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第一話 2
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「近藤さん、私も随分体を休めることだ出来たし傷も癒えた。もうそろそろ隊の職務に復帰したいのだが」
山南はそう局長の近藤に懇願したものの、呆気なく断られることになった。
「そう言わずに、万全の身体になって戻って来て欲しいと思っている。山南さんの仕事は全て歳に任せてある。だから安心してくれ」
近藤のこの言葉は嘘ではなかった。
だが、その言葉が真になることはないだなんて、当時この場にいる者は誰一人思わなかっただろう。
「そうですよ!俺、山南さんとまた一緒に職務に励みたいんです。完全復帰して下さいよー」
沖田ははしゃいだ声でそれを願っている。
土方はその言葉に即反応を示す。
「お前は遊んで欲しいだけだろーが……」
「あ、ばれてます?」
こんなたわいのない言い合いが楽しくて仕方のない沖田であった。
そんな沖田を気遣うようにこの前の一件を聞いてみることにした。
「沖田君、体調の方はどうなのだい?討ち入りの最中に倒れたって聞いたのだが……」
山南に知られているとは思わなかった沖田が照れくさそうに頬を掻きながら呟いた。
「あ、知ってたんですか?お恥ずかしい。あんな大事の最中に立ち眩みを起こしてしまって。ですが、もう元気になりましたよ。ほら、見て下さいよ」
「ああ?何が立ち眩みなんだ?」
立ち上がって両手を広げてくるりと一回りして元気いっぱいをアピールして見せようとする沖田を即座に咎める土方。
「そうだぞ、総司。あれは癪じゃなかったのか?」
局長の近藤もこのことを気にしていた。
池田屋の討ち入りの時、沖田が倒れたのを誰もが気にかけていた。
斬られる男ではないことは誰もが見知っている。
特にここにいる皆はそう思っていたのだ。
「はぁ?」
すっけんどんな声を吐き出す沖田に局長の近藤が話を進める。
「胸を押さえながら崩れていったと身近で見ていた隊士から聞いたぞ。歳がそれを聞いて真っ青になってだな……」
「近藤さん!それは内緒にしてくれるっていう話じゃ……」
近藤の言葉に慌てふためる土方。
流石に自分が狼狽えたことなど、立場的に知られては不味いと思っていた。
山南はそう局長の近藤に懇願したものの、呆気なく断られることになった。
「そう言わずに、万全の身体になって戻って来て欲しいと思っている。山南さんの仕事は全て歳に任せてある。だから安心してくれ」
近藤のこの言葉は嘘ではなかった。
だが、その言葉が真になることはないだなんて、当時この場にいる者は誰一人思わなかっただろう。
「そうですよ!俺、山南さんとまた一緒に職務に励みたいんです。完全復帰して下さいよー」
沖田ははしゃいだ声でそれを願っている。
土方はその言葉に即反応を示す。
「お前は遊んで欲しいだけだろーが……」
「あ、ばれてます?」
こんなたわいのない言い合いが楽しくて仕方のない沖田であった。
そんな沖田を気遣うようにこの前の一件を聞いてみることにした。
「沖田君、体調の方はどうなのだい?討ち入りの最中に倒れたって聞いたのだが……」
山南に知られているとは思わなかった沖田が照れくさそうに頬を掻きながら呟いた。
「あ、知ってたんですか?お恥ずかしい。あんな大事の最中に立ち眩みを起こしてしまって。ですが、もう元気になりましたよ。ほら、見て下さいよ」
「ああ?何が立ち眩みなんだ?」
立ち上がって両手を広げてくるりと一回りして元気いっぱいをアピールして見せようとする沖田を即座に咎める土方。
「そうだぞ、総司。あれは癪じゃなかったのか?」
局長の近藤もこのことを気にしていた。
池田屋の討ち入りの時、沖田が倒れたのを誰もが気にかけていた。
斬られる男ではないことは誰もが見知っている。
特にここにいる皆はそう思っていたのだ。
「はぁ?」
すっけんどんな声を吐き出す沖田に局長の近藤が話を進める。
「胸を押さえながら崩れていったと身近で見ていた隊士から聞いたぞ。歳がそれを聞いて真っ青になってだな……」
「近藤さん!それは内緒にしてくれるっていう話じゃ……」
近藤の言葉に慌てふためる土方。
流石に自分が狼狽えたことなど、立場的に知られては不味いと思っていた。
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