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第4章 集まれ仲間達
ルナルリア襲来 -2-
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間一髪、室内の天井付近に斜め下へ向かってポッカリ開いたゲート出口を結界魔術の魔法陣で隔離することに成功した。
室内は、強めの風が駆け抜けて、窓が音を鳴らし、分厚いカーテンが舞い上がった程度の被害だけで済んでいた。
「お見事ですわ、六精霊の魔導術士様」
「失敗魔法の余波をこの程度で押さえ込むとは。流石としかいいようがありませんな」
「どうも。まにあうかどうか、しょうじき、ちょっと、あぶなかったけどな」
クリシュナ侍女長も宰相閣下も、こいつが全くの対策なしで開け放たれたらどうなるのかを理解しているようだ。
国王や王妃様をはじめ、他の大人達も皆、一様にホッと安堵の息を漏らしていた。
そんな時。
「マックスさまぁ~! あなたのルナルリアが、おそばにまいりましたわよ~!」
結界魔術の向こう側。
未だ重力波と魔力衝撃波の嵐が吹き荒れる失敗ゲート魔法の黒い渦の向こうから、そんな幼女の声が聞こえる。
「あら? とおれない。へんねぇ。わがくにで、じっけんしたときは、もんだいなくうごいたのに」
「をい。ゲートのむこうがわにいる、とんでもスチャラカむすめ」
「だれが、スチャラカむすめよ!」
俺が敢えて名前を呼ばずに呼称した単語に反応したルナルリア王女の声が、ゲートの黒い渦の中から返ってくる。
どうやら渡ることこそ出来ていないものの、空間を繋ぐこと自体には成功してしまっているようだ。
こりゃ、父様に知れたら、えらいこったぞ?
王城の結界張り直すとか、何年かかんだ?
「おまえだよ、おまえ。たこくのおうじょうのどまんなかに、しっぱいゲートまほうで、かざあなあけるとか、しんりゃくこういとうけとられても、もんくいえねぇぞ!」
「あらあ! マックスさまってば、いま、おうじょうにいらっしゃるのねぇ!」
をいコラ、そこを1番に察して拾うんじゃねぇ。
「……ん? かざあな? おうじょうに? ……あ、そっか。てんいてんが、じんぶついぞんだから!」
「そこをりかいできるあたまで、なによりだよ。できりゃ、はつどうさせるまえに、きづいてほしかったけどな」
「えへっ☆ だれだかわかんないけど、ごめんねぇ? マックスさまにあうことしか、かんがえてなかったんだぁ」
それでシグマセンティエとアルファードゥルークが、同盟破棄して戦争突入とかなったら、後の世で何言われるか分かったもんじゃねぇぞ、お前。
はぁあ……溜息しか出ねぇ。
「とりあえず、こっちがわのフォローはしてやるから、とっととあきらめて、そっちがわからゲートとじるか、いますぐゲートのしゅうちゃくちてんのくうかんざひょうとって、せっていしなおすかしろ」
「かしこい! そのてがあったわ! まほうのことくわしいのね、あなた。よかったら、こんど、わたしくと、まほうだんぎしましょ?」
「……そんなちょうしで、じこくのまほうしたちをだきこんだのは、わかったから、はやくゲートどうにかしろ」
「はぁい」
俺が色良い返事をしなかったからだろう。
ルナルリアからは、不満げな声で、それでも是を紡いだ。
「あ。おまえひとりでくるなら、くうかんざひょうとって、したになるいちのざひょうだけちょうせいすりゃいいけど、ほかのれんちゅうもつれてくるなら、せめて、おうじょうないに、ちょくでてるのはやめろ。しろのもんぜんにでるざひょうをおしえてやるから、そっちつかえ」
「え? わたくしひとりだから、べつにいいわ。そばつきとか、ごえいとか、あとからばしゃで、えっちらおっちら、くればいいんだし?」
「姫様⁈」
ルナルリアは、とにかくマックスに早く会いたくてしょうがないのだろう。
国からつけられた大人達をあっさりと、綺麗さっぱり置いていく発言をして、向こう側から悲鳴のような声が上がっていた。
「おつきのれんちゅうは、ふまんそうだが?」
「しらんしらん。じゃ、くうかんざひょう、していしなおしたら、またゲートひらくわ。じゃあねー☆」
どうやら開発した魔導具は、一旦、回路を閉じないと座標の指定を変えることが出来ないタイプらしい。
プツン、と黒い渦が結界魔術の中で消え去ると同時に重力波と魔力衝撃波の波が収まり、俺は、渦を囲っていた魔術を解いた。
やれやれ、ほんのちょっと話しただけなのに、嵐みてぇな印象の女だったな。
マックス。
お前、ホントにアレが婚約者でいいのか?
考え直すなら今だぞ?
