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3巻
3-3
しおりを挟む「おお、レインボーロック鳥のお肉って、柔らかいのに弾力があって、味も濃くって、とても美味しいです!」
「でしょう? 滅多にドロップしませんから、貴重ですよ」
そう言ってアレクさんも串焼きを頬張っていた。
なんと、レアドロップでしたか!
だから商会や中央にあったお肉屋さんでも見かけたことがないのかと納得した。
ドロップしても、たいていはその場で食べてしまうことが多いから、出回ることはあまりないんだって。出回ってもワイバーンのお肉かそれ以上に高いし、その美味しさからすぐに売り切れてしまうんだとか。凄いなあ。
休憩が終わったのでセーフティーエリアから出て、すぐ近くにある第二階層に下りる階段を目指した。今日はその近くで一泊します!
晩ご飯は松茸ご飯ならぬ、マッツタケご飯とお吸い物。
おかずはシンプルにマッツタケを網で焼いたもの、ブリに似た魚の照り焼き。そしてホーレン草の白和えと少しだけ甘い玉子焼き、キャベツときゅうりを塩もみしただけの浅漬け。
ソラがリクエストしてくれた焼き芋は、デザートの代わりだ。
マッツタケご飯はおかわり推奨なので、おかずはこれ以上出さないことにした。
「「「「……」」」」
〈〈〈〈〈〈〈〈……〉〉〉〉〉〉〉〉
食べ始めたら、全員無言で貪るように食べている。もちろん「超いい笑顔」だ。
これなら大丈夫かと私も食べ始めた。
……うん、日本にいたときは滅多に食べられなかったけど、美味しい。味も香りも抜群です!
みんなしてご飯とお吸い物をおかわりし、たくさん食べた。とっても美味しゅうございました。
焼き芋もほくほくしっとりで、とても甘かった。ソラも気に入ったみたいで、嬉しそうに尻尾を揺らしている。
今日の野営の見張りは、私が最後の順番。
従魔たちがいるとはいえ私一人で大丈夫かな……と不安になったのだけど、結局は何事もなく野営を終え、片づけをして出発です。
昨日同様に第一階層の採取と戦闘をこなしつつ、第二階層へ下りる階段へ向かう。
醤油と味噌は早々に依頼分の採取を達成しているし、羊毛もあと少しで依頼完遂となったところで階段を見つけた。
階段を下りると、そこは鬱蒼と茂った森になっていた。
「イビルバイパーはこの階層からだ。地上だけじゃなく、木々の上からも突然襲って来るから、警戒だけは怠るな」
「「「「了解」」」」
〈エアハルト、右からなにか来るにゃ〉
〈左からも来るにゃ〉
レンとシマが早速警告してくる。
「ちっ、挟み撃ちかよ! リンは従魔たちから離れるなよ!」
それを聞いたエアハルトさんが指示を出してくれるので、従う。
エアハルトさんとアレクさん、ロックとレンが右を、グレイさんとユーリアさん、ロキとシマが左を向いて迎撃態勢を整える。
ソラとユキ、二匹の頭の上にラズとスミレがのって私を護衛し、私はどちらにも魔法とハイパー系や万能薬をかけられるよう、二組の真ん中に陣取る。
すぐに木々がざわざわと揺れ、十メートルはあろうかという大きなヘビ――イビルバイパーが左右両方から一体ずつ現れ、私たちを襲ってきた。
それを見て、ロキとロックがそれぞれに【咆哮】を放つ。
そして私はウィンドウォールを放ち、イビルバイパーが撒き散らす麻痺毒を防ぐ盾を作った。
イビルバイパーは毒と一緒に敵を麻痺状態にする液体を吐き出すから、厄介なのだ。
スミレが蜘蛛糸で二体のイビルバイパーを拘束し、麻痺毒の心配がなくなったところで、みんなで一斉に攻撃開始。
私はウィンドカッターを順番に放ち、怪我をしたみんなにヒールウィンドやハイポーション、またはハイパーポーションをかける。
ソラとユキも、私を護衛しつつフレアランスを放ち、援護している。
それにしても、進化してから、みんなの動きが前以上に凄くなっている。
イビルバイパーはあっという間にその姿を光の粒子に変え、魔石と皮、内臓と鱗、肉をドロップした。
「ふぅ……。リンの従魔たちがいると、本当に戦闘が楽だ。ありがとう」
〈リンを護るためでもあるからな。気にするな〉
〈そうにゃ。それに、同じパーティーメンバーにゃ〉
エアハルトさん、ロキ、レンの会話を聞きながら、ラズと一緒にドロップを拾う。
内臓は貴重なポーションの材料だから私がもらうけど、他のドロップ品はみんなのものなのでパーティー用の麻袋に入れる。
第二階層にはイビルバイパーしか出ないのかな?
