけれど、「……わかったわ。でも、あとで覚悟しといてね」とまた唇にキスを落とした。大事なことを聞こうと思っていたのに、結局聞き忘れたと気付いたのは夜だった。


 ***


「デートなんだから、ちょっとお洒落して出かけましょ?」

 そう言った泪に首を傾げつつ、言われた通りお洒落をする。
 私はミドル丈の白いダウンコートにベージュのカシミヤセーター、ダークブラウンのコーデュロイのマキシ丈スカート。その下にはヒートテック素材のスパッツと遠赤外線の靴下にして、靴はショートブーツにしようと決める。
 今日はフレームレスの眼鏡をかけ、髪は途中まで編み込みにしてその部分だけシュシュで括る。シュシュは以前真琴にもらったやつだった。

 泪は、カシミヤの黒いコートとライトグレーのシャツにダークグレーの三つ揃いのスーツ。ネクタイは黒地にシルバーのピンストライプが入ったものをしていた。髪はサラサラのままで、眼鏡もしていない。

「眼鏡は? しないの? それともコンタクト?」
「アレは仕事仕様。伊達眼鏡よ」

 そう言われて驚いた。頬を膨らませたけれどよくよく考えれば、引越しの時も車の運転中も、テレビやDVDを一緒に見ている時も眼鏡をしていなかった。
 騙された気分で釈然としなかったけれど、言ったところで「聞かれなかったから」と言われそうなので黙っていることにした。

「事務所の確認をしてくるから、ちょっと待ってて」
「なにかあったの?」
「最近、泥棒猫がいてね」

 それ以上は言うつもりがないのか、頼んだ人がもうじき来るからここで待っててと言われ、よくわからないながらも頷いて大人しく待つこと数分。

「じゃあ行きましょ?」
「早いね」
「説明だけして、丸投げして来たから」

 そう言って私を促し、プライベート用の玄関から外に出る。
 コーヒーショップに寄ってもらってコーヒー豆や茶葉を買ったり、ウィンドウショッピングをしたり、喫茶店に行ったり。
 泪の頼みで貴金属店に行った時は驚いたけれど、女性店員は知り合いなのか泪といろいろと話しはじめた。店員に嫉妬しつつも昨日の言葉を思い出し、私は二人の会話を邪魔しないよう、ペンダントやピアスが飾られているショーケースを見るとはなしに見ていた。

「何かほしいのがあった?」

 話終わったのか、泪が隣に来てそう話しかけて来た。

「泪さん」
「ほしいなら買ってあげるよ?」

 店内のせいか、言葉遣いは男言葉だ。慣れないせいか、やはりドキドキしてしまう。

「ほしいと言えばほしいんだけど、誕生石と守護石で迷っていて……」
「守護石? そんなものがあるの?」

 横から出された気安い声に驚いてそちらを向くと、先ほど泪と喋っていた店員が驚いた顔をしていた。

「あの……?」
「ねえ、守護石ってなあに?」
「瑠璃姉さんてば……」
「お姉さん?!」

 泪の言葉に驚いてマジマジと女性の顔を見る。言われてれば泪よりも瑠香に似ていた。

「二番目の姉で十コ上なんだ」
「自己紹介はあとでね。で、守護石って?」

 気圧されつつも、守護石とは何かを説明すると、関心したような顔をされた。

「へぇ……そんなものがあるのね」
「知ってる人はあまりいないと思いますよ」

 瑠璃の言葉にそう返す。

「じゃあ、僕と圭だと、守護石は違っちゃうね」
「え? 一緒だよ?」
「でも、月は一緒だけど、圭は二十日だろ?」

 不思議そうに泪にそう聞かれ、そういえば戸籍上の誕生日を教えたことを思い出した。

「私、本当は十九日なんです。産まれたのが夜の十一時半過ぎなので……。で、弟が産まれたのが日付が変わったあとだったんですけど、双子なのに産まれた日付が違うのはおかしいということで、覚えやすい二十日にしたみたいです」

 母子手帳は正しい日付になってますがと教えると、泪は眉を潜めてしまった。

「だから、守護石も一緒です」
「石はなあに?」
「エメラルドとアクアマリンです」
「ふうん……じゃあ、これはどうかしら?」

 話を聞いていた瑠璃がケースからペンダントを出す。ドルフィンリング型のペンダントで、かなり小粒だけれど目に嵌っている石は、少し色の濃いアクアマリンだった。

「うん、もらうよ。姉さん、包んで。あ、やっぱり包まなくていい。着けて帰る」
「ちょっと、泪さん!」
「クリスマス・プレゼント」

 ――アタシへのプレゼントは、圭自身ね。ちなみに拒否権はないから。

 私が何か言う前にそう言われてしまい、どうしよう……と内心慌ててしまった。


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