10 / 143
第一章
証明の遊戯
しおりを挟む腹部のボタンを数か所外すと、内側に手を滑り込ませる。
男は至近距離で見上げてくる端正な顔に圧倒されながら、自らの猛りに触れられて身体を強張らせた。
腰に巻かれた下着の上で
細い指が行ったり来たり……
「……ッ」
言い出した手前、この青年の術中に容易くはまってやるのは癪である。男は僅かに怯みつつも、それを悟られぬようにシアンを挑発した。
「それで…次はどうする気だ…?この程度の戯れであれば、無知な生娘でもできるであろうよ」
「…そうでしょうか」
「ぅ…ッ」
むくむくと下着の奥で反応するソレの先端に、シアンの指が狙いを定める。
鎌首をもたげた一本の指が、爪を立てて細かく動いた。
カリ カリ カリ....
「ぐ…!!」
「……」
たまらず下腹部に力をいれると、シアンは紅く染まった唇で緩やかに弧を描く。
生意気な顔だが、それにも増して溢れる色気が堪らない…。男は自身の男根がさらに硬くなるのを感じた。
そうだ。何も特別な事はされていない…筈なのに、これほど興奮しているのは何故なのか。
「窮屈そうですね」
そんな疑問を解決する隙も与えられず、鈴口を刺激する爪は絶妙すぎる強さで、男の下半身は反応せざるを得ない。
「ハァ…‥ハァ………く」
「解放してもよろしいですか…?」
「ハァッ……待て、貴様……!!」
男は額に汗を滲ませ、正気を保つために仕方なく、意識をそらそうと再び口を開いた。
「何故っ…片手しか使わない」
下着の結び目を解こうとした手……その逆側の腕をわし掴んで男が問う。
「左の手はどうした?よもや私の相手をするのに、両の手で奉仕する必要が無いとでも…!?」
「まさか」
腕を揺する手を振り払うことなく、シアンは右手で布の結びを解いた。
「気になるなら……貴方の手でお確かめ下さい」
「…ッ‥…なん、だと」
「僕に触れて、肌に触れて、暴いて下さい」
「小癪な…ッ─」
「それとも……
穢れた僕には、触れられませぬか?」
「‥こ、の……クク。つけあがりおって」
すると負けじと相手も含み笑う。
捻り潰しそうな強い力で、シアンの腕を掴み直した。
ギュゥゥ...
「…っ」
「ほぉ、痛いか…!…ハァ、いいぞ
苦悶の容貌もなかなか魅力的であるな」
「…そう…でしょうか…ッ」
「痛め付けて遊んでやろう…!」
「フ…ッ──構いま せんよ」
加減のない握力にシアンは顔をしかめる。
「腕のひとつやふたつなど…謹んで貴方に捧げましょう…!!」
「お‥‥!!」
しかしそんな表情を見せたのも束の間だ。
彼は男根を片方の掌で包み込み、舌を見せつけるように突き出した。
「ぐ‥ッ」
左右に割れたカフタンの隙間から男根を取り出して、喉元深くまでシアンの口が呑み込む。
ヌル....!!
それは唐突なようでいて、まだかまだかと待ちくたびれていたのだろう。呑み込まれた口内では、体積を増した肉茎が悦びに脈打った。
「‥ぐっ…あ、はぁ、おお‥!!」
シアンは慣れた動きでソレを玩び始めた。
喉の奥のザラリとした場所に先端を擦り付け、強くしぼった唇で支柱を扱く。
前へ…後ろへ抑揚を付けて、大きく頭を動かす。
たまらず漏れた男の喘ぎに構わず淫らに貪った。
「…おおっ…お‥!!‥…おぅっ……」
情けないしわがれ声が男の口から漏れ出る。
硬直してプルプルと足を震わせる様は、急所に噛み付かれた砂漠ウサギのそれだった。
「おおっ、ぅ…!!」
「…っ」
「はぁっ……おっ‥…おっ……」
例え男が、そんな無様な自分に気付いていようとムダである。
強く吸い付く唇に射精を促され…ストロークの合間に絡んでくる器用な舌先に抵抗の意志を奪われ
すぐに男は、大股ひろげてされるがままの存在に成り下がった。
強く扱かれているのに痛みは無く、理性を溶かす快感だけが激しく襲う。
それもシアンの技量が故。
垂れる先走りなど足しにもならないくらいにたっぷりの唾液で包まれた肉棒が、その熱い口内で快楽の極みを受け続け、屈服までの短い旅路を迫られる。
「…うほっ…!!…おっ!おっ!」
部下の前でアホ面を晒し鼻の穴を広げた男は、椅子の背もたれによりかかった。
下半身を完全に投げ出した格好で、丸く肉のついた腹を天井へ向ける。
シアンの腕を掴んでいた手はとっくに力を失っていた。
「ま、待たんかっ……おほっ…ほっ…!」
でまかせとわかる制止に、何の意味があるのか。
男根に筋が浮き出しているのを口内の舌で確認しながら、シアンは前後の動きを速めた。
男の腰が椅子の上で跳ねるので、逃げられぬように根元を掴み、同時に手の摩擦も加えてやる。
「っ!お、お、おお‥‥ッッ」
「………………!!」
一連の場面を指を加えて見ているだけの衛兵は、将官の醜態を前に気不味そうにしながら、思いきり興奮している自らの下半身を手で抑えていた。
衛兵が立つ場所からは、何が起きているのか全ては把握できず、ただ、将官の股の間に跪き頭を振るシアンの後ろ姿が見えるのみ。
しかし、見えないところで繰り広げられている彼のワザがどれほど激しく厭らしく、至極であるか
……それが伝わってくるには十分な光景。
だが……
だがやはり疑問をいだかざるを得ない。
何故この賤人は片手しか使わないのだろう。彼の左腕は依然として身体の横に垂れ下がったまま、ほとんど動いていないのは何故なのか。
「…ッ…ン」
そしてついにシアンの頭が動きを止めた。
男を射精まで昇らせた彼は卑猥な音を出して液体を吸い上げ、喉奥に流し込む。
喉の音が聞こえてきそうな沈黙は一瞬のうちに終わり、男の絶え絶えな呼吸がすぐ後に続いた。
精を吸い取られ脱力した肉塊の前で
唾液か精液かわからないモノを口の端に垂らしたシアンが、重だるそうに立ち上がる。
パサッ
その時、左半身に巻き付いていた布がずり落ち、彼は腰の下着を除く全ての衣服を床に落とした。
「お…前……」
「──…」
「その腕……!?」
肉が薄くスラリと痩せた体躯。
長い足を肩幅に開いて立ち尽くす青年の後ろ姿を、衛兵は丸い目で凝視した。
シアンの左腕には稀有な器具が取り付いていた。
黒茶の革ベルトが二の腕に固定され、丸い肘当てがそれに繋がり、さらにそこから伸びる紐状の黒い布が肘から下に巻き付いている。
「お前、それ………………義手か」
「……」
衛兵の問いに無言のシアンは、ちらりと背後を流し見た。
先程の婉美な笑みはすでに消えており、温度の乏しい視線が衛兵に向けられる。
乱れた前髪の隙間から男を見据えたソレは
暗がりにこそ強く色付く……深い翡翠色の瞳だった。
それから、言葉の続かない男からふいと顔をそらしたシアンは将官に向き直った。
彼は将官の足元にうやうやしく跪く。
そして頭を低くさげ、投げ出された足の甲に口付けを落とした。──服従の証として。
──…
1
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる