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逃走
逃走_4
しおりを挟む背中の線をツーーっとなぞり下った指は、そのまま彼女の腰に触れた。
「……んん……ッ……」
腰……脇腹……そして小さな臍に触れたところで、後ろから前に回り込んだ手が今度は上に辿ってくる。
ゆっくりと
「…ン…っ……あっ」
それは、しがみつくセレナのふたつの膨らみを捕らえた。
ビクリと震えた身体。
その反応が相応しくないと頭でわかっていても、男の指が膨らみの先端をかすめ、弾くものだから、思わず声も裏返る。
「‥‥ぅ…あ‥//」
「こんな状況でも感じるのか……」
「…っ…!!……そんな……わけ……っ」
「……なるほどな」
「…あ…ッ…‥‥だ、め‥‥‥!! 」
バシャ!
動揺と羞恥で腕を離してしまいそうになる。
だがそうすると顔が水に沈んで溺れてしまう。セレナは必死に腕に力をこめた。
「ハァっ、ケホっ、ぁ‥‥ぁ‥‥!! おねが…い、やめ て‥‥…!!」
「嫌なら手を離せばいい……」
「──…そんな…」
思わず腰がくねって、そんな自分が許せなくて……やめてほしいと懇願するも、水中の侮辱が止まることはない。
「せっかくの獲物が泥まみれでは食欲も失せる」
「……ハァ……ンっ…」
「洗ってやるのだ。有り難く思え」
「…っ…ふざけない で……!! 」
反抗的に声を上げるセレナ。
だがその身体は、銀狼からの辱しめにウブな反応を示してしまう。
豊かな膨らみが男の手の形に歪められ、否応なしに頭が官能的に染まって…──。
「…ぁぁっ、…そんな‥‥…!」
そればかりか、銀狼は片手をセレナの下半身へと伸ばしてきた。
柔らかな秘肉に銀狼の指がくい込み……ゆっくりと圧される。
「……はぁ‥‥ンッ…んんっ…」
「……」
「やっ‥‥ケホッ……アっ、アっ、ハァ…ハァ……ケホッ‥…!! 」
銀狼はこれで獲物を洗っているつもりなのか。
……いや、そんな筈はなかった。
秘裂を前後に擦り続ける指の動きは厭らしい。ワレメに沿って緩慢な往復を繰り返し、時おり蜜口の浅所に食い込ませて刺激を強くする。
小さな花芽には掌が被さり、親指の付け根あたりを押し付けて優しく…優しく潰してくる。
「あッ‥……あッ‥‥‥ああ」
脚を閉じたくとも水中ではふんばりがきかず、内股に力をこめても指の動きは止められない。
「もう‥…ハァ、やめてぇ……」
彼女の中からドロリと現れた蜜が清らかな水に溶け込む。
逃げられない──。暴かれて乱されて、濡らされて、震えて耐えることしか許されない。
“ この男は、わたしを試しているんだわ……っ ”
セレナは歯を食い縛った。
逃げたい
この屈辱的な状況から抜けださなければ。
なら……しがみつくこの手を離しさえすればいい。
“ でもそれは…… ”
でもそれは、同時に自身の死を示している……。
命をとるか
貴族としての、いや、ひとりの女としての誇りを選ぶか……
この状況で試されている。
“ ──…死ぬのは怖い ”
けれどどうせ、わたしは狼に喰われるんだ
どちらを選んでも、結局、狼の巣に迷い込んだ馬鹿なわたしは──
「──…」
セレナは、しがみつく腕の力を徐々に弛めた
──その顔は泣いていた
「──…?」
首に回されていた腕がスルリと抜け
セレナはゆっくりと水の中へ沈んでいった。
此処は滝壺近く。
人間の女が泳いで抜け出すことは不可能だ。
銀狼は、自分の腕から逃れた彼女の影を見つめたまま呆然とする。
「……」
死ぬのか……、お前は
──人間の娘よ
「…っ…やはり愚かだ……」
そして銀狼は滝壺へと潜った。
渦に呑まれる彼女を追って───。
──…
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