さっきから襲ってきてるのって、イビルバイパーだけだし。
なんて考えながら移動していたら、動く木がいた。え? 木が動くの⁉
「トレントだな」
「これはレンたちサーバルキャットの独壇場だね」
〈〈〈〈がんばるにゃー!〉〉〉〉
どうやら驚いているのは私だけで、みんなは淡々と対策をたてていた。
視線の先にいるのは、私くらいの大きさの動く木が四体。トレントという魔物だそうだ。
トレントはじっと木のふりをして、餌になる獲物が目の前を通り過ぎるのを待ち、通り過ぎたところを枝でパシーン! と叩いて横倒しにするんだとか。
獲物が倒れたところで、幹や根っこを刺して体内の液体や魔力を吸うんだって。そうして残るのは、干からびたモノ。……こわっ!
そんなトレントの弱点は火だ。なので、【火炎魔法】を得意とするレンたち一家の出番なのだ。
フレアランスを放った四匹は、一瞬にしてトレントを灰にした。
ドロップは魔石と枝と木材。トレントがドロップした木材はベッドや箪笥、棚に使用される。小さい枝は魔法使いの杖の素材として重宝するんだって。
「わたくしの【火魔法】では、こうはいきませんわ」
〈スキルの熟練度が上がれば、【火炎魔法】になるにゃ。ユーリアならできるにゃ〉
「ありがとうございます、レン」
にっこりと微笑むユーリアさん。レンの言葉が嬉しかったみたい。
ユーリアさんは【火】【風】【土】【水】の四種類の魔法が使えるという。凄いよね。
その才能を活かし一般の騎士から近衛騎士になったユーリアさんは、昔は護衛として、グレイさんと一緒にダンジョンに潜っていたそうだ。
そして、王太子様に二人目の王子が生まれたことをきっかけに、継承権を放棄したグレイさんと二人して冒険者になったそうだ。
そうしているうちにお互いに好きになり、婚約者となったそうなんだけど……
二人は恋愛感情だけじゃなく、お互いに凄く信頼し合っているんだと見ていて思う。
私たちも――私と従魔たちも、お互い信頼し合っているように見えるかな。見えると嬉しい。
そして、いつか私が渡り人だということを『フライハイト』のメンバーに話して、もっともっと信頼関係を築くことができたらいいなあと思った。
そんなことを考えつつも、薬草や果物、キノコの採取をする。
セーフティーエリアの直前でまたトレントに襲われたけど、レンたちが難なく倒し、ドロップを拾って中へと入った。
お昼を食べたあと、ふたつ目のセーフティーエリアを目指し、再出発。
採取と戦闘をしているうちに、私のレベルが上がった。
今回の目標レベルは九十。あとふたつ、頑張りますよ~!
