セカンドアース

三角 帝

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第3章 SEARED

8.適合者

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「で?君達は一体、何をしてくれたんだい?」

  ここがその、長官室…というところだろうか。広々とした空間の中に、縦長の重量感のある机と、革製の高級そうな椅子が配置され、テラスから見える景色は、他のどの部屋よりも眺めが良い。
  そんな長官室の中央で、三人の少年少女は正座させられていた。

「いや~だって、あんなに綺麗なお宝、ほっとくわけがないじゃないですか~」

  レパートは、ブームのふざけた発言に動揺するでもなく、呆れたように笑った。純白のマントを翻し、ブームの前にしゃがみこむ。

「君達の噂は、だいたい把握済みだ。ブーム・カーマン。ヤドク・カーマン。そして、ミアナ・アンジュリー。君達は四年前、アリダン国で生活していたようだね。気の毒に…あの大火災に巻き込まれ家を失い、犯罪に手を染めた。ヤドク・カーマンの頭脳。ブーム・カーマンの身体能力のセットで、多くの強盗を働いた…とか。そして」

  ミアナはレパートの言葉の先に身構える。小さく唇を噛み締め、その時を待った。しかし、レパートは、ミアナをチラリと見ただけで、その先を言うことはなかった。

「と、いうかんじで、君達はとてもじゃないが、セカンドアースを救う立場にある、このシーレッドには相応しくない者である」
「な、なら!追い出すンすか!?」
「誰がそんなことを?」

  レパートは口端に、怪しい笑みを浮かべる。

「君達の能力は人並み外れている。結果、ルーラーが、その君達の能力に適合したではないか?君らを手放すわけにはいかないよ」
「ルーラー?」

  ブームはふと手に握る緑色の石を見る。光の屈折を受け、めまぐるしい光を内部で構成させている。

「君達は、ルーラーの収納された石…つまり、ストレージストーンになんらかの衝撃を与えた。そのことで、そのどれかの石に選ばれ適合となった」
「選ばれるって、石に?」
「あぁ、ルーラーは適合者を選ぶんだ。つまり、今君達がそれぞれに持っている石は、君達が適合したルーラーってことになる」

  レパートは三人を面白げに見下ろし、軽く咳払いする。

「ヤドク・カーマンの適合したルーラーは、フラッグ。カエルだ。特製能力は偵察。部隊にはとてもかかせない存在だ。ブーム・カーマンの適合したルーラーは、スネーク。蛇だ。能力は、俊敏な動きでどんな物にも穴を開けることができる。威力のある接近系戦闘能力だ。ミアナ・アンジュリー。君のはラビット。ウサギ。上下衝撃攻撃を主力とする近距離戦闘系だ」

  レパートは嬉しそうに頬の力を緩める。

「そして……もう一人」

  次の瞬間、長官室の扉が轟音と共に吹っ飛び、木の破片が宙を舞う。黒い影が部屋中を覆い、それが翼だとわかる。

「アダム…アイーダ。君の適合したルーラーは………クロウ。烏だ」
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