謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く 【R18】

弓月

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第十四章

捨て置きたモノ

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 さぁ、絶望しろ


 傷を負い…腫れた顔を覗き込む。

 シアンは瞼をおろしており、タラン侍従長と視線が合うことはなかった。

 だが耳はしっかり聞き取った筈だ。

 王弟がずっと幼い頃から、すでにタランの計画は始まっていたのだと。

 彼を貶めんとする者の手で、王位継承権を手放す前から…カラダは王族として否定されていたのだと。

 王族として……いや、男として、人として

 不完全な " 何者か " に、成り下がっていたのだと。




「‥‥‥‥‥クク」



 では何故この男は、それでも王弟を殺そうと目論んだ?



「クッ…ククク……──ははははははは!!」


「……は?」


「ハッ!‥クク、ははっ、はははは!」



 次の瞬間 狂ったかのように笑いだしたのはシアンだった。

 これまで聞いた事のない声量で高らかに笑う彼は、その場の男達を凍り付かせた。

「ははははっ‥‥ふっ、ククク‥!!」

ギロッ‥‥

「…ッ…!?」

 シアンの瞼があがる。

 たっぷりと濡れた熱っぽい瞳が、目の前のタランを睨み据える。

「なん だ……貴様……!!」

「はは‥‥ッ、‥‥ハッ」

 ひとしきり笑い飛ばし…口から血の塊を吐き出したシアンは、さも可笑しそうに、嬉々とした目で男を見上げた。



「…ッ…あなたが言う " 薬 " 、…僕は…よぉく…知っています よ」


「……!?」


「昔 娼館で同じようなモノを見た。それはそれは…高価な 薬で ね、……ふふ、女将に取り入って…手に入れるのに、苦労…しました…」


「まさ か‥‥、自ら‥‥!?」


「なのに………なんだ………
 あんな苦労、する必要がなかったらしい」



 馬鹿馬鹿しい。腹の底から……馬鹿馬鹿しい。

 男でもなく女ですらない

 だからどうした?それを嘆くのがせめてもの…… " 人 " が持つべき矜持きょうじなのか?

 そんなモノは、とうの昔に捨て置きた。

 そうでなければ…ただ客ウケが良いからと、自ら子種を殺したものか。

 かつての彼がその選択をするのに、躊躇は無かったと言い切れる。



 いったい……どこまで

 どこまで堕ちれば気が済むのか



「‥‥貴方にも‥‥いらぬ苦労を‥‥かけました ね 」

「…っ…何が可笑しい!…貴様っ貴様!貴様あ!」

 嘘のない狂った笑顔を魅せるシアンに、タランは確実に怯えていた。

 得体の知れない──

 理解のしようがない

 だから恐ろしいのだ。

「ふざけたコトを口走りおって…!! 何にそれほど笑っている??貴様は何を考えている!」

 シアンの髪を掴む手も、すぐに振り払う。

 けれど今度は──シアンも顔を下げない。男を睨む視線をそらさない。

「…ッ…忌まわしい…!穢らわしい小僧め…!」

「じ、侍従長様!落ち着かれてくださいっ」

「黙れ!」

 取り乱すタランを手下が心配するが止められるわけもなかった。

 逆上を強めたタランは、勢いよく立ち上がり、手下のひとりに命令した。

「 " 例の物 " を連れて来い…牢の中へ運べ!」

「侍従長様…っ…本気で御座いますか?  はあまりに…!!」

「行け、今すぐにだ」

「か、かしこまりました」

 シアンを鞭打っていた片方の男が、躊躇いがちに牢を去る。


 …そしてすぐに、控えていた  を連れて牢の前に戻ってきた。


グルルル・・・バウ!
ガルルルル・・・・!


 地下に響く唸り声
 ポタポタと…牙の隙間からしたたる唾液
 荒々しく逆立つ黒色の毛
 
 手下の男が連れてきたのは、興奮状態にある大きな体躯の猟犬だった。

「卑しい貴様に相応しい罰を与えてやる…」

「ハァ‥‥‥ハァ‥‥‥」

「牢へはなて!」

 空腹かに見える猟犬は、実はそうでは無い。

 それは特殊な刑罰の為にヤク漬けにされた獣。刑囚を犯し、尊厳を剥ぎ取るための道具。

 獣と繋がるものは、獣だ。

 人間ではない。陽の国にも もちろん行けない。死後の永遠は……業火で焼かれる運命。


「 " 人 " を捨てた貴様はここで…獣として死ね…!」

 牢に放たれた猟犬がシアンの上に被さる。

「どうせ腹の中身は家畜どもの体液だろう?油を塗りこむ必要もないな」

ガルルッ!ガルルッ!

 前足でシアンの腰を捕まえ、硬く勃った陰茎を押し当てる。その必死さは、まるでシアンの色気にあてられたかのようだ。

 もどかしそうに吠える犬は、ようやく目的のを探り当て、突き入れる

「‥ッ‥!」

 そこから高速で腰を振り出した。

 斜め下から突き上げられ、うつ伏せで横たわるシアンの尻が上がる。大きく背をしならせて首をそらす。

 パチュンパチュンと水音も聞こえるのは、彼の体内に注がれた淫液が暴れているのだろう。

ガルルッ!ガウ!ガルルル!ガルルル!

 馬乗りになった猟犬は無我夢中で彼を犯した。

 タランの部下達は目の前の光景に怯えて後ずさる。ひとりは吐き気をもよおして、慌てて口を抑えた。

 この行為には愛や嗜虐しぎゃくといった感情の類いが抜け落ちている。

 ただの交尾なのだ。

「‥フッ…!! ぅッ……ぅッ‥…は…‥あ……!!」

「貴様……!」

 そして何より醜怪しゅうかいなのは……

 発情した獣に蹂躙される青年の、その美しい顔から笑みが消えないことであった──。


 異常だ


 その後 タラン達が地下を去った後も、発情を誘うシアンの甘い鳴き声が──喉が枯れるまで、響き続けた。











──…





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