転移先は薬師が少ない世界でした

饕餮

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7巻

7-1

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   プロローグ


 リンこと私――鈴原すずはら優衣ゆいは、ハローワークからの帰り道、アントス様という神様のうっかりミスで、異世界――ゼーバルシュに落ちてしまった。
 日本には戻れないことを聞いた私は、アントス様からお詫びに授かったチートな調薬スキルを活かし、薬師としてポーション屋を営むことになったのだ。
 異世界に来てからは、私が想像していなかったような出来事がたくさんあった。
 まずは、従魔じゅうまたちの存在だ。クラオトスライムのラズに、クイーン・スモール・デスタイラントのスミレ。親子である星天狼シリウスのロキとフェンリルのロック。同じく太陽の獅子ソル・レオンのレンとユキ、月の獅子ルナ・レオンのシマとソラという四匹の家族、従魔たちの眷属けんぞくとなった元ココッコたち。
 みんなとても可愛くて頼もしい私の家族だ。
 それから、私の良き理解者であり、婚約者となったエアハルトさんがリーダーを務める『フライハイト』に、ドラゴン族のヨシキさんがリーダーを務める『アーミーズ』のみなさん。
 エアハルトさんに告白されて、恋人になって、婚約者になって。日本にいたときにはまったく考えられなかったことが起きて、嬉しいやら恥ずかしいやら……
 いろんな出来事があったけど、一番大変だったのは、アントス様から世界中の大陸がスタンピードの危機にさらされていると聞いて、ポーション作りで協力をしたこと。
 スパルタポーション作りについていくのが大変だっただけではなく……
 アントス様がスタンピードの件を神託として告げた結果、ひょんなことから王様と宰相様、エアハルトさんの弟で次期侯爵様である騎士団長のロメオさんに、私がわたびとであることを伝えたりもしたのだ。ちなみに、新たに宰相様が後ろ盾になってくださった。
 そんな面倒……いや、鬱陶しい……いやいや、大事おおごとになってしまったが、強力な後ろ盾はいくつあってもいいと王様に言われたので、諦めている。
 そんなこんなで、日々は瞬く間に過ぎていくわけで……
 なんだかんだと異世界に来てから二年が経ち、みんなとの素敵な出会いのおかげで楽しく充実した日々を送っている。


 スタンピード関連のあれこれも終わり、一週間後に長期間の休みが来る。だというのに、今日は婚約したことを話すため、ガウティーノ家に向かっているのだ。
 私たちだけでなく、グレイさんとユーリアさん、ユーリアさんの実家であるユルゲンス家の面々もガウティーノ家に来るという。
 エアハルトさんによると、ガウティーノ家とユルゲンス家の人々が全員王都にいることは珍しいんだって。だから、長期間の休みに入る前にはやく知らせたかったみたい。
 今は社交シーズンだからほとんどの貴族が王都にいるけれど、中央で役職を持っている貴族はともかく、そうでない貴族は社交シーズンが終わったら領地に帰ってしまうらしい。
 特にグレイさんはまだ役職についていないので、シーズンが終わったら領地に帰るみたいだし。
 ユルゲンス家は役職はないけれど、領地が王都の近くだからいつ帰るかわからず。
 ガウティーノ家は当主の交代はまだだけれど次期当主が騎士団長という役職持ち。それに加えて、現当主である侯爵様はすぐに領地に帰る予定になっているという。
 つまり、関係者全員が一堂に会するタイミングはとても貴重なのだ。だから余計に急いでいると、エアハルトさんが言っていた。
 私がおよばれされている表向きの理由は、後ろ盾としての確認。元気でやっているか、不都合はないかとお話しするためにお茶会に招かれた形だ。
 そんな高位貴族ばかりが集まるお茶会に招かれ、ドキドキしている。
 お土産にチーズタルトとイチゴタルト、レモンピール入りのパウンドケーキを用意したうえで、お持ち帰り用にフィナンシェをたくさん用意。フィナンシェはこの世界にもあるから、「レシピ!」と言われることもない。フィナンシェの中身はナッツと干しブドウにしてみた。
 ただね……お茶会自体もドキドキだが、なによりも婚約の報告に緊張している。
 私は平民なんだけど……いいのかなあ。しかも〝渡り人〟というおまけつき。
 侯爵様たちにも話したほうがいいのかエアハルトさんに相談したら、「それは優衣に任せる」という言葉をいただいた。丸投げされたともいう。
 まあ、侯爵様たちは私の後ろ盾としてよくしてくださっている方たちだし、口が軽いというわけでもなさそうだし……グレイさんや団長さん、宰相様にも話しているんだから、両侯爵家にも話さないとダメだろうなあ……とは思っている。

