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376、レジスタンス
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(でも、それならリカルド、あの男は一体何なの? あの男も精霊王の血を引いていると言っていたわ)
エリスのその疑問。
エイジは呟くように言った。
「公爵たちが、あの剣を手に入れたがっているのは分かった。リカルドも目的は同じなのか?」
ラエサルは静かに口を開いた。
「分からん。だが、あの男は自らを精霊王の血を引く者だと言っていた。だとすれば、求める物は一緒だと考えた方がいいだろう」
(あの男のことだ、それだけが目的だとも思えないが)
とラエサルは思う。
少なくとも、公爵やアンリーゼとは別の動きをしている男だ。
仲間であればアンリーゼがその命を狙っているのも解せない話である。
それに……とラエサルは思った。
(なぜ奴は俺たちを殺さない? あの門が生じた時、奴にはその機会が十分にあったはずだ)
殺さずに生かしている理由があるのか。
だとしたらそれは一体なんだ? どんな理由があるというだ、と。
ラエサルはエリスを見つめる。
トラスフィナ王家……いやローゼディア王家の血を引く少女。
エイジはラエサルに尋ねた。
「ラエサルさん、どうしますか? 隠れ家はリカルドに知られている」
エリスも頷く。
「ええ、危険だわ! 他の場所に移りましょう!」
それを聞いてラエサルは頷いた。
「ああ、直ぐに別の場所に移るぞ」
この場所さえ探り当てた男に対して、それが有効なのかは分からないがこのままここに居るよりはいいだろう。
ラエサルはそう判断する。
直ぐに指令室に戻りそのことを皆に話した。
キーラやアンジェも同意する。
「そうね、移動した方がいいわね。ジーナたちが来るのなら私の蜘蛛を一匹置いていくわ。ジーナなら直ぐに気が付くはず」
「流石ねキーラ」
こんな時はやはり頼りになる、とアンジェはキーラの指から放たれた黄金の蜘蛛を眺めていた。
リアナとオリビアは、先程の風呂のことを思い出して少し残念そうな顔をした。
だが、そんなことを言っている場合ではないことも自覚している。
「行きましょう」
「でも……ララリシアは?」
リアナの言葉に、ラエサルはララリシアを見つめた。
(確かにな。だがエリスの話によると、リカルドは女王ララリシアの魂の欠片とやらが目的だったはずだ。ならばもう危険はあるまい)
ところが、ララシリアはラエサルに言った。
「私も行くわ!」
「ララリシア。だが、お前ここを離れることが出来るのか?」
人工生命体としての彼女の仕事は、ここの管理者のはずだ。
ラエサルの言葉に、ララリシアはモニターを指さした。
エイジはそれを見て思わず呟いた。
「これは……あの歌の時に流れていたデータか?」
真実の門が開かれた時、同時にまるで何かがダウンロードされるかのように画面に次々と現れた文字データ。
女王ララリシアの魂は消えても、そのデータは残っていたのだろう。
モニターには次第に、広大な地下都市の地図が浮かび上がっていく。
ララリシアはラエサルを見つめながら言った。
「あの歌が聞こえた後のことは良く思い出せないわ。でも私の中に流れ込んできた知識があるの。これはかつてレジスタンスと呼ばれていた人たちの施設。感じるの、まだこことリンクしているものもあるって。私が一緒に行けば今でも動かせるはずよ」
エリスのその疑問。
エイジは呟くように言った。
「公爵たちが、あの剣を手に入れたがっているのは分かった。リカルドも目的は同じなのか?」
ラエサルは静かに口を開いた。
「分からん。だが、あの男は自らを精霊王の血を引く者だと言っていた。だとすれば、求める物は一緒だと考えた方がいいだろう」
(あの男のことだ、それだけが目的だとも思えないが)
とラエサルは思う。
少なくとも、公爵やアンリーゼとは別の動きをしている男だ。
仲間であればアンリーゼがその命を狙っているのも解せない話である。
それに……とラエサルは思った。
(なぜ奴は俺たちを殺さない? あの門が生じた時、奴にはその機会が十分にあったはずだ)
殺さずに生かしている理由があるのか。
だとしたらそれは一体なんだ? どんな理由があるというだ、と。
ラエサルはエリスを見つめる。
トラスフィナ王家……いやローゼディア王家の血を引く少女。
エイジはラエサルに尋ねた。
「ラエサルさん、どうしますか? 隠れ家はリカルドに知られている」
エリスも頷く。
「ええ、危険だわ! 他の場所に移りましょう!」
それを聞いてラエサルは頷いた。
「ああ、直ぐに別の場所に移るぞ」
この場所さえ探り当てた男に対して、それが有効なのかは分からないがこのままここに居るよりはいいだろう。
ラエサルはそう判断する。
直ぐに指令室に戻りそのことを皆に話した。
キーラやアンジェも同意する。
「そうね、移動した方がいいわね。ジーナたちが来るのなら私の蜘蛛を一匹置いていくわ。ジーナなら直ぐに気が付くはず」
「流石ねキーラ」
こんな時はやはり頼りになる、とアンジェはキーラの指から放たれた黄金の蜘蛛を眺めていた。
リアナとオリビアは、先程の風呂のことを思い出して少し残念そうな顔をした。
だが、そんなことを言っている場合ではないことも自覚している。
「行きましょう」
「でも……ララリシアは?」
リアナの言葉に、ラエサルはララリシアを見つめた。
(確かにな。だがエリスの話によると、リカルドは女王ララリシアの魂の欠片とやらが目的だったはずだ。ならばもう危険はあるまい)
ところが、ララシリアはラエサルに言った。
「私も行くわ!」
「ララリシア。だが、お前ここを離れることが出来るのか?」
人工生命体としての彼女の仕事は、ここの管理者のはずだ。
ラエサルの言葉に、ララリシアはモニターを指さした。
エイジはそれを見て思わず呟いた。
「これは……あの歌の時に流れていたデータか?」
真実の門が開かれた時、同時にまるで何かがダウンロードされるかのように画面に次々と現れた文字データ。
女王ララリシアの魂は消えても、そのデータは残っていたのだろう。
モニターには次第に、広大な地下都市の地図が浮かび上がっていく。
ララリシアはラエサルを見つめながら言った。
「あの歌が聞こえた後のことは良く思い出せないわ。でも私の中に流れ込んできた知識があるの。これはかつてレジスタンスと呼ばれていた人たちの施設。感じるの、まだこことリンクしているものもあるって。私が一緒に行けば今でも動かせるはずよ」
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