セカンドアース

三角 帝

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第5章 タロソナ国

1.花言葉

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  赤い花。雨の雫を受けて、重くなった体をゆっくりと寝かしていく、その花を、ミアナは小さくて白い手のひらで受け止める。

「このお花。枯れちゃうのかな?」
「枯れないよ」

  ヤドクは、そっとミアナの隣に座り、同じように花を受け止める。

「雨は花にとっての恵みなんだ、枯れたら枯れた、綺麗になる花もあるんだよ」
「そっか~よかった~、このお花、なんていうの?」
「アネモネだよ」
「へぇ~可愛い名前だね!」

  ミアナのブロンドの髪から、甘く切ない香りがした。ヤドクは必死に手を伸ばす。

「花言葉ってあるのかな?」

  アネモネの花言葉……『消える希望』

「……ッ」

  自分の発した言葉に驚いたのか、それとも夢の内容に驚いたのか…ヤドクは激しい頭痛を感じ、ベッドの淵にもたられかかる。
  荒い呼吸を整え、自分がいったいどんな状況に置かれているかを認識するため、閉じられたカーテンを開け放つ。爽快な朝の光が、ヤドクの頬を刺す。

「あ、起きたんだ!おはようヤドク!」

  その声に、反射的に反応してしまったのか、夢のせいか…それとも、また違う何かのせいか…

「よかった~心配したんだから!」
「あぁ、ミアナ。アダムとか……ブームは?」
「アダムは大丈夫そう、今日も朝から行方不明なんだけどね。ブームはちょっと前に起きて、今はもう元気そうよ」
「よかった」
「みんな、ヤドクのこと心配してたんだから!」

  君は誰を一番心配していた?
  ヤドクはそんな質問を飲み込む。

「とりあえず、準備できたら会議室に集合ね」
「会議室?ボクが?」
「当たり前でしょ!一応アタシ達、シーレッドのトップ扱いなんだから!これからの方針を決めるために…」
「…そんな時間。あるのかな」
「え?」
「ボクの知る限り…サロキダ戦で現れたレブルブルーのトップ。ノーベとローレンは、今まで誰も手につけられなかったんだろ?奴らに対抗できた者はいなかった…」
「うん、聞いた限りでは…そうだけど……」
「そんな奴らを、引き分けという形でおさめたわけだろ?それを知って、ボクらをレブルブルーの連中が放っておくとは思えないな」

  ヤドクの言葉を、自分の中で整理するかのように、ミアナは目を閉じる。思い浮かんだのは、悲惨な激戦地。

「そ、そんな……そんなの…………」

  ミアナの青い瞳に、涙が浮かび、ゆっくりと頬を伝って落ちていく。ヤドクはそんなミアナの背中を眺め、自分の手を次に見る。ぐっと堪え、強く拳を握ると、白い天井を見上げる。

「……大丈夫だから」

  そうは言ったものの、左ポケットに冷たく眠るフラッグの振動が早くなることに気づく。確実に敵はここへ近づいてきているのだ。
  本部への襲撃か?

  その時だったー

  シーレッド本部内に、警報が流される。
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