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第五章
生け贄の務め
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………
………ハァ…っ
「…‥‥‥ぁ、ぁ‥ッ」
椅子に深く座るスレマン・バシュの " 上 " で、シアンの身体が力なく揺れている。
二人は呼吸がまぐわう近さで、互いに向き合っていた。
服を着込んだスレマンに対して、脚衣を床に脱ぎ捨てているシアンはその汗ばんだ下腹部を惜しげも無く晒していた。
グチュリと結合部から音が鳴り、彼が自身のナカに仕込んでおいた潤滑剤が腰の動きに合わせて漏れ出ている。
グチュ... . . .ッ グチ、グチュ......!
スレマンは自分で動かない。
この男の肉茎を深々とナカに突き立てているのも、腰を淫らに動かしているのもシアンの方だ。
「…はぁっ……どうした早く次を飲ませよ……」
「…ッ……」
そして勿論、男に酒を飲ませるのもシアンの務め。
アンフォラ(酒器)に残った葡萄酒を口に含み、甘えるようにすがりついて顔を寄せる──。
「…‥ン──チュ…‥っ……ハァ、ハァ」
「…ふ……っ……は、はは、……いいぞ……なかなか美味いものだ……!」
「ハァ、ハァ…………フフ」
口付けをして相手に酒を流し込み、舌を絡ませ、吐息を零し、空の酒器を捨て肩に手を回す。
「お口にあって…ッ‥幸い でした」
「ふん………貴様もな」
まるで恋人にするかのように口付けの合間に笑いかけながら、その裏ではドロリと腐った思惑が互いに行き来していた。
「…っ…今度は腰が止まっておるぞ、さっさと動け」
「‥ク──フフ、承知、しまし た…!!」
「おぉ…ッ」
強欲な男に命じられるままシアンが腰をくねらせる。
思うままに、巧みに欲棒を締め上げ、男を翻弄する。
これが務めだ。生贄の務め──。
シアンは相手の肩に項垂れて額をのせ、熱く息を吐き出す。
「‥‥は、ァッ……ァッ…‥!!」
相手を追い詰めるために、自身を追い詰める。
本来何かを受け入れる器官でない場所に、醜いモノを受け入れ、嫌悪と快楽に溺れて喘ぐ。
……なんなんだ、この、茶番は
冷めた思考が常に隣り合わせだ。
それを遠くへ押しやる為に、シアンは卓上から追加の酒器を持ち上げ……沸騰した身体の中にどくどくと流し入れた。
──…
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