そしてふたつ目のセーフティーエリアに着いたので、夕飯の準備。
あれこれ考え、結局夕飯はポトフとパン、サラダにした。
今日は見張り一番手なので、従魔たちと準備をしつつ、まったり過ごす。
〈リンママ、今日のぽとふってご飯、美味しかった! 帰ったらまた食べたい!〉
「いいよ。帰ったその日に食べる?」
〈うん!〉
〈はんばーがーっていうのも食べたいにゃー〉
〈炊き込みご飯もにゃ!〉
「順番に作るからね、ロック、ソラ、ユキ。だから楽しみにしてて」
〈〈〈うん!〉〉〉
私の周りに集まって、ご飯をリクエストしてくれる子どもたち。周りにも同じように野営をしている人がいるので、話すときは小声だ。夜だし、ダンジョン内だから配慮しないとね。
親たちは伏せて目を瞑っているんだけど、耳や尻尾が動いている。
セーフティーエリア内とはいえ、なにがあってもいいようにしているんだろう。
ラズとスミレはどこかに行っているのか、この場にいなかった。
なかなか戻って来ないなあと心配していたら、交代する時間の直前になって、薬草をたくさん持って帰ってきた。
「どこに行ってたの? 魔物に遭わなかった? 怪我は?」
〈薬草を採りに行ってた〉
〈ダイ、ジョブ〉
「よかった。いっぱい採取してくれてありがとう。だけど、みんなと行動しているんだから、勝手にどこかに行ったりしたらダメだよ? だから、今度から気をつけようね」
〈〈わかった。ごめんなさい〉〉
注意すると頷いて謝罪するラズとスミレ。
私たちだけで行動しているならいいけど、今はパーティーで動いているからね。
もしトラブルになったら、悪く言われるのは主人である私だけではないから、そこはしっかり注意をしておかないといけない。
その後は、どんな薬草が手に入ったのか見せてもらったんだけど……
褒めつつもその種類に内心溜息をついた。今売っているポーションの材料の他に、店には出していない、別のヤバそうなポーションの材料ばかりだったのだ。
教えてないのに、なんで知っているんだろう? 一緒に図鑑を眺めてたからかな。
いろいろと頭を抱えつつ、そろそろ時間だからとテントの外からそっと声をかけると、アレクさんが出てきた。
「なにかありましたか?」
「ラズとスミレが勝手に採取に行った他は、特になにも。二匹にはきちんと注意しました」
「そうですね。注意すること、叱ることは大事ですし。エアハルト様にも伝えておきます」
アレクさんに報告して、自分のテントの中に入る。
今日もロキのお腹を枕にして、みんなで一緒になって眠った。
起きたら、早速ラズとスミレはエアハルトさんに注意されていた。
といってもきつく叱るのではなく、二匹が勝手なことをすると私に迷惑がかかるという、とても優しい叱り方だった。
二匹だけじゃなく、他の従魔たちも真剣に聞いて、頷いている。
本当にいい子ばかりで助かるし、わかってくれて嬉しい。
朝ご飯の支度はエアハルトさん。食後にレモンティーを出されたので、飲みきったら出発です。
これから第三階層へ下りる階段を目指す。
今日もイビルバイパーとトレント、今回初めて出たレッドウルフと戦闘をしつつ、採取。
レッドウルフはとても綺麗な赤色をした毛皮とお肉、爪と牙、魔石を落とした。
レッドウルフの毛皮は染めたり脱色したりして様々なものに使われるそうだ。
特に敷物はあったかいから重宝するんだって。私も敷物にしてもらおうかな。あとで相談してみよう。
何回か戦闘をしているうちに第三階層へと下りる階段が見つかったので、慎重に下りていく。
第三階層は岩肌と低木が広がる場所だった。ここでは主にゴーレムとオーガが出るんだって。
なので、みんなはゴーレムに効果的なハンマーをすぐに取り出せる位置に装備しているし、私は【風魔法】の準備万端です!
「狙うのは青いゴーレムか、赤と金が混じったゴーレムだ」
〈なにか来るぞ、エアハルト。……赤と金のゴーレムだな〉
「ありがとう、ロキ。早速お出ましか」
ロキの警告に、みんながハンマーを装備する。
出た数は三体だ。エアハルトさんの指示に従って、ハリケーンで様子見。
ハリケーンが消えると、腕や足が破壊されたゴーレムが見えた。
そのタイミングで、みんながハンマーを持って一斉に攻撃し、呆気なく戦闘が終了した。
「中級ダンジョンで全体魔法が使えるのは見ていたが……」
「僕は初めて見たけど、ハリケーンでこの威力とはね……」
「わたくしでもここまで威力は高くありませんわよ?」
