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アダム君の秘密
3.黒の大切
しおりを挟む「え?喧嘩?今度は何する気なの?」
「いや…俺もよく分かんないけど、同じ顔の奴か、二重人格の奴がいて、そいつらが俺に…」
「それってもしかして、ヤドクとブームのことじゃない?」
「ヤドクとブーム?」
「うん、孤児院の中では問題児だって有名なんだよ?噂では、昔は二人で危ないことに手出ししてたんだって~」
「危ないこと?」
イヴはそこまで言うと、追求するアダムの唇に、そっと人差し指を立てた。
「ねぇアダム?誰にだって、嫌な過去はたくさんあるんだよ?」
「……あ、うん…そうだな」
イヴと出会ったのは、孤児院に入ってから間もない頃。突如現れ、あっという間に親しくなり、今ではどんな時でも側にいる存在になった。
孤児院の中では、目を引く美人で、ルビーレッドの瞳と美しい長い黒髪がトレードマークだ。俺が来た時は風邪をこじらせ、登場が遅くなったのだとか…しかし、彼女と出会えたおかげで、今の自分があることは、アダム自身が一番知っていることである。
「とりあえず、ヤドクとブームは一卵性の双子だよ、すっごく似てるから私も最初ビックリしちゃった。ヤドクは頭が良いんだけど、頑固で、そのわりには引っ込み思案で、お兄さんのブームとは対照的なの、ブームはどちらかというと、目立ちたがり屋で運動神経抜群で、みんなの中心にいる感じかな」
「へ~…よく見てるんだな」
「そりゃ見ちゃうじゃない?二人とも、カッコいいし」
か、かっこ…
「どうしたの?」
「…な、なんでもねぇ……続けろ」
「え~、何よ~。あ、でも二人とも私たちと同い年だから、アダムも私だけじゃなくて、二人とも仲良く…」
「俺はイヴがいればそれでいい」
イヴは一瞬驚いたように目を丸くするが、すぐに困ったような笑顔に変え誤魔化す。
「……まったく…アダムはアダムだね」
何もかもを忘れてしまった俺にとって、イヴは他のどんなものよりも大切な存在だった。
だが、そんなイヴは、とても近くて…とても遠いところにいる。
「アダムの髪は…良い色をしてる…」
そしてイヴはいつもおかしなことを言う。ふと口からついて出たような…何気ない一言…
「イヴはよくそう言うけど…俺の髪のどこが良い色なんだ?だいたい、それを言うならイヴの髪だって…」
「違うの、アダムは良い色をしてる…私は好きなの…アダムの色が」
「イヴと変わらないんだけどな」
「………あ、そうだ!二人に喧嘩売られたんだったよね?」
「うん…そうだけど」
「なら、買いに行くんでしょ?」
「…機会があればな……」
「よし!じゃぁ明日だね!」
「何が?」
「だーかーらー!喧嘩だよ!喧嘩しようよ!ね?」
「いや、ね?って…言われても……」
「もしその喧嘩に勝ったら…アダムのことカッコいいって思っちゃうかもなぁ~」
よし、その話乗った。
「……誰得だよ…」
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