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第4章 集まれ仲間達
行動開始 -5-
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何とも言えない微妙な間が出来てしまったわたくし達の元へ、侍女の方が1人、女性騎士を伴って近づいて参りました。
「御歓談中、失礼致します。クリシュナ侍女長。ファーフリスタ伯爵家よりリリエンヌ嬢の私物とエーデルリット様の遺品が運ばれて参りましたが、こちらのお部屋に入れてよろしいですか?」
「リリエンヌ嬢の私物は、この部屋に。エーデルリット様の遺品は、待機部屋に入れておきなさい」
「かしこまりました」
クリシュナ侍女長と侍女さんの会話を聞いて、リリエンヌ様がようやくクッションから顔を上げられました。
「おかあさまのいひんも、もってきてくださったのですか?」
「ええ。六精霊の魔導術士様が、王軍に接収せず、こちらに運び込む荷物と一緒に持ってくるように交渉なさったのですよ?」
クリシュナ侍女長。
あれ、交渉でしたか?
わたくしには脅迫に見えましたが。
証拠品があるかもしれないから調べ終わるまでは伯爵家邸内にあった物は、1つたりとも渡せないと横柄な態度を丸出しにして言った師団長と彼を子供だと完全に下に見て笑いを溢した団員達に。
『なぁ? うまれてこのかた、じぶんのまわりにあってあたりまえだった、くうきってものが、なくなるとどうなるのか……たいけんしてみなよ?』
そう言って、風の精霊を使い、彼らの周りから本当に空気を遮断してしまわれました。
最も完全に遮断すれば、一気に気温がマイナス18°くらいに落ちてしまうし、音も伝わらなくなってしまうので、酸素と窒素とアルゴン、この3つだけを遮断したらしい。
……空気の成分、それで99.97%ですけれど。
さぁ、大変です。
大の男達が倒れ伏し、転げ周り、吸っても吸っても苦しさは軽減されず、呻き声を出すのすら辛い低酸素状態。
続けば命に関わるだろう、そんな時、ポンと肩を叩かれ、にっこり笑顔で言われるのです。
『おれのおねがい、きいてくれるきになった?』
頷く以外の選択肢が彼らにあったとは思えません。
師団長が、凄いことになってきた顔色でとにかく頷きまくったことで、ようやく彼らは空気が存在する有り難みを取り戻すことが出来たのです。
『じゃ、よろしく? くれぐれも、おれのおねがいをほごにしないことだね。せいれいは、たとえおまえたちが、かんじたりみたりすることができなくとも、かならずおまえたちのそばにいて、いついかなるときでも、おまえたちをみているからな?』
これを『反故にしやがったら精霊が今と同じことするからな?』の意味以外、どう受け取れと言うのでしょう。
国にとっては彼が心底、リリエンヌ様以外の者はどうでもよいのだと悟らざるを得ないエピソードだったと言えるものであり、また、リリエンヌ様さえ厚遇しておけば、エルドレッド様が国を裏切る可能性が低く抑えられる、と理解出来たエピソードでもありました。
「わたくし、エルドレッドさまに、こんなにいろいろしていただいて……どれだけかんしゃすればよろしいのか……」
「かんたんですわ、リリエンヌさま」
「え?」
「りょうてをギュッとにぎって、さいこうのえがおをむけて『ありがとうございます、エルドレッドさま、だいすきです!』っていってあげてください。それだけでかれは、じゅうにぶんにまんぞくすることでしょう」
ええ、それはもう、有り得ないレベルで大満足する彼の姿が思い浮かびますわ。
「そ、それだけでは……もうしわけないきが……」
「では、だきつくくらいまでは、きょよういたしましょう。それいじょうやるといまのかれは、つかいものにならなくなるきけんせいがあるので、じちょうをおねがいいたします。まだまだやっていただかねばならないことが、たくさんございますので」
わたくしの言いようにリリエンヌ様は目を丸くし、クリシュナ侍女長は他所を向いて小さく肩を震わせていらっしゃいました。
何故でしょう?
