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自ら飛び込む危機
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レオンはしっかりとアルスを抱っこしながら、強い風にあおられないようにして周りを確認した。
辺り一面緑の海が広がっている。何の変化もない平和な森だ。このような森でどのような危険な事があるだろうか。レオンが半ばあきらめかけたその時、ドーンという大きな音の直後、遠くの方で、メキメキと木が倒れる音がした。
レオンがジッと目をこらすと、木々の間から、茶色い大きな物体が動いているのが見えた。レオンは大声で叫んだ。
「野良ゴーレムだ!」
「野良ゴーレムとはなんじゃ?」
アルスは不思議そうにレオンに質問した。ゴーレムとは、魔法で作られた土人形だ。野良ゴーレムとは、魔法使いが魔法で土人形を作った後、しっかり魔法を解かないで放置したゴーレムの事だ。
「野良ゴーレムってのはね、魔法使いがちゃんと片付けなかった土人形の事なんだ。周りの土を吸収して、どんどん大きくなって、周りを壊しちゃうんだ」
「迷惑な奴じゃのう」
「野良ゴーレムが、というより、魔法使いがいけないよね」
レオンはマナーの悪い魔法使いにため息をついた。魔法使いとは、火、水、風、土全てのエレメントと契約していて、あらゆる魔法を使える者の事をいう。だが魔法使いの中には、特権意識の強い者もいる。
アルスはふむふむとうなずいてから言った。
「よし、あの野良ゴーレムをオレ様が破壊してやろう。レオン、野良ゴーレムの側まで行くのじゃ!」
「えっ!あんなに大きなゴーレムを破壊するの?!大丈夫?」
レオンの驚きに、アルスは気分を害したようで、頬をプクッとふくらませて言った。
「レオン。オレ様は神だぞ?!できないわけないだろう。早くゴーレムの所に行くのじゃ」
本来ならば野良ゴーレムを目撃したら、危険がおよばない場所に避難するのが鉄則だ。短い期間でアルスがガンコな性格だと学んでいたレオンは、仕方なく言う通りにした。
乗っている大木を縮めて地面に降りると、野良ゴーレムのいる場所まで、アルスをかかえて走った。
アルスは自分が抱っこされているくせに、レオンに早く走れと文句を言った。レオンは汗だくになりながら走った。それもこれもアルスの魔法を見るためだと自分を鼓舞しながら。
ようやく野良ゴーレムの歩いていた森まで来た。辺りは巨大なゴーレムに、見るも無惨に踏みつぶされていた。アルスがゴーレムを止めてくれるのならば、早くしてほしい。
アルスは息を切らしているレオンにおかまいなしに言った。
「のう、レオン。どうやってゴーレムをおびき寄せるのじゃ」
「ハァッハァッ、ゴーレムは、作った魔法使いの命令しか聞かない。ハァッ、だけど音に敏感だから、大声を出せば、こっちにやってくるよ」
「ならば、ここに呼び寄せるのじゃ!レオン、叫べ!」
命令ばかりして。と、思わないでもないが仕方がない。レオンは呼吸を整えてから叫んだ。
「おおい!おおい!」
しばらくすると、ドンッドンッと地響きが鳴り響いた。その音はだんだんと近づいて来た。
メリメリと木をなぎ倒しながら、レオンたちの目の前に巨大な土人形が現れた。
辺り一面緑の海が広がっている。何の変化もない平和な森だ。このような森でどのような危険な事があるだろうか。レオンが半ばあきらめかけたその時、ドーンという大きな音の直後、遠くの方で、メキメキと木が倒れる音がした。
レオンがジッと目をこらすと、木々の間から、茶色い大きな物体が動いているのが見えた。レオンは大声で叫んだ。
「野良ゴーレムだ!」
「野良ゴーレムとはなんじゃ?」
アルスは不思議そうにレオンに質問した。ゴーレムとは、魔法で作られた土人形だ。野良ゴーレムとは、魔法使いが魔法で土人形を作った後、しっかり魔法を解かないで放置したゴーレムの事だ。
「野良ゴーレムってのはね、魔法使いがちゃんと片付けなかった土人形の事なんだ。周りの土を吸収して、どんどん大きくなって、周りを壊しちゃうんだ」
「迷惑な奴じゃのう」
「野良ゴーレムが、というより、魔法使いがいけないよね」
レオンはマナーの悪い魔法使いにため息をついた。魔法使いとは、火、水、風、土全てのエレメントと契約していて、あらゆる魔法を使える者の事をいう。だが魔法使いの中には、特権意識の強い者もいる。
アルスはふむふむとうなずいてから言った。
「よし、あの野良ゴーレムをオレ様が破壊してやろう。レオン、野良ゴーレムの側まで行くのじゃ!」
「えっ!あんなに大きなゴーレムを破壊するの?!大丈夫?」
レオンの驚きに、アルスは気分を害したようで、頬をプクッとふくらませて言った。
「レオン。オレ様は神だぞ?!できないわけないだろう。早くゴーレムの所に行くのじゃ」
本来ならば野良ゴーレムを目撃したら、危険がおよばない場所に避難するのが鉄則だ。短い期間でアルスがガンコな性格だと学んでいたレオンは、仕方なく言う通りにした。
乗っている大木を縮めて地面に降りると、野良ゴーレムのいる場所まで、アルスをかかえて走った。
アルスは自分が抱っこされているくせに、レオンに早く走れと文句を言った。レオンは汗だくになりながら走った。それもこれもアルスの魔法を見るためだと自分を鼓舞しながら。
ようやく野良ゴーレムの歩いていた森まで来た。辺りは巨大なゴーレムに、見るも無惨に踏みつぶされていた。アルスがゴーレムを止めてくれるのならば、早くしてほしい。
アルスは息を切らしているレオンにおかまいなしに言った。
「のう、レオン。どうやってゴーレムをおびき寄せるのじゃ」
「ハァッハァッ、ゴーレムは、作った魔法使いの命令しか聞かない。ハァッ、だけど音に敏感だから、大声を出せば、こっちにやってくるよ」
「ならば、ここに呼び寄せるのじゃ!レオン、叫べ!」
命令ばかりして。と、思わないでもないが仕方がない。レオンは呼吸を整えてから叫んだ。
「おおい!おおい!」
しばらくすると、ドンッドンッと地響きが鳴り響いた。その音はだんだんと近づいて来た。
メリメリと木をなぎ倒しながら、レオンたちの目の前に巨大な土人形が現れた。
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