「リンが決めたことに、反対はしない。だが、リンを拒否するようであれば、俺は両親を見限る」

 眉間に皺を寄せ、厳しい目つきでそう話すエアハルトさん。

「そんなことをしたらダメですって」
「ちっともダメじゃない。応援すると言った口で拒否するというのは、掌返しをするのと一緒だ。そんなことをする貴族は信用されない」

 仕事もそうだからエアハルトさんの言うことはわかるけど、やっぱり血の繋がった親子で仲違いしてほしくないなあ……
 できるだけいい方向に向かってほしいな。……甘い考えかもしれないけどね。
 ちなみに今はガウティーノ家が馬車を出してくれたので、それにのって移動中。
 今日は侯爵様の執事である、ドラゴン族のフォルクスさんと、細マッチョな人――アキムさんが御者ぎょしゃをしてくれている。アキムさんはガウティーノ家の警備担当の人なんだって。魔神族で、身のこなしがとても凄い人だ。

「まさか、アキムが御者ぎょしゃをするとはな……」
「フォルクス様だけではなく、リンとエアハルト様の護衛でもありますからね」
「そ、そうか」

 アキムさんを見たエアハルトさんはギョッとした顔をしたあと、すぐに溜息をついた。
 そしてこっそり教えてくれたのは、アキムさんは私がガウティーノ家にお世話になっていたときに天井に張り付いていた人たちの頭領なんだってこと。
 だから、身のこなしが凄かったのか。納得した!
 今日の護衛はロキとスミレ、シマの眷属であるベルデとアビーの夫婦。二羽ともズーという種族で、スミレ以外は小さくなって一緒に馬車の中にいる。
 馬車の中でエアハルトさんと話し合い、婚約の話はエアハルトさんがしてくれることになった。
 そして私が〝渡り人〟であることも話してもらうことにした。強力な結界を張ることも考えて、ロキを連れてきたってわけ。
 うー……ちょっとドキドキしているんだけど、大丈夫かな。
 私は根っからの平民だし、エアハルトさんは貴族籍を抜けたとはいえ、侯爵家の長男だ。普通に考えれば、身分違いもいいとこだよね。
 そんな気持ちが顔に出ていたんだろう。私を安心させるように頭をポンポンと軽く叩くエアハルトさん。

「そんな顔をするなって。絶対に大丈夫だから」
「……本当ですか?」
「ああ。ガウティーノ家はどうかわからないが、グレイたちグートシュタイン家は確実に俺たちを祝福する。自分たちよりも格上の公爵家が賛成したとあれば、気持ちはどうであろうと祝福をしてくれるさ。ユルゲンス家も反対する理由はないだろう」

