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3.ヨルトside
1.やはり天使
しおりを挟むん…ここは…
私はどうしたんだ?確かさっきまでユユと……っ
「ユユ!!」
そうだ!思い出した!!確かユユにこ、子作りの仕方を教えて欲しいと頼まれてあまりの可愛さに意識を失ってしまったんだ。何なんだあの潤んだ瞳で私を見つめ、頬を美味しそうに赤くさせて!私の理性を試しているのか!!
…やはりユユは私を好いてくれているのだろうか?だとするとあれはそう言う意味のお誘いで、手を出してもいいと言う事なのか?…そうか。いいのか…。
「……言っとくけど奥様はただ教えて欲しいかっただけで何の意図もなかったと思うぞ?」
「ビクッ⁉︎」
悶々と考えていると突然横からローレンの声がした。よく見るとローレンだけではなくランやラミもいて呆れたように私を見ている。
「なっ!お前らいつから!?」
「お前が奥様の名前を叫んで起きる前からずっといたよ。後お前が奥様のことを思い出して鼻の下を伸ばしてデレデレしてんのも見てたぞ?」
「デ、デレデレなどしていない!」
なんて事を言うんだ!デ、デレデレなど!!た、ただユユのあの可憐さの間に垣間見える蠱惑的な様子を思い出していただけで!私はっ!!
「あーはいはい。わかったわかった」
「~~っ!」
こ、こいつ…
「それより感謝しろよ?鼻血垂らしてぶっ倒れたお前をここまで運んでやったんだからな。いやー奥様がパニックって誤魔化すの大変だったんだぜ?」
「は?」
鼻血?
「わ、私はただ気絶しただけでは?」
「いえ、鼻血をながされていましたよ?」
「それも大量の鼻血を。ふふ」
「…………」
そ、そんな。ユユの前でそんな失態を犯してしまうなんて…。
「おーいヨルト大丈夫か?」
「……ダメだ。終わった…もうお終いだ…」
「ははは!ダメだこりゃ」
何故私はユユに好かれているかもしれないと考えてしまったんだ…。こんな情けない男、ユユに嫌われてしまう……。
「はぁ大丈夫ですよ旦那様。奥様はただ心配していただけで何も仰っていませんでしたよ」
「それどころか旦那様に何も異常がないとわかると涙を流しながら安心してよかったと微笑んでおいででしたよ」
「そ、そうなのか!?」
やはりユユは天使だ…。最近のユユは以前にも増して明るくなり日に日に可愛さが更新されていく。その度に私は自分の妻がユユであることに神に感謝し、この幸福を噛み締めるのだ。
「んで、やっと立ち直った旦那様は奥様にどう説明するわけで?というかミーティア家はどんな教育してんだ?」
「…いや、確か男爵からは可愛がり過ぎた為にそういう教育が全くできていない為少し時間が欲しいと結婚前に連絡が来ていたように思う」
まさか本当に全く何も知らないとは思わなかったが…。
「…なるほどねぇ」
「な、何だお前ら。その目は!」
私の言葉にまたローレン達がジト目で見てくる。
「男爵からそう送られて来ていたにも関わらず、結婚の日取を延さず、奥様も何も教えられていないと言うことは」
「どうせ旦那様はその手紙を見て喜んだのではないのですか?」
「何も知らないのなら自分が1から全て教えることができるなどと考えて」
「うっ」
何故こいつらはわかるんだ。
「まぁそれで強引に結婚したにも関わらず…」
「「「大事にし過ぎて全く手を出す事ができない旦那様には笑えますけどね(笑えるけどな)」」」
「し、仕方がないだろ!!」
あ、あんな純粋で無垢な彼女にそんな不埒な真似出来るわけがないだろう!!結婚当初は強引に結婚に持ち込んだ自覚があったからユユの決心がつくまで待つつもりでいた。その間にも溢れんばかりの愛を囁き、側にいたつもりだ。だが、彼女は下を向き震えるばかりで、私が彼女に触れようとすると肩を跳ねさせ怯えるばかりだった…。
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