セカンドアース

三角 帝

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ブーム君とヤドク君の秘密

5.双子の違い

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「クク……ククククク……ククク」

  その笑い声が聞こえたのは、コナーがヤドクにタバコを押し付けようと構えた寸前だった。

「な、なんだよテメェ…」

  コナーがタバコを持った手を緩めると、それは無抵抗にヤドクの背中に落ちた。ヤドクはそれ対して何の反応もないまま、ゆっくりと起き上がる。
  肩を落とし、首を傾けたヤドクはニヤリと口元に笑みを浮かべた。
  急に笑い出したヤドクに、その場の全員が後ずさる。

「ねぇ…もしかして……だけどさぁ…あんた…オレのこと…ヤドクだと思ってんの?」
「は、はぁあ!?ち、ちげぇのかよ!」
「バッカじゃねぇの~?オレはブームだっつの~」
「い、意味ワカンねぇよ、つかお前ら似すぎてキモいんだよ!死ねよ!お、お前ら行くぞ!もう、付き合ってらんねぇよ!」

  そんなことをべちゃべちゃと汚く喋りながら、コナーは仲間を連れて再び茂みの中へと戻っていく。
  その音が完全に消え、公園はさっきの惨事を一つも残さずに静まり返った。

「痛ッ………」
「おい大丈夫かよヤドク!」
「だ、大丈夫だよ……」

  しゃがみこんだヤドクはそうやって辛そうに笑った。

「なんであんな嘘ついた?」
「へへ、そうしなきゃなかなか終わってくれそうになかったでしょ?あれ」
「まぁな」
「でも、ごめん…ボクがブームなんて嘘ついたから…今度からはブームが何かされちゃうかもしれない……」
「何言ってんだよバーカ、もうあんな家に戻んないからなぁ~」
「なら、逃げるなら一人で逃げて…」
「ヤドク…?」

  ヤドクが首で指した方を振り返ると、そこには赤いペンシルワンピースを着た女が立っていた。慌てたのか靴はなく、裸足のままだ。ころころと色が変わる髪色は、懐かしい焦げ茶色に戻っていて、心配そうな表情は昔と変わらないように見えた…

「……母さん…」
「ヤドク!!」

  母さんの匂いが、オレの横を通り抜けて後ろのヤドクへと流れていった。
  振り返ると、ヤドクは何事も無かったかのように青パーカーを着なおし笑っていたが、その額から流れる血までは隠しきれていなかった。

「ど、どうしたの!?何があったのよヤドク!ねぇブーム!ヤドクに一体何をしたって言うの!?」

  激しい剣幕の母さんが、ズイっと顔を近づける。それに押され尻餅をついたオレを母さんは鼻で笑い、ヤドクを背中に抱える。

「さぁ行きましょヤドク!あんな子ともう二度と関わっちゃダメよ」
「でも母さん……」
「あなたは特別な子よ?もう外に出るなんて危険なこと…あの子と関わるなんてとんでもないことしないでちょうだい!」
「でも母さん!ブームは!」
「お母さんの言うことが聞けないの!?」

  そうだ………オレは…、ヤドクとは違う…

  いつも公園で一人だった。
  それなりに友達もできたけど、オレだけ帰りをどうしようかって迷って、なかなか帰れずにいて夜になるまで公園にいたりもした、だから友達の親もオレを避けるようになって…次第にオレは孤立していって、もう遊ぶ相手もいなくなってしまったんだっけ…
  忘れていたんだ…全部、何もかも……

  オレが帰れなかった理由は…気づいていたからなのかもしれない……

「…オレは……役立たずなんだ…」
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