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第4章 集まれ仲間達
許されないんだから潰します -4-
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と、言う訳で、やって来ました地下牢さん。
今日のことだけに限らず、偽証とか詐称とかの不正に関する証拠が、ほぼ出揃ってる状態での捕縛だし、尋問込みで連れて来られてるのもあって、貴族用の牢には入れられないだろうな、と俺は踏んでいた。
査察部と特務部は、その俺の期待を一切裏切ることなく……いや、それ以上だな、こりゃ。
平民の、処刑犯とかが入れられる1番奥の、1番汚くて、1番スんバラシイ臭いのする牢に奴等は居るようだ。
そこから2人分の悲鳴と呻き声が、唯一、聞こえて来てるからね。
「聖女様、六精霊の魔導術士様。何か、ございましたか?」
牢の前に立つ2人の見張り、その手前側の兵が俺とアリューシャの来訪に気づいて、声をかけて来た。
「わたくしのいもうとであり、ういみこでもある、フランソワーヌ・ランドリウスのおこなったかむどいに、めがみサーシャエールさまからの、おこたえがあり、わたくしとろくせいれいのまどうじゅつしさまに、このろうに、しゅうかんされているものたちへくだす、ばつについて、ごしんたくがくだりました」
わたくし、だって。
やれば出来るんじゃん? 聖女ぶりっ子。
普段はメンドイとか、そういうのなんかね。
それは何となく俺も分かるわー。
記憶が戻ってきてからこっち、魂の庶民根性が現世の記憶と教育に勝っちゃうんだよな、実際。
ちゃんと普段の時から矯正出来てるフランは、たいしたもんだと思うよ。
「御神託が! お待ち下さい、中の執行官を呼んでまいりますので、まずは、その者とお話しください」
「よいでしょう。わたくしたちは、ことがすめば、エンディミオンでんかのおちゃかいへ、もどらねばなりません。はやめのたいおうをのぞみます」
「ははっ!」
アリューシャの聖女ぶりっ子に、すっかり騙さ……ん、んっ! 感じ入った兵が、手前の扉を閉め、中から鍵をかける音がした。
そして、見えなくなった奥から軽く響くノックの音。
「クォート執行官。立哨3班のローナインです」
木の扉と壁がある所為で、くぐもって聞こえるけど、中の執行官へ自分の官名を告げて呼び出しをかける声がする。
すぐに牢の格子扉と中木戸の鍵が解かれ、扉の開く音が続け様に響いた。
「どうした?」
「聖女様と六精霊の魔導術士様が、女神サーシャエール様からの御神託を受けて、牢の外までいらしておられます。何でも、この囚人達への罰について、女神様からご指示があったとか」
「何っ⁈」
「御対応をお願いいたします」
「分かった、すぐに参る」
格子扉と中扉の鍵と扉を閉める音。
そして外扉の鍵を開け、2人がこちら側へと姿を見せた。
「聖女様、六精霊の魔導術士様。お初におめもじ致します。私は、刑罰執行官のクォート・ベルガー男爵にございます。どうぞ、以後、お見知り置きの程を」
出てきた執行官のクォートさんは、そう言って子供の俺達にも丁寧に名乗り、貴族式の礼を送ってくれた。
国王がアレでも、間に入ってる組織の頭が真面なら、ちゃんと部下にも教育が行き届いてるね。
いいことだ。
「クォートしっこうかん。めがみサーシャエールさまからのおことばです。かれらは、ここでくだされるけいのしっこうごも、みや、こころをあらためることなく、みらいのよにて、ゆるされざるばんこうをおこなうことが、かくていかくにんされました」
「許されざる、蛮行……」
「ほかのことならいざしらず、みらいのゆうしゃたるエンディミオンでんかのみこころをわずらわせるようなおこないが、なされるのだとかくていしたいま、かれらをこのくにのほうりつだけにまかせ、ほうちくすることは、みらいのせいじょたるこのわたくしがゆるしません」
「あー……みらいのかこんとなることが、わかりきったやからだ。ほんらいであれば、そうそうに、くびりころしときたいところだが、くさっても、でんかのそっきんこうほのみうちだ。そうもいくまい」
アリューシャが話している時は、普通に聞いていた癖に、俺が話し出した途端、ビクッとなったクォート執行官の様子に「精霊による家宅捜索」や「肥溜の底強制転移事件」は知られているんだろうな、と悟った俺は、一旦、ここで言葉を区切り、わざとタメを作ってから言った。
「めがみサーシャエールさまは、れんちゅうにくだすばつを、せいじょアリューシャと、ろくせいれいのまどうじゅつしたる、このわたしにいちにんされた。まずは、ほうのしっこうをさまたげぬ、せいじょさまのばつが、いまこのときをもって、しっこうされる。クォートしっこうかん。けいむをだいひょうして、みとどけにんとなりたまえ」
「はっ! 見届の任、拝命いたします」
深く頭を下げて俺の言葉に是を紡いでくれたクォートさん。
うん、なんか、ごめんな?