わたくし、事実しか言っておりませんのに。
「御歓談中、失礼致します。クリシュナ侍女長。ファーフリスタ伯爵家よりリリエンヌ嬢の私物とエーデルリット様の遺品が運ばれて参りましたが、こちらのお部屋に入れてよろしいですか?」
「リリエンヌ嬢の私物は、この部屋に。エーデルリット様の遺品は、待機部屋に入れておきなさい」
「かしこまりました」
クリシュナ侍女長と侍女さんの会話を聞いて、リリエンヌ様がようやくクッションから顔を上げられました。
「おかあさまのいひんも、もってきてくださったのですか?」
「ええ。六精霊の魔導術士様が、王軍に接収せず、こちらに運び込む荷物と一緒に持ってくるように交渉なさったのですよ?」
クリシュナ侍女長。
あれ、交渉でしたか?
わたくしには脅迫に見えましたが。
証拠品があるかもしれないから調べ終わるまでは伯爵家邸内にあった物は、1つたりとも渡せないと横柄な態度を丸出しにして言った師団長と彼を子供だと完全に下に見て笑いを溢した団員達に。
『なぁ? うまれてこのかた、じぶんのまわりにあってあたりまえだった、くうきってものが、なくなるとどうなるのか……たいけんしてみなよ?』
そう言って、風の精霊を使い、彼らの周りから本当に空気を遮断してしまわれました。
最も完全に遮断すれば、一気に気温がマイナス18°くらいに落ちてしまうし、音も伝わらなくなってしまうので、酸素と窒素とアルゴン、この3つだけを遮断したらしい。
……空気の成分、それで99.97%ですけれど。
さぁ、大変です。
大の男達が倒れ伏し、転げ周り、吸っても吸っても苦しさは軽減されず、呻き声を出すのすら辛い低酸素状態。
続けば命に関わるだろう、そんな時、ポンと肩を叩かれ、にっこり笑顔で言われるのです。
『おれのおねがい、きいてくれるきになった?』
頷く以外の選択肢が彼らにあったとは思えません。
師団長が、凄いことになってきた顔色でとにかく頷きまくったことで、ようやく彼らは空気が存在する有り難みを取り戻すことが出来たのです。
『じゃ、よろしく? くれぐれも、おれのおねがいをほごにしないことだね。せいれいは、たとえおまえたちが、かんじたりみたりすることができなくとも、かならずおまえたちのそばにいて、いついかなるときでも、おまえたちをみているからな?』
これを『反故にしやがったら精霊が今と同じことするからな?』の意味以外、どう受け取れと言うのでしょう。
国にとっては彼が心底、リリエンヌ様以外の者はどうでもよいのだと悟らざるを得ないエピソードだったと言えるものであり、また、リリエンヌ様さえ厚遇しておけば、エルドレッド様が国を裏切る可能性が低く抑えられる、と理解出来たエピソードでもありました。
「わたくし、エルドレッドさまに、こんなにいろいろしていただいて……どれだけかんしゃすればよろしいのか……」
「かんたんですわ、リリエンヌさま」
「え?」
「りょうてをギュッとにぎって、さいこうのえがおをむけて『ありがとうございます、エルドレッドさま、だいすきです!』っていってあげてください。それだけでかれは、じゅうにぶんにまんぞくすることでしょう」
ええ、それはもう、有り得ないレベルで大満足する彼の姿が思い浮かびますわ。
「そ、それだけでは……もうしわけないきが……」
「では、だきつくくらいまでは、きょよういたしましょう。それいじょうやるといまのかれは、つかいものにならなくなるきけんせいがあるので、じちょうをおねがいいたします。まだまだやっていただかねばならないことが、たくさんございますので」
わたくしの言いようにリリエンヌ様は目を丸くし、クリシュナ侍女長は他所を向いて小さく肩を震わせていらっしゃいました。
何故でしょう?
わたくし、事実しか言っておりませんのに。
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