「どなたに習ったのですか? リン」
私が放ったハリケーンの威力を見て、エアハルトさん、グレイさん、ユーリアさん、アレクさんが次々に質問を重ねてくる。
「『蒼き槍』のアベルさんに教わりました」
「「「「なるほど!」」」」
SSランクに上がったアベルさんの名前を出したら、納得されてしまった。
ユーリアさんによると、アベルさんは本当に凄い魔導師で、冒険者の間でも憧れの存在なんだって。凄い人に魔法の使い方を教わったんだなあ……
「アベルが魔法の使い方を教えること自体が珍しいんだがな」
「そうだね。僕も聞いたことはないかな」
エアハルトさんとグレイさんは、アベルさんとそれなりに親しいらしく、珍しいことがあるものだと驚いている。
「あまりにも私が無駄な魔力を使っているからと、効率的な魔力の使い方などを教えてくださったんです」
その効率的な魔力の使い方をユーリアさんに聞かれたから話したんだけど、それは魔法を扱う人間なら、誰しもが習う方法だという。私は孤児だから魔法をきちんと習ったことはないし、教えてくれたのも薬師の師匠だと言ったら、納得された。
まあ、実際は異世界から来たから本来のやり方を知らないし、アントス様に使い方を刷り込んでもらったから魔法を使えてるんだけどね。
……言えないから黙ってるけど。
「それにしても、リンには【風魔法】の適性がありますのね」
ふいにユーリアさんが言った。
「そうなんですか?」
「ええ。適性があると、その分威力が高まるのですわ。わたくしは四種類の魔法を使えますけれど、特別な適性がないのでリンほど威力が高くありませんの。使える魔法が多い者の弊害とも言えますわね。もちろん、アベル様のように例外的な方もいらっしゃいます。リンはそのまま適性を伸ばしていってくださいませ」
頑張ってくださいとユーリアさんに励まされて、嬉しくなる。
だけど、四種類の攻撃魔法を使えるユーリアさんのほうが凄いと思うし、尊敬する。
ゴーレムのドロップを拾い、ついでにその場にあった薬草を採取した。第三階層は草原や森じゃないから量は少ないけど、それでも多少はあるのだ。
採取を終えたら、移動を開始。
今度は額にふたつの小さな角が生えた、筋骨隆々の魔物であるオーガが二体、現れた。
ロキとロックが【咆哮】を、ソラとユキがフレアウォールを放ち、足止めする。
そしていつものようにスミレが糸で拘束しようとしたら、オーガはすぐに動いてしまった。
「ちっ! さすがはオーガといったところか。リン、全体魔法を頼む、強力なやつを!」
「はい! テンペスト!」
「では、わたくしも。テンペスト!」
〈ラズも! テンペスト!〉
ユーリアさん、ラズと一緒に放ったテンペストが、オーガ二体を包む。三重のテンペストが交じり合い、強力な魔法になって、オーガを襲った。
それに続いて、レンたち一家がフレアランスを、ロキとロックがストーンランスを放った。
すべてが収まったあと、もう一度ロキとロックが【咆哮】を放ち、スミレがすぐに糸で拘束。足止めしたところでエアハルトさんたちが、剣を振るった。
エアハルトさんたちが引っ込むと、今度は従魔たちが爪や牙、魔法で連携するように交互に攻撃していく。その隙間をぬい、私はエアショットやウィンドカッターを放ってみんなを援護し、ポーションで回復。
そんなふうにして何度か攻撃を繰り返すと、オーガは光の粒子となって消えた。
ドロップは魔石と皮と角、そして、大きな剣が一本だ。
紅く光り、真ん中に装飾が浮きあがっているとても綺麗な両刃の大剣だけど……
「これは……! レアドロップだ!」
目をキラキラと輝かせるグレイさん。
「グレイがずっと欲しいと言っていたやつだよな」
嬉しそうな様子のグレイさんを見て、エアハルトさんが笑いながら言った。
「ああ。これも成長する武器でね。今は〝オーガの大剣〟だけど、成長しきると〝オーガニクス〟になると言われているんだ。オーガの剣や大剣自体はよくドロップするけど、成長するものはなかなかドロップしないんだよ」
おお、私の大鎌と同じように成長するのか!
早速とばかりにオーガの大剣を装備するグレイさん。この剣は適性者が装備すると、攻撃力や防御力が上がるようになっていると嬉しそうに教えてくれた。
その後、セーフティーエリアに着いたので一旦休憩。
今日はここで泊まるから、このセーフティーエリアを拠点にして周囲を探索するんだって。
第三階層はあまり採取するものがないから、私自身と大鎌のレベル上げを頑張りますよ~!
