セカンドアース

三角 帝

文字の大きさ
78 / 185
第7章 ハリスナ国

5.核

しおりを挟む

「我らは、確かにこの戦争が始まる前から、奴らアクチノイドの存在は知っていた。だが、我らが奴らに対抗できる武器の開発を始めたのは、他でもない、四年前のアリダン大火災からだ」
「……その武器というのが……ルーラーシステム…」
「ルーラーシステムは、動物型ロボットだ。操縦方法は、機械的操縦方ではなく、意識的…つまり、精神同士の結合によって、そのルーラーそれぞれに搭載された遺伝子プログラムが一致する者…お前たち結合者の意思によって武器化することが可能になる。結合者の意思をなくして発動することのないように、普段はストレージストーンと呼ばれる石の中で保存される」

  ハリスナ国王は、そこまで言うと、少し深刻そうな表情を浮かべて見せた。その裏で何を考えているのかは定かではないが、ミアナへ向けられる鋭利な針先と、その腕に絡みつく骨ばった指に、ヤドクは警戒心を強める。

「…もし……結合者の許可なしに、ルーラーが発動すれば…どうなるの?」

  そんな質問を口にしたミアナに、ヤドクはふと不安になる。何故そんな質問が可能なのか、彼女の真剣な表情の心理を伺うかのようにヤドクは目を細めた。
  同化。その言葉を知ったのは、あの本の中でのことだった。
  自身がこのような役割に立たされたことからの責任か、それとも男らしく在りたいと思ったからか。そのどちらもが背を押し、寝る間も惜しんで本を貪った。その言葉はまるで稀に起こる注意書きかのように、小さく片隅に記載されていた。まるで、誰かが後から付け足しかのような、そんな存在感があり、その時のヤドクのように隅々まで目を光らせていなければ、きっと気づく者はなかったことだろう。

「……君は、同化のことを聞きたいのかい?」

  心を読み透かしているかのような、国王の言葉に、ミアナは何のためらいもなく、小さく、だがハッキリと頷いた。

「同化現象というものは、普通起こらないものなのだ。だが…起こる可能性を持つ者が何人か存在する。そいつらと結合したルーラーは皆一流物で、その威力はルーラーシステム内でもトップクラスだ」
「…起こるようになった?」
「あぁ、ルーラーの核…それが誕生したんだ。それによって、同化現象が起こるようになった」
「核……つまり、ルーラーシステム全てに搭載されたプログラムの核のことですか?」
「その通り。全てのプログラム…というよりは、全てのプログラムを無効化する…と言った方が正論かもしれない」
「だが、核の法則的思考からしても。その核とやらを攻撃されてしまえば、全てのルーラーシステムは破壊されてしまうのでは?」

  ヤドクの質問に、国王は大きく頷く。場面を切り替えたような咳をし、高い天井を見上げた。

「……確か。この話を持ちかけたのは、お前たちのボス…シーレッド長官、レパート・タイという男だったかな。奴は我々研究者にこう言ったのだ。ルーラーの核を作れば、莫大な力となり、アクチノイドの襲撃に対抗できる最強の武器ができる。とな…」

  ミアナの眼光が、小さく揺れる。

「……結局、それは、どうなったのです?」
「…………失敗した」
「つまり、核は作れなかったと?」
「いいや、核は完成したんだ。だが、未だに武器化は完了せず、そのままだ」
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...