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三章
二十二話
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『大雅! もう朝だよ! 早く起きないと春豊さんに迷惑がかかっちゃうでしょ! ほら早く起きなさい! ほら早く!』
薄っすらと目を開けると美波が目の前で眉を吊り上げ怒声を飛ばす。
枕元の時計を確認する。
五時三十分。
窓の方に目をやると、日はすでに昇っているようで部屋は明るく照らされていた。
「……うーん……はあー……」
寝ぼけ眼をこすりながら体を伸ばすと、自然と大きな欠伸が出る。
春豊と初めて会い、食事をした日から一週間が経過した。
この一週間……もっと言えば美波の葬式が終わった次の日から、大雅の記憶は朧気であった。
間違いなく普通の生活はしていたし、美波の母朱里のことを調べてもいたし、その過程で春豊という占い師のことを知ったし、今後のことを進める算段を練っていたはずだった。実際にそれらを行っていた記憶も感触もある。感情だって鮮明に覚えている。
――それは間違いない、なのに……それなのに、何故だろう。
どこか大雅自身ではない誰かが全てを進めていたような、そんな不思議な感覚が大雅を支配してやまない。あの時、どうしてあんなことをしてしまったのか、と思ってしまうことがここ最近特に増えていた。
ここまで増えることはなかったが、過去にその感覚を体験したことはあり、それで悩んだこともあった。
それは大雅が大学に通い始めた頃だった。
慣れない場所で慣れない人達と慣れないことをしていたこともあり、自分が自分ではないような感覚を持ち始めており、それがきっかけで病院に通っていたこともあった。
結局、疲れているからとかストレスを強く感じているからとか、最もな理由をつけられ、内服薬や環境調整などをして終わりになった。
何か根本的な解決を見たわけではなく、対症療法に過ぎない。
――今回も美波が死んでしまったこと、心残りを解消すべく幽霊となって現れたこと、その心残りが何なのか分からず難渋していること。それらが重なって僕の心を圧迫している。だから、自分でも理解できないような事を考えたり、言ったりしてしまったのだろう。特にそう感じるのは決まって悩んでいる時や苦しい時、悲しい時など、どこか負の感情を抱えた時なのだから、あながち間違いではないだろう。
大雅はそう考え、浮かぶ疑問を外に追いやっていた。
確固たる根拠はないが、そう考えることで心が少しずつ落ち着き安定してくるのである。
そんなことを思っている間も大雅の目の前では美波がギャーギャーと騒いでいる。
「――分かったよ。早く準備するから、少し黙って待ってて」
『言い方が少し気になるけれど……うむ。分かればよろしい!』
満面の笑みを浮かべる美波に大雅の心がきゅっと締め付けられる。
何回感じても慣れないその感覚に大雅は込み上げそうになる感情をぐっと抑え起き上がった。
薄っすらと目を開けると美波が目の前で眉を吊り上げ怒声を飛ばす。
枕元の時計を確認する。
五時三十分。
窓の方に目をやると、日はすでに昇っているようで部屋は明るく照らされていた。
「……うーん……はあー……」
寝ぼけ眼をこすりながら体を伸ばすと、自然と大きな欠伸が出る。
春豊と初めて会い、食事をした日から一週間が経過した。
この一週間……もっと言えば美波の葬式が終わった次の日から、大雅の記憶は朧気であった。
間違いなく普通の生活はしていたし、美波の母朱里のことを調べてもいたし、その過程で春豊という占い師のことを知ったし、今後のことを進める算段を練っていたはずだった。実際にそれらを行っていた記憶も感触もある。感情だって鮮明に覚えている。
――それは間違いない、なのに……それなのに、何故だろう。
どこか大雅自身ではない誰かが全てを進めていたような、そんな不思議な感覚が大雅を支配してやまない。あの時、どうしてあんなことをしてしまったのか、と思ってしまうことがここ最近特に増えていた。
ここまで増えることはなかったが、過去にその感覚を体験したことはあり、それで悩んだこともあった。
それは大雅が大学に通い始めた頃だった。
慣れない場所で慣れない人達と慣れないことをしていたこともあり、自分が自分ではないような感覚を持ち始めており、それがきっかけで病院に通っていたこともあった。
結局、疲れているからとかストレスを強く感じているからとか、最もな理由をつけられ、内服薬や環境調整などをして終わりになった。
何か根本的な解決を見たわけではなく、対症療法に過ぎない。
――今回も美波が死んでしまったこと、心残りを解消すべく幽霊となって現れたこと、その心残りが何なのか分からず難渋していること。それらが重なって僕の心を圧迫している。だから、自分でも理解できないような事を考えたり、言ったりしてしまったのだろう。特にそう感じるのは決まって悩んでいる時や苦しい時、悲しい時など、どこか負の感情を抱えた時なのだから、あながち間違いではないだろう。
大雅はそう考え、浮かぶ疑問を外に追いやっていた。
確固たる根拠はないが、そう考えることで心が少しずつ落ち着き安定してくるのである。
そんなことを思っている間も大雅の目の前では美波がギャーギャーと騒いでいる。
「――分かったよ。早く準備するから、少し黙って待ってて」
『言い方が少し気になるけれど……うむ。分かればよろしい!』
満面の笑みを浮かべる美波に大雅の心がきゅっと締め付けられる。
何回感じても慣れないその感覚に大雅は込み上げそうになる感情をぐっと抑え起き上がった。
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