セカンドアース

三角 帝

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第3章 SEARED

7.石は選ぶ

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「でさでさ、そのシェフの料理が上手くてさぁ~オレのこと、あいつ、なんて言ったと思う!?」
「残飯処理」
「そう!残飯処理って言ったんだよー!酷いだろ?オレらは命懸けで戦うってのにあのシェフのヤローよ、でさでさメイドのソフィーって知ってる?あの子、すっごい可愛いんだよねー前なんかさー」

  楽しげなブームの話に、ヤドクは苛立ちを感じた。

「だいたい、なにここに馴染んでんだよ」
「えーオレは好きだなここ。逆に、ここの何が気にくわねぇかわかんねーなー飯は美味いし、部屋は広いし、文句なしだろ?」
「とか言っといて、夜、怖いからって、ボクの部屋にくるくせに」
「あ、あれは…広いのって落ち着かないだろ?」
「矛盾してる」
「……ところで、それなに?」

  ミアナは先ほどからブームの腕に抱えられた籠を指差す。

「ん?これ?」

  そう言ってブームは籠のカバーを外す。現れたのは、手のひらサイズの色とりどりの結晶石たちだった。鮮やかなその宝石に、ブームは二ヒヒと笑う。

「これ、いくらで売れるかな?」

  ヤドクはその石に見覚えがあった。確か、ミアナが巨大ウサギを出現させる前に、手に握っていた石とどこか似ている。ふとミアナの方を向くと、やはりそれのようだと確信する。

「そ、そ、それ!ストレージストーンじゃない!」
「え?ナニソレ」

  まるで初耳とでも言うような素振りのブームに、ミアナはわなわな震えながら、息を押し殺す。

「ルーラーを収納する石のことよ!つまり、それにはルーラーが収納されてて、とっても危険なの!壊したりなんかしたらどーするの!?」
「壊れることはないよ、ストレージストーンはかなり丈夫な構造らしいからね」

  ヤドクの適切な付け足しに、ミアナが顔中を赤く染める。

「そういうことじゃなくて!それはシーレッドにとって貴重な武器なんだから!」
「いくらかな?」
「だから!売っちゃダメなの!というかどうやってそんなの取ってきたの!?ストレージストーンの管理は厳重って聞いたのに!」

  侵入のプロであるブームにとって厳重って言葉は効かないだろう。いつの間にか籠の奪い合いを始める2人をヤドクは遠く見つめる。
『オレは好きだなここ』
  ブームはそう言った……だけど、本当にここは安全なのだろうか。安全であるのなら、アダムはこんなことにはならなかったのではないか?

「ちょっと!それこっちに渡しなさい!」
「やーだねー!」

  次の瞬間、つりあいを無くした籠が空を飛ぶ。ミアナの絶叫と、ブームの発狂。
  あー、面倒なことになった。
  宙を舞う、色鮮やかな宝石たちが、上空をゆっくりと飛ぶかのようだった。数ある中の一つが、ヤドクの方向へと飛んでくる。いや、そんなはずはなかった。ブームとミアナとは随分と距離のある位置に座るヤドクに、彼らが投げた石が向かってくることはないのだ。
  ヤドクは目を凝らした。青いヴェールを被ったような、濁りのない澄んだ青色。不格好な形の統一感のない結晶。見たこともないような輝き。ヤドクはその時、初めてルーラーシステムというものを理解した。
  この石は……

  ボクらを選ぶ。
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