 侯爵家嫡男に平民が嫁ぐとなると、身分的な問題でユルゲンス家もグレイたちも反対するだろうけどな、と言ったエアハルトさんに、つい「おおう……」という言葉しか出なかった。
 そしてグレイたちは優衣を妹と言ってはばからないし……と言って、ニヤリと笑ったエアハルトさん。グレイさんたちにも一緒に話をするというのは、確信犯でしょ!
 これだから、元とはいえ貴族って怖いよなあ……と思った。
 そんな話を聞いたり、どんな結婚の証の腕輪がいいか話し合ったりしているうちに、ガウティーノ家に着く。フォルクスさんが馬車の扉を開けてくれた。
 今日の装いは、マドカさんいわくエンパイアワンピース。ハイウエストになっていて、切り替え部分にギャザーが入っているものだ。色はターコイズグリーン。
 スカートの中にスミレが織った布で作った黒いタイツもどきを穿き、上にベージュのボレロを着て、その上にコートを着ている。どれもマドカさんが作ったものだ。
 とても可愛いデザインだけど、色の関係でシックな印象を受ける。
 鞄は小さなクラッチバッグで、マジックバッグになっている。作ったのはライゾウさんだ。
 というか、いつの間に作ったんだろう? そのことに驚いたよ!
 そしてエアハルトさんは、貴族の装いで来ている。普段のカジュアルな格好や騎士の格好も素敵だったけど、今日はもっと素敵でカッコいい!

「じゃあ、行こうか」
「はい」

 馬車の外から差し出された手を掴み、エスコートされながら馬車から降りる。こういったことをされると、自分がお姫様になったような気分になるから不思議。
 だけど不安もあるからやっぱりドキドキしてて、口から心臓が飛び出そう!
 フォルクスさんの先導で玄関へ行くと、大きな観音開きの扉を開けてくれる。
 その先にオースティンさんが待っていたので、お土産に持ってきたケーキを渡すと、喜んでくれた。それだけでホッとできて、ちょっとだけ肩の力が抜けた。
 近くにいたメイドさんにケーキを渡したオースティンさんに、サロンへ案内される。多少力が抜けたとはいえ……き、緊張が最高潮だよ~!
 中に入ると既に全員揃っていて、遅刻したかと思って慌ててしまった。

「遅れてしまいましたか?」
「いや、大丈夫だ。素敵な装いだね、リン。さあ、席に着いて」

 エアハルトさんが質問してくれたけど、遅れていないと侯爵様に言われて胸を撫で下ろす。
 それに、侯爵様たちが服を褒めてくれた。ドレスみたいな正装じゃないから大丈夫かなって心配していたんだけど、よかった~。
 私たちが席に着くと、ワゴンを押したメイドさんと一緒にオースティンさんが入ってきた。紅茶こうちゃと一緒に切り分けられたケーキが配られる。何人いるかわからなかったから三ホールずつ持ってきたんだけど、足りたようでよかった!
 ちなみに、人数はロキたち従魔を含め、十二人いる。紅茶こうちゃはストレートのようで、ミルクとはちみつが用意されていた。自分の好きなスタイルで飲んで、ということみたい。ミルクも温められているようで、仄かに湯気がたっている。
 まずは和やかな雰囲気の中で私の近況報告、それからエアハルトさんから私と婚約をしたという話。グレイさんとユーリアさんとガウティーノ侯爵夫妻は満面の笑みで祝福してくれたけど、ユルゲンス元侯爵様と現侯爵様が難しい顔をしている。
 え、もしかして反対されるんだろうか。確かに、私は平民だけど……
 ちょっとオロオロしていたら、それに気づいたエアハルトさんが手を握ってくれた。

「なにか不都合でもありますか?」

 少し怒っているのか、珍しいことにユルゲンス元侯爵様を睨み、低い声で質問するエアハルトさん。

「いや、リンとエアハルトが婚姻すること自体は嬉しいし、応援している。だが、不都合というよりも……リンが貴族の中で生活できるかどうかが心配なのだよ」
「ああ、なるほど。俺が、いえ私が平民になったことはご存じでしょうか?」
「「は?」」

 エアハルトさんの発言に、ユルゲンス家の二人が面食らった顔をしている。
 これはまだ他の貴族にも伝わっていなさそうだなあ……
 それはエアハルトさんも察したようで、怒りを収め、苦笑している。

「陛下への報告はかなり前にしております。そして、侯爵家に戻るつもりもありません。私は冒険者として生活することを選んだので」
「そうか……」

 とても寂しそうな顔をした、ユルゲンス家の二人。ガウティーノ侯爵様も寂しそうだ。
 貴族として生活するには、自分はなにかが欠けていると話すエアハルトさん。
 ガウティーノ侯爵様は既に聞いたことがある話だからか頷いていたけれど……ユルゲンス侯爵家のお二人は、小さく溜息をついたあと、笑みを浮かべた。