俺は、口には出さず、そんなことを思っていたんだが。
ドバァン! と勢いよく叩き開けられた部屋の扉に埋没しかけていた意識が浮上して、そちらへ目をやると、エルドレッドになってこの方、見慣れた顔が、部屋の中央まで走り込んで来て、辺りをキョロキョロと忙しなく見回した後、叫んだ。
「侵入者は何処だー⁈」
遅ぇよ、父様。
室内は、強めの風が駆け抜けて、窓が音を鳴らし、分厚いカーテンが舞い上がった程度の被害だけで済んでいた。
「お見事ですわ、六精霊の魔導術士様」
「失敗魔法の余波をこの程度で押さえ込むとは。流石としかいいようがありませんな」
「どうも。まにあうかどうか、しょうじき、ちょっと、あぶなかったけどな」
クリシュナ侍女長も宰相閣下も、こいつが全くの対策なしで開け放たれたらどうなるのかを理解しているようだ。
国王や王妃様をはじめ、他の大人達も皆、一様にホッと安堵の息を漏らしていた。
そんな時。
「マックスさまぁ~! あなたのルナルリアが、おそばにまいりましたわよ~!」
結界魔術の向こう側。
未だ重力波と魔力衝撃波の嵐が吹き荒れる失敗ゲート魔法の黒い渦の向こうから、そんな幼女の声が聞こえる。
「あら? とおれない。へんねぇ。わがくにで、じっけんしたときは、もんだいなくうごいたのに」
「をい。ゲートのむこうがわにいる、とんでもスチャラカむすめ」
「だれが、スチャラカむすめよ!」
俺が敢えて名前を呼ばずに呼称した単語に反応したルナルリア王女の声が、ゲートの黒い渦の中から返ってくる。
どうやら渡ることこそ出来ていないものの、空間を繋ぐこと自体には成功してしまっているようだ。
こりゃ、父様に知れたら、えらいこったぞ?
王城の結界張り直すとか、何年かかんだ?
「おまえだよ、おまえ。たこくのおうじょうのどまんなかに、しっぱいゲートまほうで、かざあなあけるとか、しんりゃくこういとうけとられても、もんくいえねぇぞ!」
「あらあ! マックスさまってば、いま、おうじょうにいらっしゃるのねぇ!」
をいコラ、そこを1番に察して拾うんじゃねぇ。
「……ん? かざあな? おうじょうに? ……あ、そっか。てんいてんが、じんぶついぞんだから!」
「そこをりかいできるあたまで、なによりだよ。できりゃ、はつどうさせるまえに、きづいてほしかったけどな」
「えへっ☆ だれだかわかんないけど、ごめんねぇ? マックスさまにあうことしか、かんがえてなかったんだぁ」
それでシグマセンティエとアルファードゥルークが、同盟破棄して戦争突入とかなったら、後の世で何言われるか分かったもんじゃねぇぞ、お前。
はぁあ……溜息しか出ねぇ。
「とりあえず、こっちがわのフォローはしてやるから、とっととあきらめて、そっちがわからゲートとじるか、いますぐゲートのしゅうちゃくちてんのくうかんざひょうとって、せっていしなおすかしろ」
「かしこい! そのてがあったわ! まほうのことくわしいのね、あなた。よかったら、こんど、わたしくと、まほうだんぎしましょ?」
「……そんなちょうしで、じこくのまほうしたちをだきこんだのは、わかったから、はやくゲートどうにかしろ」
「はぁい」
俺が色良い返事をしなかったからだろう。
ルナルリアからは、不満げな声で、それでも是を紡いだ。
「あ。おまえひとりでくるなら、くうかんざひょうとって、したになるいちのざひょうだけちょうせいすりゃいいけど、ほかのれんちゅうもつれてくるなら、せめて、おうじょうないに、ちょくでてるのはやめろ。しろのもんぜんにでるざひょうをおしえてやるから、そっちつかえ」
「え? わたくしひとりだから、べつにいいわ。そばつきとか、ごえいとか、あとからばしゃで、えっちらおっちら、くればいいんだし?」
「姫様⁈」
ルナルリアは、とにかくマックスに早く会いたくてしょうがないのだろう。
国からつけられた大人達をあっさりと、綺麗さっぱり置いていく発言をして、向こう側から悲鳴のような声が上がっていた。
「おつきのれんちゅうは、ふまんそうだが?」
「しらんしらん。じゃ、くうかんざひょう、していしなおしたら、またゲートひらくわ。じゃあねー☆」
どうやら開発した魔導具は、一旦、回路を閉じないと座標の指定を変えることが出来ないタイプらしい。
プツン、と黒い渦が結界魔術の中で消え去ると同時に重力波と魔力衝撃波の波が収まり、俺は、渦を囲っていた魔術を解いた。
やれやれ、ほんのちょっと話しただけなのに、嵐みてぇな印象の女だったな。
マックス。
お前、ホントにアレが婚約者でいいのか?
考え直すなら今だぞ?
俺は、口には出さず、そんなことを思っていたんだが。
ドバァン! と勢いよく叩き開けられた部屋の扉に埋没しかけていた意識が浮上して、そちらへ目をやると、エルドレッドになってこの方、見慣れた顔が、部屋の中央まで走り込んで来て、辺りをキョロキョロと忙しなく見回した後、叫んだ。
「侵入者は何処だー⁈」
遅ぇよ、父様。
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