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反省
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昼食が終わり、午後の授業は戦闘訓練の反省だった。担任の雪奈は着席している生徒を見回して口を開いた。
「皆さん、戦闘訓練お疲れ様でした。戦闘訓練をしてみて、皆さんの問題点、そして課題が見えてきたのではないでしょうか?」
亜子は机に視線を落としてうつむいた。雪奈の言う通り、これからの亜子には課題が山積みだ。今回はたまたま狼牙にカミナリを的中させ、狼牙に大きなケガをさせる事なく動きを止める事ができた。
だが一歩間違えば、狼牙に大ケガをさせていたかもしれない。亜子はこれから妖術をしっかり操れるようにならなければいけない。
雪奈はまず河太郎に質問した。河太郎は席を立って言った。
「おらはもっと水の術を操れるようにならなければいけない。みなもの力と押し合いになって、動く事ができなくなった」
次にみなもが口を開いた。
「私も同じです。水流を分散して操る事ができれば、もっと皆の役に立てたと思います」
次に雪奈は山彦に答えるようにうながした。山彦は立ち上がると、顔をしかめて狐太郎をにらみながら言った。
「俺は自分の妖術が、狐太郎の術に防がれた事が悔しい」
山彦の視線に気づき、狐太郎は眠っている狼牙を抱っこしたまま立ち上がって言った。
「俺は悟が事前に敵の次の行動を示してくれたから、術を使う事ができたにすぎない。俺と山彦が二人で戦えば、俺はきっと負けているだろう」
狐太郎の言葉に、山彦はチッと舌打ちをした。雪奈はうなずいてから、悟に質問した。悟はおずおずと席を立って答えた。
「僕はただ、狐太郎くんに相手の思考を話しただけです。グループに指示を出したのは狐太郎くんです。僕一人では何もできない。僕は、誰かに守ってもらわなくても、自分で自分の身を守れるように、強くなりたいです」
悟の明瞭な決意に、雪奈は大きくうなずいてから、清姫に質問した。
「私は毒の使い方をもっと考えなければと思いました。手の内を知られていたとはいえ、菊花のクモの網に防がれてしまいましたから」
次に菊花が立ち上がって言った。
「完全に防げはしなかったわ?私の作った網のすき間から、みなもちゃんが毒に当たってしまったから。私はもっとクモの糸を使いこなせるようになりたいです」
雪奈はうなずいて、音子に質問した。音子は元気よく立ち上がって言った。
「あたしはいい所なかったです。狼牙くんに惨敗だったし。猫の姿でも他の妖術を使えるようにならないといけないと思いました」
雪奈はうなずいてから、眠ってしまった狼牙を抱いている狐太郎を見た。狐太郎はうなずいて答えた。
「狼牙は興奮すると、暴走してしまうんだ。今回は、亜子が止めてくれて助かった」
雪奈は亜子に視線を移して言った。
「亜子さん、どうですか?」
亜子は震えながら立ち上がって口を開いた。
「わ、私は、自分の妖術を使う事が、とても怖かった。私のせいで、誰かが傷つくのが怖かった。だけど、私、もっと妖術を練習したいです。そして、私の大切な人を守りたい」
亜子はそれだけ言い終えると、フゥッと息を吐いた。雪奈は笑顔でうなずいてくれた。
「皆さん、戦闘訓練お疲れ様でした。戦闘訓練をしてみて、皆さんの問題点、そして課題が見えてきたのではないでしょうか?」
亜子は机に視線を落としてうつむいた。雪奈の言う通り、これからの亜子には課題が山積みだ。今回はたまたま狼牙にカミナリを的中させ、狼牙に大きなケガをさせる事なく動きを止める事ができた。
だが一歩間違えば、狼牙に大ケガをさせていたかもしれない。亜子はこれから妖術をしっかり操れるようにならなければいけない。
雪奈はまず河太郎に質問した。河太郎は席を立って言った。
「おらはもっと水の術を操れるようにならなければいけない。みなもの力と押し合いになって、動く事ができなくなった」
次にみなもが口を開いた。
「私も同じです。水流を分散して操る事ができれば、もっと皆の役に立てたと思います」
次に雪奈は山彦に答えるようにうながした。山彦は立ち上がると、顔をしかめて狐太郎をにらみながら言った。
「俺は自分の妖術が、狐太郎の術に防がれた事が悔しい」
山彦の視線に気づき、狐太郎は眠っている狼牙を抱っこしたまま立ち上がって言った。
「俺は悟が事前に敵の次の行動を示してくれたから、術を使う事ができたにすぎない。俺と山彦が二人で戦えば、俺はきっと負けているだろう」
狐太郎の言葉に、山彦はチッと舌打ちをした。雪奈はうなずいてから、悟に質問した。悟はおずおずと席を立って答えた。
「僕はただ、狐太郎くんに相手の思考を話しただけです。グループに指示を出したのは狐太郎くんです。僕一人では何もできない。僕は、誰かに守ってもらわなくても、自分で自分の身を守れるように、強くなりたいです」
悟の明瞭な決意に、雪奈は大きくうなずいてから、清姫に質問した。
「私は毒の使い方をもっと考えなければと思いました。手の内を知られていたとはいえ、菊花のクモの網に防がれてしまいましたから」
次に菊花が立ち上がって言った。
「完全に防げはしなかったわ?私の作った網のすき間から、みなもちゃんが毒に当たってしまったから。私はもっとクモの糸を使いこなせるようになりたいです」
雪奈はうなずいて、音子に質問した。音子は元気よく立ち上がって言った。
「あたしはいい所なかったです。狼牙くんに惨敗だったし。猫の姿でも他の妖術を使えるようにならないといけないと思いました」
雪奈はうなずいてから、眠ってしまった狼牙を抱いている狐太郎を見た。狐太郎はうなずいて答えた。
「狼牙は興奮すると、暴走してしまうんだ。今回は、亜子が止めてくれて助かった」
雪奈は亜子に視線を移して言った。
「亜子さん、どうですか?」
亜子は震えながら立ち上がって口を開いた。
「わ、私は、自分の妖術を使う事が、とても怖かった。私のせいで、誰かが傷つくのが怖かった。だけど、私、もっと妖術を練習したいです。そして、私の大切な人を守りたい」
亜子はそれだけ言い終えると、フゥッと息を吐いた。雪奈は笑顔でうなずいてくれた。
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