私、ハンクラー!今、ダンジョン にいるの

木野葛

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ダンジョン学校編

それぞれの武器

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 小川は小野川と竹刀サイズのスポーツチャンバラ用エアーソフト剣で、打ち合っているのが見える。素人目にもすごいのだろうなというのがわかった。小川の方が勢いがあるように見えるが、それをうまくいなしているのが小野川のようだ。動きの参考になるかと思ったが、凄すぎて参考にはならないと早々に諦める。剣道の環境とはだいぶ違うだろうに、よく動けるのは才能だろう。
 男性陣は基本的には剣を扱っているようだった。神田は剣と盾、東山が短剣を二本持っているのが見えた。

(壁役とシーフかな・・・?)

 生真面目そうに武器の扱い方を講師に習っている山崎は槍を持っている。
 そんなことを思っていると、男性陣の打ち合いが始まる。山崎は習ったことをしっかり行う、といった感じで、神田はどちらかというと剣と盾の使い方がなっておらず素人目にも振り回されているように見えた。東山は思ったよりも素早く、シーフといった印象は正解だったように感じる。

(東山君は動きがいいな。若いからか)

 そんなことを思いながら男性陣を見ていたが、つい激しい打ち合いをする小川と小野川にも視線が行ってしまう。参考にならないと思いつつも、目が惹かれる。男性陣と小川たちを交互に見ていると、「もう無理ィ」という泣き言が聞こえた。作菜が視線を移せば、佐藤がぺシャリと床に潰れていた。

「根本的なところで、あまりにも体力がありませんね。筋トレとかオススメです!」

 宮古が爽やかにダメ出しした。Tシャツから見える佐藤の白い二の腕は確かに細く筋肉はなさそうだった。棒を振っているというよりも棒に振り回されている、という印象だ。

「だからぁ、あたし魔法使い志望なんですぅ」
「魔法にも体力は関係してきますよ。体力がないと集中力が落ちますし、魔法の威力の良し悪しに関わってきます。集中しきれないと魔法は発動しません」

 講師の言葉に思わず「へー」と作菜は声を出した。声を出したついでに質問する。

「やっぱり基本は体力ですか?」
「そうですね。基本は体力です。毎日十分でも運動を意識している人と、していない人ではダンジョンの成果も違ってきます。それに、ダンジョンは歩いているだけで体力がめちゃくちゃ消費する場所ですからね。ダンジョンに入っていれば体力が勝手につくと舐めきっている人から、死にます」
「直接的表現」

 あまりに直球すぎる言葉に、思わず突っ込む。しかし、そのあまりにストレートな言葉だけに舐めきってダンジョンに行く人ほど、早く死ぬのだろうな、ということがひしひしと伝わってくる。
 現実は甘くない。ダンジョンは死が身近にある場所だ。

(体力をつけよう。素振りもやろう)

 やはりダンジョンの基本は体力と武器の反復練習だ。ダンジョンで死にたくない作菜は決意した。

 武器の取り扱いを習った後は、今まで使っていた武器をケースや袋に入れて持っていくことになる、という講義になった。
 街中で武器を持ったまま歩くというのは当然違法となるため、ケースや袋などに入れて持ち歩くことが義務付けられている。特に刃物などの人を切る武器などは、鍵付きのケースとダンジョンライセンスを持っていなければ違法で警察に職質されれば一発でアウト。罰金刑になってしまう。

「意外と、ダンジョンライセンスは忘れやすいから気をつけろ。失くしたら再発行はできるが、金がかかるから注意しろ」
 小野川の注意に、生徒一同は頷いた。
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