セカンドアース

三角 帝

文字の大きさ
43 / 185
第5章 タロソナ国

2.警報

しおりを挟む

「え?なんて?」
「警報が鳴っております!」
「え?」
「だーかーらー!警報だってば!」

  ブームは、走り回るシーレッド団員を横目に、耳に当てたヘッドホンを外す。寝そべったソファから顔を覗かせた瞬間に、ソフィーの攻撃が炸裂した。

「痛ッ!ちょ、おい!何すんだよ!メイドのくせに!」
「メイドだからですよ!急いで逃げてください!」
「逃げる?何から?どーせ、誰かのイタズラだろ?」
「イタズラなんてするような人、この組織にはいませんから!」
「あーあーうるせぇなー逃げればいいんだろ?逃げれば」

  ソファから起き上がり際に、胸ポケットのストレージストーンを握る。ほっとしたように息を吐くソフィーの視線の先で、ストレージストーンを叩きつけ、スネークを解放する。

「な、なにをするんです!?」
「え?なにって…レブルブルーと戦うんだろ?あ、ならなに?強盗とか?それなら得意分野…」
「…やめてください!急いでここから逃げないと!本当に死んでしま……」
「…だーいじょうぶだから!オレは、生き返った!ほら!無敵だ!」

  ソフィーは呆れたように笑う。その笑顔が、苦痛に歪む瞬間を、ブームは目と鼻の先で見る。

「ソフィー…?」

  荒く呼吸をし、床に突っ伏すソフィーの肩をブームは、必死に揺する。反応はない。

「ど、どういうことだよ…ソフィー!?」

  ソフィーの体が徐々に白く冷たくなるのを、手のひらで感じ、ブームは顔を上げる。顔のすぐ真横で、風を切る音と、熱が伝わった。ブームは背後で貫かれたソファの小さな穴を振り返り、もう一度、前を向く。
  ブームが体勢を整えようとするより早く、何かが左隣に現れる。速すぎて、それが人なのか、それとも別のなにかなのかも目に映らなかった。

「うわぁお!アンタが、ブーム・カーマンくんですかぁ~?お会いできて光栄です!」

  顔の向きを変えることなく、その声を発した、たぶん人間。の方を見る。金髪の青年は、羽織った黄色のマントを払いのけ、親しげにブームに手を差し出す。
  その隣では、先ほどソフィーを撃ったのであろう、銀の拳銃を片手に持つ赤髪の男が、怠そうに、空を仰いでいた。窓枠に手をつき、外の景色を楽しむかのようだった。白い窓枠に、赤い色がつく瞬間に、ブームはこみ上げる憎悪を感じた。

「お前らは……誰だ」
「えぇ~?知らないんですかぁ~?おれ達は、レブルブルートップのあの方々ですよぉ~?」

  金髪青年は小さく笑う。

「どうやらアンタは運が悪いようだ」
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

とある令嬢の断罪劇

古堂 素央
ファンタジー
本当に裁かれるべきだったのは誰? 時を超え、役どころを変え、それぞれの因果は巡りゆく。 とある令嬢の断罪にまつわる、嘘と真実の物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ボンクラ王子の側近を任されました

里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」  王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。  人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。  そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。  義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。  王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?

処理中です...