セカンドアース

三角 帝

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第9章 ヤカロザ決戦

10.予兆と開幕

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  土混ざりの煙がもくもくと立ち上り、瓦礫と瓦礫の隙間から助けを求める敵味方の苦痛な叫びが溢れてくる。

「ふ~ん、随分と様になったじゃないか。タイトルは敗北かな?」

  白髪の男は、銀の剣を左右に切り払い、高く掲げ素早く鞘に戻し、振り返り際にそんなことを呟いた。

「まぁ、平和ボケとはこういうことだよね、怖い怖い、この世で最も怖いよ、平和ボケってのは。な、プロト?」
「俺にフルな……」
「え~つまんないなぁ」
「そういえばお前、部下っぽい奴になんか言ってなかったか?」
「ん?あー、言ったいった、臆病者は逃げろとね」
「あいつら、そのつもり無いみたいだけど…というか……」

  青髪の男は、手元の書類を指先で回し、白髪の方へ向けた。書類に書かれた文字がぐねぐねと入れ替わり、カチリと一致した時には書類内容は全く別のものにすり替わっていた。
 
「ふ~ん、面白いこと考えたもんだね。だからあの天才君は怖いんだよな、僕」
「お前に怖いものか…笑えるな」
「笑うなよ。で?これは?」
「……お前の大好きな、裏切り者の予兆だと俺は見込んでいるのだが?」
「ほー!それは楽しみだ!良いものが見れそうだなぁ、お、そう言えば、さっき上の方でどんちゃんやってた僕の坊やはどこかな?」

  青髪はもう一度書類を突き出す。
  再び、文字が入れ替わり、またもや別の内容へと書き換わった。

「……くくく…ちょっとマジかよこれ」

  白髪の男は、口元に嘲笑を浮かべると、天を仰いだ。

「僕らも行こうか……」
「行き先は?」
「当たり前だろ?…ハリスナだ」
「はいはい、了解。ボス」
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