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不安な知らせ
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パティが大きくなったピンキーの背中に乗って王都に向かっていた時、姉のマイラから連絡が入った。
〔パティ。今大丈夫?〕
「マイラ!ええ、今ピンキーと空を飛んで冒険者協会に帰るところよ」
〔良かった。じゃあ、後で私のところに来てくれる?〕
「ええ、わかったわ」
マイラは《ボイス》の訓練をして、通信相手と会話ができるようになったのだ。
パティは姉のマイラがいつもと様子が違う事に気になった。いつものマイラだったら、一緒に夕食をしましょう、だとか。パティに似合うアクセサリーを見つけたの、帰りに家に寄ってね、だとか。
パティに会う事が楽しみで仕方ないという感じなのだ。だが先ほどのマイラは、とても不安な様子だった。
パティは心配な気持ちになりながれピンキーに速く飛んでとお願いした。
パティが冒険者協会の屋内に入ると、受付に座っていたマイラはすぐに気づいて手を振った。
パティが近づくと、マイラはとなりの受付嬢に、休憩を取るむねを伝えて席を立った。ここでは話しにくい事らしい。
マイラはパティを冒険者協会の休憩所に連れて行った。テーブルとイスが並んでいて、数人の人たちが席に座っている。
ここは冒険者協会の職員や冒険者たちが休憩したり、食事をとる事ができるスペースだ。
マイラはイスに腰かけてから、パティに座るようにうながした。パティがイスに座ると、飛んでいたピンキーがパティの肩にとまる。
マックスたちにはそのままショルダーバックの中にいてもらう。
マイラはフウッとため息をついてから口を開いた。
「あのね、パティ。私貴女に謝らなければいけない事があるの。以前、私。パティの同郷のマフサとトマの事で何かあったら貴女に知らせるって言っていたじゃない?」
「ああ、その事。気にしないで?マイラ。村を出てからマフサたちには一度も会っていないの。きっともう会う事もないわ」
マイラはそんな事を気にしていたのか。パティはホッとして、マイラを元気づけるように笑った。マイラはこわばった顔に少し笑みを浮かべて答えた。
「そうね。パティとアイツらにはもう何の関係もないわ。ちょっとした世間話として聞いてね?」
パティがうなずくと、マイラは意を決したように語り出した。
「マフサたちの依頼完了割合はほぼ百パーセントなの。だけど冒険者協会での評価は高くないわ。マフサたちが請け負う依頼はおもに犯罪者の捕縛。だけどマフサたちは捕縛対象の犯罪者を騎士団に連れて来た事は一度もないの」
パティは嫌な予感がして、グッと息を飲んだ。マイラは自分の握りしめた両手に視線を向けたまま言った。
「マフサたちは捕縛対象の犯罪者をすべて焼き殺しているの」
〔パティ。今大丈夫?〕
「マイラ!ええ、今ピンキーと空を飛んで冒険者協会に帰るところよ」
〔良かった。じゃあ、後で私のところに来てくれる?〕
「ええ、わかったわ」
マイラは《ボイス》の訓練をして、通信相手と会話ができるようになったのだ。
パティは姉のマイラがいつもと様子が違う事に気になった。いつものマイラだったら、一緒に夕食をしましょう、だとか。パティに似合うアクセサリーを見つけたの、帰りに家に寄ってね、だとか。
パティに会う事が楽しみで仕方ないという感じなのだ。だが先ほどのマイラは、とても不安な様子だった。
パティは心配な気持ちになりながれピンキーに速く飛んでとお願いした。
パティが冒険者協会の屋内に入ると、受付に座っていたマイラはすぐに気づいて手を振った。
パティが近づくと、マイラはとなりの受付嬢に、休憩を取るむねを伝えて席を立った。ここでは話しにくい事らしい。
マイラはパティを冒険者協会の休憩所に連れて行った。テーブルとイスが並んでいて、数人の人たちが席に座っている。
ここは冒険者協会の職員や冒険者たちが休憩したり、食事をとる事ができるスペースだ。
マイラはイスに腰かけてから、パティに座るようにうながした。パティがイスに座ると、飛んでいたピンキーがパティの肩にとまる。
マックスたちにはそのままショルダーバックの中にいてもらう。
マイラはフウッとため息をついてから口を開いた。
「あのね、パティ。私貴女に謝らなければいけない事があるの。以前、私。パティの同郷のマフサとトマの事で何かあったら貴女に知らせるって言っていたじゃない?」
「ああ、その事。気にしないで?マイラ。村を出てからマフサたちには一度も会っていないの。きっともう会う事もないわ」
マイラはそんな事を気にしていたのか。パティはホッとして、マイラを元気づけるように笑った。マイラはこわばった顔に少し笑みを浮かべて答えた。
「そうね。パティとアイツらにはもう何の関係もないわ。ちょっとした世間話として聞いてね?」
パティがうなずくと、マイラは意を決したように語り出した。
「マフサたちの依頼完了割合はほぼ百パーセントなの。だけど冒険者協会での評価は高くないわ。マフサたちが請け負う依頼はおもに犯罪者の捕縛。だけどマフサたちは捕縛対象の犯罪者を騎士団に連れて来た事は一度もないの」
パティは嫌な予感がして、グッと息を飲んだ。マイラは自分の握りしめた両手に視線を向けたまま言った。
「マフサたちは捕縛対象の犯罪者をすべて焼き殺しているの」
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