「そういう事情であれば何も問題ない、祝福しよう。ただし、リンを不幸にしたら許さない」
「わかっております」

 元侯爵様の宣言に、力強く頷くエアハルトさん。カッコいいなあ!
 それからまた和やかにお茶会をしたあと、ロキに結界を張ってもらってから私に関する爆弾が投下される。グレイさんとユーリアさん以外はあんぐりと口を開けて、固まった。
 そして私から、どういう状況でこの世界に来たのか話すと、異口同音いくどうおんに「アントス神はなにをしていらっしゃるのか!」と嘆き、溜息をつく。

「陛下はご存じであらせられるか?」
「はい。宰相様にもお話ししました。その関係で、後ろ盾にもなってくださいました」
「そうか。では、我らがどうこう言う必要はないな。いざとなったら、宰相殿も交えて話をすることにしよう」
「陛下に二人の婚姻のことを伝えてもいいかね?」
「はい」

 ガウティーノ侯爵様と、ユルゲンス侯爵家から王様たちに伝えると言ってくれてホッとする。王様と宰相様に、結婚することをどうやって伝えようかなあって悩んでいたんだよね。このあと、グレイさんに相談しようと思っていたから。
 今までいろんな貴族に出会って、迷惑をかけられ嫌な思いもした。
 だけど、今この場にいる方たちは貴族という地位に胡坐あぐらをかいたり、私に対し権力を笠に着た高圧的な態度をとったりしたことはない。本当に気さくな方ばかりだ。そういう意味では、私は恵まれた環境にいると思う。
 ……きっと、神様たちがくださった御守りや加護のおかげもあるんだろう。
 帰ったら神棚かみだなに手を合わせ、感謝を捧げよう。
 そんなことを考えているうちに、いつの間にか雑談に変わっていた。
 それに交じってあれこれとお話しして、お土産にとフィナンシェを渡す。ユルゲンス家の女性たちは今日、別のお茶会に招かれていたため、ガウティーノ家に来られないことを残念がっていたそうで、このお土産はとても喜ぶだろうと言ってもらえた。
 たくさん作ったから、みなさんで食べてくださいませ~。
 そんなこんなでお昼もご馳走になり、陽が暮れる前に家に帰ってきた。
 二週間の休みはどこに行くのかな。今から楽しみ~!


 翌日。夕方だというのに現在、母と一緒に『アーミーズ』の馬車に乗って、ガウティーノ家に向かっている。昨日会ったばかりだというのに、また来てほしいと懇願されたのだ。
 さて、どんな要件なのかな?
 まさか、エアハルトさんとの婚約を取りやめてくれ……とかだったら嫌だなあ。そんな考えが顔に出ていたのか、母は私を安心させるように頭を撫でる。
 うぅ……そんな歳じゃないのに!

「わたしも呼ばれたんだもの。そんなに心配しなくても大丈夫じゃないかしら」
「そうなんですかね……」
「大丈夫よ。いざとなったらこの国から出ていけばいいのよ」
「はは……そうですよね」

 わたしたちは冒険者でもあるしねぇ……なんて真っ黒い笑みを浮かべた母に、もし本当にダメだと言われたら母が一戦交えそうだと、なんとなく安堵あんどする。
 ちなみに、母の護衛兼御者ぎょしゃはヨシキさん。私の護衛として、スミレとユキ、ロキの眷属でガルーダのカーラがついてきている。ユキとカーラは小さくなってるよ~。
 そんな話をしているうちにガウティーノ家に着いたので、門番に名前を告げて門を開けてもらうと、そのまま中へと通された。
 玄関にいたのは、昨日に引き続きオースティンさん。連日お邪魔してすみません!