オーガとゴーレムを倒しつつ、周囲を歩く。ヒヒイロカネを落とすゴーレムが多くて、みんなが武器を強化するために欲しいと思っていた量があっという間に集まった。
なので一度セーフティーエリアに戻り、今後の予定を話し合うことに。
「ヒヒイロカネはだいたい集まったか?」
「そうですわね。あとはギルドからの依頼分くらいかしら」
ヒヒイロカネの数を数えながら話す、エアハルトさんとユーリアさん。
「僕はオーガの大剣が出たから、必要分以外はみんなに渡すよ」
「あとはビッグシープだけですね。ショーユやミソももう少し採ってもいいかもしれません」
エアハルトさんからの質問を受けて、グレイさんとアレクさんが答えた。
「私はもう少し食材が欲しいです。あと、レッドウルフの毛皮を敷物にしたいんですけど、いいですか?」
「「「「もちろん!」」」」
おお、敷物の許可が下りました!
みんなも欲しいと言い出したので、レッドウルフ狩りが決定した。今から移動したら、レッドウルフが出る第二階層のセーフティーエリアに着くのは夜中になってしまって危険。
なので、今日は第三階層で武器やみんなのレベル上げをしようという話に。
それから何度もオーガを倒したら、グレイさんに続いてアレクさんの双剣、エアハルトさんの長剣、ユーリアさんの細身の剣と、なぜか大鎌まで出た。
【デスサイズ】希少
高名な薬師が戦闘に使っていたという大鎌
希少ではあるが、成長すると言われている
成長すると伝説になる仕様
薬師が装備した場合に限り、ボーナスあり
薬師が装備した場合:攻撃力+800 防御力+800
ヴォーパル・サイズよりもヤバい性能の大鎌だった!
二本も持っていてもしょうがないんだけどなあ……なんて思っていたら、エアハルトさんが両方の武器を合成することができると教えてくれた。そんなことができるのか。
合成する場合は、どちらも同じレベルかランクじゃないとできないから、どちらも最高レベルとランクにしてから合成するといいんだって。
ちなみに性能は高いほうのものが引き継がれたり、上乗せされたりするそうだ。
だから、もう私はヒヒイロカネはいらないのかと思ったら、そうではないらしい。
ひとつの武器や防具には、他の武器や金属を十個まで合成できるとか。
合成した分の性能が上乗せされるので、できる限り合成したほうがいいと教わった。
そういえば、従魔たちにも扱えるような武器ってないのかなあ?
それとなく聞いてみたけど、そういったものはないと言われてしまった。
従魔は自前の爪や牙などの攻撃力が高いから武器は必要なく、代わりに攻撃力と防御力を上げてくれる装飾品があるそうだ。
みんなは強いけど、やっぱり怪我が心配だから、帰ったらそういうものが作れるかゴルドさんに聞いてみよう。
日暮れまでゴーレムやオーガと戦闘し、夜はセーフティーエリアで休んだ。
たくさん戦闘したかいあって、レベルがひとつ上がって、八十九になった。目標まであと少し。
夕飯は乾燥野菜とキノコ、干し肉が入ったスープ。あと、リクエストをもらった、乾燥野菜とたっぷりのキノコを使った野菜炒め。お肉はビッグホーンディアのお肉を薄切りにしたものだ。
ボアのお肉も美味しかったけど、こっちも美味しい!
異世界に来てからいろいろなお肉を食べたけど、どれも美味しいから凄い。
あと食べてないのは羊のお肉くらいだけど……できれば食べてみたいなあ。
だって、日本にいたときも一回しか食べたことないし。
たしか、その一回は会社でよく私の面倒を見てくれていた女性の先輩と一緒に、焼肉に行ったときだ。先輩の婚約祝いで行ったんだよね。なにが食べたいか聞いたら、「焼肉!」と嬉々として言っていたっけ。
そのときに陸自の自衛官だっていう婚約者も紹介してくれるはずだったんだけど、仕事で来れなくなっちゃったんだよね。会ってみたかったなあ。
先輩が結婚してすぐに会社が倒産して、私もこの世界に来てしまったから、彼女がその後どうなったのかわからない。元気でいてくれて、幸せならいいなあと思った。
今日は野営の見張りがないから、ゆっくり眠れる。
ただ、ラズが沈んだような顔をして俯き、溜息をついているのが気になる。
体調でも悪いのかと思って声をかけたんだけど、大丈夫としか言わないんだよね。
珍しくレンが枕になりたいと言ったので、ラズを心配しつつ、レンを枕にみんなに囲まれながら眠りについた。
ロキとは違う種類の、これまたふっかふかな毛並みでした。
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