28 / 185
第3章 SEARED
8.適合者
しおりを挟む「で?君達は一体、何をしてくれたんだい?」
ここがその、長官室…というところだろうか。広々とした空間の中に、縦長の重量感のある机と、革製の高級そうな椅子が配置され、テラスから見える景色は、他のどの部屋よりも眺めが良い。
そんな長官室の中央で、三人の少年少女は正座させられていた。
「いや~だって、あんなに綺麗なお宝、ほっとくわけがないじゃないですか~」
レパートは、ブームのふざけた発言に動揺するでもなく、呆れたように笑った。純白のマントを翻し、ブームの前にしゃがみこむ。
「君達の噂は、だいたい把握済みだ。ブーム・カーマン。ヤドク・カーマン。そして、ミアナ・アンジュリー。君達は四年前、アリダン国で生活していたようだね。気の毒に…あの大火災に巻き込まれ家を失い、犯罪に手を染めた。ヤドク・カーマンの頭脳。ブーム・カーマンの身体能力のセットで、多くの強盗を働いた…とか。そして」
ミアナはレパートの言葉の先に身構える。小さく唇を噛み締め、その時を待った。しかし、レパートは、ミアナをチラリと見ただけで、その先を言うことはなかった。
「と、いうかんじで、君達はとてもじゃないが、セカンドアースを救う立場にある、このシーレッドには相応しくない者である」
「な、なら!追い出すンすか!?」
「誰がそんなことを?」
レパートは口端に、怪しい笑みを浮かべる。
「君達の能力は人並み外れている。結果、ルーラーが、その君達の能力に適合したではないか?君らを手放すわけにはいかないよ」
「ルーラー?」
ブームはふと手に握る緑色の石を見る。光の屈折を受け、めまぐるしい光を内部で構成させている。
「君達は、ルーラーの収納された石…つまり、ストレージストーンになんらかの衝撃を与えた。そのことで、そのどれかの石に選ばれ適合となった」
「選ばれるって、石に?」
「あぁ、ルーラーは適合者を選ぶんだ。つまり、今君達がそれぞれに持っている石は、君達が適合したルーラーってことになる」
レパートは三人を面白げに見下ろし、軽く咳払いする。
「ヤドク・カーマンの適合したルーラーは、フラッグ。カエルだ。特製能力は偵察。部隊にはとてもかかせない存在だ。ブーム・カーマンの適合したルーラーは、スネーク。蛇だ。能力は、俊敏な動きでどんな物にも穴を開けることができる。威力のある接近系戦闘能力だ。ミアナ・アンジュリー。君のはラビット。ウサギ。上下衝撃攻撃を主力とする近距離戦闘系だ」
レパートは嬉しそうに頬の力を緩める。
「そして……もう一人」
次の瞬間、長官室の扉が轟音と共に吹っ飛び、木の破片が宙を舞う。黒い影が部屋中を覆い、それが翼だとわかる。
「アダム…アイーダ。君の適合したルーラーは………クロウ。烏だ」
0
あなたにおすすめの小説
妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う
yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。
これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ボンクラ王子の側近を任されました
里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」
王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。
人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。
そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。
義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。
王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる