異世界もふもふのお医者さんっ!! 〜獣人村でみんなから愛されるお医者さん目指します〜

花月夜れん

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第一章

第29話 魔物使いが追っていたのは何?

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 大きな音がした場所だろうか。人々が集まり、大きな体の魔物を取り囲んでいた。

「動いてないね?」
「だな、様子見してるのか? オークも動いてない……! おい、ハルカ! アイツ!!」

 見覚えがある姿だった。カナタを怪我させて、解毒草の場所でも会ったあのオークみたいな。

「何で、あのオークさんがここに?」
「まさか、俺達を追ってきた?」
「何で?」
「わからない。ただそんな気がして」

 もうオークの解毒はしてある。解毒草を持ってない私達やアルラに用事があるとは思えないのだけど。

「暴れる様子はなさそう。話して出ていってもらえないかな」
「え? 大丈夫か?」
「あのオークさん、話し方は優しそうだったよ」
「そうなのか? 俺には威嚇するような声しか聞こえねぇ。まあ、ハルカが言うんだ。やってみよう」

 グォオぉぉん

 再びオークが声をあげる。そして私達を見た。
 ソラの足が止まってしまう。これ以上は危ないと判断したのかもしれない。

「お……」

 オークが何か喋ろうとしている。
 ただ声を聞き、数人の獣人がオークに飛びかかろうとしていた。

「待って下さい!!」

 銀色の髪の男がオークの前に立つ。

「彼は……、彼らは敵ではありません」
「ジューイ、なんでそんなことがわかるんだ!?」

 ジューイと呼ばれた銀の髪の男はオークに近付いていく。

「彼らは私が依頼した追跡者だ。最近このあたりで広がる謎の病を追ってもらっていた。なあ、イツキ」
「あぁ、そうだ。報告にきた。先程の遠吠えで急いだほうがいいと判断しオークを中に入れた」

 中学生くらいに見える獣人の男が後ろから現れる。
 もしかして彼が本物の魔物使い? このオークさんと契約してる?

「オークさん、暴れない?」

 私が話しかけるとオークはこくりと頷き「あぁ」と言った。
 ホッとした顔をすると中学生に見える男、イツキは私の顔をジロジロ見てきた。

「へーえ、見ない顔だけどお仲間さん? 珍しいの連れてるね。はは、スライムを仲間にするなんてこれもまた珍しい」

 ライム達を笑われた気がしてムッとした。
 ライムもソラもすごくすごくすごーーーーく、すごいんだから!!!!

「あ、それよりさっきの大丈夫? オレが追っかけてた男達のうち一人が唯一村で接触してたの、遠吠えしてたやつなんだけど」
「そうか、やっぱり……」

 ジューイは肩を落とすとウルズさんに耳打ちしていた。そして、振り返り叫んだ。

「ヒナツ君に話を聞こう」

 え、でも皆ここにきちゃってるよね。ヒナツはあそこに残って……。

 その後、すぐヒナツのいた場所に戻ったけれどその姿はなく。彼は村の人間じゃないと言っていた人達とともに何処かへと消えてしまった。

「ここで最後だ」
「はい!!」

 ウルズさんが途中で邪魔され解毒薬を渡せていなかった家。ここで最後だ。
 ヒナツに奪われた分の薬を作り直し、全員の治療を無事終えた。

「すごい、全然苦しくなくなった」

 嬉しそうに尻尾をふる女の子と涙する親。この笑顔を見れるのは本当に嬉しい。

「お薬のお礼」

 女の子が枕元に飾ってあった花を一本手に持ちこちらへと差し出してきた。ウルズさんはそれを受け取り私へと渡してくれた。

「あの、薬の代金は……」

 母親がおずおずと聞いてくる。ウルズさんは前の家と同じ様に首を振り大丈夫だと伝えてくれた。
 うん。大丈夫。すごく嬉しい報酬をもらったから。
 このお花と元気になったあなた達の笑顔――。
 可愛いお花、大事にするね。ありがとう。

 ◇◇◇

「わりぃな。オレまで回復薬使わせちまって」
「多めにライムが作ってくれてたから、大丈夫です」
「じゃあ、行ってくる。だいぶ探したがいなかった。大丈夫だと思うが気をつけて」

 あの後もヒナツを探していたが村にはいないと結論が出て、これからウルズさんは村の人達で集まって話し合いをするらしい。ジューイやあの魔物使いの人も。
 オークは村の外に立ってる。ちょうどカナタの部屋から見える場所。うーん、ちょっとだけ……、怖い。
 最初に見たときが暴れまわる姿だったし、アルラを引きちぎった犯人だ。
 ビクビクしながら窓の外のモヒカンみたいな後頭部を眺める。

『ウワぁ、なんデ、アイツいるの?』
「わ、アルラ」
『あの豚頭。マダ、解毒草ネラってル? なら、花粉で……』
「ううん、違うよ! 大丈夫。大丈夫だから」

 昼になってアルラはやっと顔を出した。だいぶお寝坊さん? というか、今まで何があったかもしかして全然わかってない?

「ハルカ!」
「ハルカちゃん!」

 カナタとミラが部屋に入ってくる。

『はぁぁん。二人トモ今日も可愛いィィィ』

 アルラがくねくねする。頭を突き出して撫でられ待ちをしてるみたい。

「あ、アルラちゃんおはよう」

 ミラが撫で撫でをしてあげていた。カナタはポンと手で一度触れてすぐこちらを向いた。

「ハルカ、バレたからってココからいなくならないよな」
「え、え?」
「でも、カナ兄。ハルカちゃんの力がバレたら狙ってくるヤツとか現れるかも。だからハルカちゃんお家に住んでなかったんじゃない?」

 あぁ、そうか。皆の前で言っちゃったんだ。回復薬の事。そうだよね。ミラも治ったし、今回みたいに説明しづらくてウルズさんやカナタ達に迷惑かけるくらいなら……。だったら、私……。

「ハルカはここに居ていいんだぞ!! 何があっても俺が守る。だから!!」
「あ、ずるい。カナ兄、それボクが言うつもりなのに」
「……え?」

 あれ? えっと、出ていったほうがいいって話じゃないの、かな?

「カナ兄は、ハルカちゃんと契約してないでしょ? それは一緒に仕事するボクの役目だよ」
「はぁ? ハルカは俺……俺の……とにかくっ!! 父ちゃんがどんな話にしてくるかわかんないけど勝手に出ていったりするなよ! わかったか?」
「ハルカちゃん、来年! 来年までは絶対にここに居て!」
「え、あ、うん」

 んん? 私はどうしたらいいんだろう。
 とりあえず、ウルズさんが帰ってくるまでは?
 迫ってくる二人の耳と尻尾をアルラが蔓でふにふにとつっついていた。ちょっと羨ましかった。
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