セカンドアース

三角 帝

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番外編 セカンドアース日常

9.先を照らす輩

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「はぁ!?なんでおれが、ンなこと!?」
「まぁまぁ、仲良くなるための口実さ~ほら、コレ届けるだけでいいんだから、ね?」

  あれから数日が経過し、アインとの部屋での会話は一度もなく、ただただ互いに存在を消し合う生活を続けていた。
  もともと、フェルにとってあの部屋は気持ちを安らげるとか、趣味を楽しむとか。そんな重要な居場所でもなく、ただ疲れをとるために寝る。それだけの場所だったため、アインと同室になったからといって何か害があるわけでもなかった。それに、上からの任務も頻繁になり、本部に戻らない日も度々続くようにもなっていたため、正直、それはどうでもいい問題になっていた。
  だが、あいつと喋る。というのとは別だ。

  自室であるはずの扉の前で、何度か口をもごつかせた。
  なんて言えばいいんだよ。
  ほら、やるよ。いや、違う。死ねよ、クズ。いや、違う。とりあえず殺させろ。いやいや、まず路線から離れてる!
  
  そんなこんなでオドオドしているところ、目の前の扉がふいに開かれた。
  中から、ふと顔を出した赤髪と、バッチリ目が合ってしまう。

「ア、アイン……先輩(?)」
「……何?」
「…え、えっと……コレ…アクから渡せって言われて…」

  そう言って手の中の包み紙を手渡す。
  重みが抜け、その中の物の重たさが改めて確認できた。いったいそれが何なのか知らされることもなかったため、正直アインにはその場でその中を確かめて欲しかった。

「ここで、開けたほうがいいか?」
「…へ?え、あ、いや、その…」
「分かった、開ける」

  アインはそう言うと、包み紙をガサガサと破いた。出てきたのは、派手な細工と、きめ細やかな色使いの銀の箱だった。

「あ、それ…」
「何?これ?」
「……銀武器…っていうやつっす…」

  なんだこの喋り方!?
  敬語といつもの口調が見事にマッチし、謎のキャラを生み出した自身に驚きながらも、言い直すのも今更だと思い、そのままにする。

「ふ~ん、俺に…」

  アインはなんの躊躇もなく、その箱をこじ開けた。バキッという音がして、もっと丁寧に開けろよ!と叫びたくなるがグッと堪える。
  箱の中にあったのは、純白の布地に深く沈み込んだ、重量感のある銀の拳銃だった。スライド部分には、炎を形どったような綺麗な文様が刻まれている。

「……銃…か…………」

  レブルブルー上位階級の者には、このように長官から銀武器と言われる、特殊装備をもらうことができる。
  フェルの銀拳や、ノーベの銀斧、プロトの銀鎌、そしてアクの銀剣。そのどれもが様々な特殊効果をもっており、強力な武器である。これを操る者にはかなりの実力が強いられるため、アインのように入団早々から銀武器を渡されるというのはありえないことなのだ。

「……俺、銃、使ったことない……」
「え。」

  アインは、ふとそのポーカーフェイスを解く、ように見えた。

「教えて、くれるか?」

  この人がいったいどういう人なのか、どんなことを隠し、どんなことを思い、この組織に入団したかは分からない。

  でも、この人についていこうと思ったのは…どれも本当のことだ


「もちろんっすよ!アイン先輩!」

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