心の中でだけど、先に謝っとく。
申し訳ないけど、アリューシャの作り出す、めくるめく男の地獄を俺と一緒に見届けてくれ。
今日のことだけに限らず、偽証とか詐称とかの不正に関する証拠が、ほぼ出揃ってる状態での捕縛だし、尋問込みで連れて来られてるのもあって、貴族用の牢には入れられないだろうな、と俺は踏んでいた。
査察部と特務部は、その俺の期待を一切裏切ることなく……いや、それ以上だな、こりゃ。
平民の、処刑犯とかが入れられる1番奥の、1番汚くて、1番スんバラシイ臭いのする牢に奴等は居るようだ。
そこから2人分の悲鳴と呻き声が、唯一、聞こえて来てるからね。
「聖女様、六精霊の魔導術士様。何か、ございましたか?」
牢の前に立つ2人の見張り、その手前側の兵が俺とアリューシャの来訪に気づいて、声をかけて来た。
「わたくしのいもうとであり、ういみこでもある、フランソワーヌ・ランドリウスのおこなったかむどいに、めがみサーシャエールさまからの、おこたえがあり、わたくしとろくせいれいのまどうじゅつしさまに、このろうに、しゅうかんされているものたちへくだす、ばつについて、ごしんたくがくだりました」
わたくし、だって。
やれば出来るんじゃん? 聖女ぶりっ子。
普段はメンドイとか、そういうのなんかね。
それは何となく俺も分かるわー。
記憶が戻ってきてからこっち、魂の庶民根性が現世の記憶と教育に勝っちゃうんだよな、実際。
ちゃんと普段の時から矯正出来てるフランは、たいしたもんだと思うよ。
「御神託が! お待ち下さい、中の執行官を呼んでまいりますので、まずは、その者とお話しください」
「よいでしょう。わたくしたちは、ことがすめば、エンディミオンでんかのおちゃかいへ、もどらねばなりません。はやめのたいおうをのぞみます」
「ははっ!」
アリューシャの聖女ぶりっ子に、すっかり騙さ……ん、んっ! 感じ入った兵が、手前の扉を閉め、中から鍵をかける音がした。
そして、見えなくなった奥から軽く響くノックの音。
「クォート執行官。立哨3班のローナインです」
木の扉と壁がある所為で、くぐもって聞こえるけど、中の執行官へ自分の官名を告げて呼び出しをかける声がする。
すぐに牢の格子扉と中木戸の鍵が解かれ、扉の開く音が続け様に響いた。
「どうした?」
「聖女様と六精霊の魔導術士様が、女神サーシャエール様からの御神託を受けて、牢の外までいらしておられます。何でも、この囚人達への罰について、女神様からご指示があったとか」
「何っ⁈」
「御対応をお願いいたします」
「分かった、すぐに参る」
格子扉と中扉の鍵と扉を閉める音。
そして外扉の鍵を開け、2人がこちら側へと姿を見せた。
「聖女様、六精霊の魔導術士様。お初におめもじ致します。私は、刑罰執行官のクォート・ベルガー男爵にございます。どうぞ、以後、お見知り置きの程を」
出てきた執行官のクォートさんは、そう言って子供の俺達にも丁寧に名乗り、貴族式の礼を送ってくれた。
国王がアレでも、間に入ってる組織の頭が真面なら、ちゃんと部下にも教育が行き届いてるね。
いいことだ。
「クォートしっこうかん。めがみサーシャエールさまからのおことばです。かれらは、ここでくだされるけいのしっこうごも、みや、こころをあらためることなく、みらいのよにて、ゆるされざるばんこうをおこなうことが、かくていかくにんされました」
「許されざる、蛮行……」
「ほかのことならいざしらず、みらいのゆうしゃたるエンディミオンでんかのみこころをわずらわせるようなおこないが、なされるのだとかくていしたいま、かれらをこのくにのほうりつだけにまかせ、ほうちくすることは、みらいのせいじょたるこのわたくしがゆるしません」
「あー……みらいのかこんとなることが、わかりきったやからだ。ほんらいであれば、そうそうに、くびりころしときたいところだが、くさっても、でんかのそっきんこうほのみうちだ。そうもいくまい」
アリューシャが話している時は、普通に聞いていた癖に、俺が話し出した途端、ビクッとなったクォート執行官の様子に「精霊による家宅捜索」や「肥溜の底強制転移事件」は知られているんだろうな、と悟った俺は、一旦、ここで言葉を区切り、わざとタメを作ってから言った。
「めがみサーシャエールさまは、れんちゅうにくだすばつを、せいじょアリューシャと、ろくせいれいのまどうじゅつしたる、このわたしにいちにんされた。まずは、ほうのしっこうをさまたげぬ、せいじょさまのばつが、いまこのときをもって、しっこうされる。クォートしっこうかん。けいむをだいひょうして、みとどけにんとなりたまえ」
「はっ! 見届の任、拝命いたします」
深く頭を下げて俺の言葉に是を紡いでくれたクォートさん。
うん、なんか、ごめんな?
心の中でだけど、先に謝っとく。
申し訳ないけど、アリューシャの作り出す、めくるめく男の地獄を俺と一緒に見届けてくれ。
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