「いらっしゃいませ。ご案内いたします」
「「ありがとうございます」」

 微笑みを浮かべて案内してくれるオースティンさん。案内された場所は、応接室のような部屋だった。
 中で待っていたのは、にこやかに笑みを浮かべた侯爵夫人。全員に紅茶こうちゃが配られると、さっそくお話です。

「ごきげんよう。呼びつけるようなことをして申し訳ありませんわ」
「構いません」
「そう言ってくださると嬉しいわ。それでね、今日来ていただいたのは、婚姻式の衣装のことについてお話ししたかったからですの」

 反対します! じゃなくてよかった~!

「なるほど。それで母親であるわたくしも一緒に、ということでしたのね」
「ええ」

 おおう、母がわたくしと言ってるよ~。さすがは元貴族!
 というか、なんか探り合いをしているような……。なんで? もしかして、衣装の件で?

「それでしたら、こちらで用意いたしますから、なにも問題ございません」

 母が微笑みながら告げる。

「あら。伝手つてがあるのかしら」
「ええ。わたくしの故郷になりますけれど、ギレッセン家の方と懇意こんいにしておりますの。そして、ヴェッセル家とも」
「え……ギレッセン家とヴェッセル家、ですって!?」

 ギレッセン家とヴェッセル家という言葉に、とても驚く侯爵夫人。高位貴族が驚くほどの家なのかな。私が不思議そうな顔をしていたからなのか、母が説明してくれた。
 ギレッセン家はドラール国の伯爵家で、服飾関係にとても強い家だそうだ。ドラール国の王妃様に献上できるほどの、素敵なドレスを作れる腕前なんだとか。流行の最先端をいく家で、常に新しいドレスをお披露目しているんだって。
 そしてヴェッセル家は上質な布地を扱っていることで有名で、その布地をあちこちの国に輸出しているんだとか。当然のことながらアイデクセ国でも輸入していて、王妃様も侯爵夫人もヴェッセル家から購入した布でドレスを作っているそうだ。
 おお、凄い! そんな人が知り合いにいるのか~なんて思っていたら。

「うふふ。ギレッセン家はマドカの実家なの。だからいつも服が素敵でしょう?」
「え……マジですか!」
「ええ」

 まさかのマドカさんだった!
 おおう、マドカさんの服はいつも素敵だなあって思っていたら、ファッションリーダー的なおうちが実家だったのか!

「マドカ様とは、どなたのことかしら」
「マドカはわたくしたちのクランに入っている女性で、ギレッセン家の三女ですわ」
「まあ……。あら、ならば、昨日リンが着ていたのって」
「はい。マドカさんが作ってくださったものです」
「まあ! とても素敵な服だったと伺ったから、どなたに作っていただいたのか、尋ねようと思っていたの!」

 侯爵様が公爵夫人にお話ししたのかな。素敵な服だったもんね。

「ヴェッセル家はわたくしの実家でございます。ですので、なんの心配もございませんわ」
「まあ! まあまあまあ! では、ヴェッセル家から薬師になったという噂の方は、貴女かしら」
「ええ。わたくしは不器用で、機織はたおりが下手でしたの。その代わり得意だったのが、調合でした。布を染める色の調合は、すべてわたくしがやっておりました」
「そうでしたのね」

 まさか母までそんな凄いおうちの人だとは思わなかったよ!
 あとで父とどんな出会い方をしたのか、聞いてみよう。

「実は、既にドレスのデザインをいくつか用意しておりますの。ご覧になりますか?」


「ええ! このような機会ではないと直接拝見できませんもの! 是非お願いいたしますわ!」

 嬉々として返事をした侯爵夫人に母が嬉しそうに頷くと、マジックバッグからいくつかのデザイン画を出し、侯爵夫人に見せる。
 ここはこうで、切り替え部分はここで……と、少女のようにはしゃぐご婦人方。
 ……デザインに疎い私にはさっぱりわからなかった、とだけ言っておこう。
 一応意見を求められたので、シンプルな装飾のものでいいと話した。
 プリンセスラインというドレスが素敵だったんだよね!


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