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第2章 カミスナ廃城
8.密室
しおりを挟む第一試験『知能』【脱出】が始まって、数分も経過しないうちに、一つの扉が開けられた。なんの歓声もなく部屋から出てきた3人に、鬼教官は絶句する。
「教官、窓枠の釘。抜けないようにしないとダメですよ。それから、去年入団したばかりの下級団員に試験監督させるのはやめましょうね、簡単に目を盗めますから」
そう言うヤドクの笑顔の裏側には、喜びでもなく、安心でもなく、鬼教官の後ろで目を輝かせるミアナが映っていた。
「あ、ヤドクが格好つけた」
「黙ろっか、ブーム。絞め殺すよ?」
「……ほんっと、すみません」
しばらくの間、3人を化け物を見る目で見つめていた鬼教官だったが、何を思ったのかヤドクの前に進み出た。
「貴様が…あの密室をほんの数分で?」
「はい、案外簡単でしたよ」
「……悔しいが、ここまでの知能を持つ者は見たことがない。永遠に出てこれない者もいた密室であるのに」
「え!?あれって外から鍵してあんじゃなかったの!?」
「あの部屋の窓、扉。脱出するためのすべての場所には鍵は存在していなかった。ほとんどが壁と同化している。ボクたちが中に入ったのだって、天井ルートからだったでしょ?」
そう説明したのはヤドクだった。
「なら、ヤドクはどうやってあの扉を開けたの?」
「アセトンを使った。壁と扉は同化していたけど、隙間があった。それに、釘が抜けた際、アセトンが塗られていることがわかった。釘に塗られているものがアセトンだと知るには、アセトンの臭いを知らなければならないし、それに、アセトンが接着成分を溶かすことを知らなければ、この密室からは出られない」
「よく分かんねぇ……」
鬼教官はふぅと深くため息をつくと、ヤドクの胸に何かを押し当てる。シーレッドの紋章をかたどった金のバッチ。
「これは?」
「貴様の階級は、Sだ……」
「Sって最高階級じゃん!高級プライベートルームがつくじゃん!すげぇヤドク!」
「ヤドク…カーマンといったな。お前は今から、第一部隊の説明会の準備をしてもらう。こっちへ来い」
かしこまった鬼教官の表情が、視界の片隅にいる残りの2人を捉える。
「第二試験は『体力』だ。覚悟して臨め」
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