【完結】幽霊彼女と後悔探しの旅

よーじろー

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四章

四十三話

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 父との話もとい説教から帰還し、八千代は床に就き天井を見上げながら長い一日を振り返っていた。
 この先、一ヶ月間の外出禁止と見張りの女中を常に付けさせること、そして、歌に華道、茶道、舞踊等の稽古事の頻度を増やされてしまった。
 それが今回の罰であった。
 客観的に見て甘い処置かもしれないが、八千代にとってそれは自己の好奇心を満たすことが出来ない監獄と一緒だった。
 
 ――今日の町も活気があってわくわくした。やっぱり静かなところで大人しくしているよりも外に出て知らないことにたくさん触れる方がいい。そっちの方が私の性に合っている。そして……何より道端で蹲っていた少年、虎之助だ。
 
 八千代は虎之助の狼みたいな表情を思い出す。
 
 ――あんなに小さくてガリガリなのに、私よりも三つも上だとは思わなかった。その日食べるのにも苦労している上、お母さんのことも見ないといけないなんて、私には想像できない。それにあの瞳……綺麗だったな。右目が赤く光るところもそうだけど、それ以上にどんなに大変でも苦労していても、決して曇ることのない輝きがあの子にはあった。私の周りにあんな瞳をした人はいないし、余程、強い意志がないと出来ないと思う。
 
 ふうー、とひとつ息を吐き、布団を頭から被る。
 布団の中は月夜の光さえ入ってこない暗闇。
 その暗闇の中で、八千代は体を丸める。
 こうすることで心臓の鼓動をより鮮明に感じることが出来、自分の命を直に感じることが出来る。
 あの時、自分の気持ちを抑えることが出来なかった。
 あそこで言わなくてはこれから一生言えず、後悔してしまう気がしたのだ。
 枕に顔を押し付ける。
 こうして無理やり押し込めないとまた自分の行動を抑制することが出来ない。
 若干の息苦しさを感じはするが、寝られないほどではない。
 季節は秋。
 布団一枚でも暑くも寒くもない、丁度いい気温だった。
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