田舎のヤバすぎる奇祭で調教される大学生

抹茶

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祭りの始まり

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「澪、今週末ヒマか?」

 サークル棟の一室。普段はそれなりの人数が集まるこの場所も、前期の最終日である今日は、俺と三坂先輩の2人しかいない。

「特に予定はないですけど」
「なら、夏祭りとか興味ないか?」
「夏祭りですか」

 先輩が言うには、地元で夏祭りがあり、両親に友人を何人か連れてこいと言われているらしい。その頭数に、俺も選ばれたわけだ。

「みんなで浴衣着てさ」
「俺、浴衣なんて持ってないですよ」
「全然いいよ。毎年じいちゃんが貸してくれるから」

 その後も景色がいいだの、飯がうまいだのと誘われて乗り気になってくる。先輩の知り合いも呼ぶらしく、その中には何人か俺の知り合いの名前もあった。
 どうせ予定もないし、男だけで夏祭りも悪くない。そう思って、俺はあっさり承諾した。



 先輩に言われた通り、景色が綺麗な場所だった。大学のある都会に比べて、山の中は意外と涼しい。街育ちの俺には、なにもかもが新鮮で、きょろきょろしていたら先輩たちに笑われてしまった。

「迷子になるなよ」
「なりませんよ」

 こんな場所で迷子になったら洒落にならない。バス停の周りでさえ交番どころか、民家すらあたりに見あたらなかった。真っ直ぐ続く田んぼ道と、晴れ渡る青空は、俺にとってはまるで漫画やアニメの世界みたいだ。

 先輩の友人たちは、毎年ここに来ているらしい。物珍しそうにしている俺を、生温かい目で見ていた。

「今年の後輩はめちゃくちゃかわいいな」
「マジそれ。三坂が自慢してたのもわかる」
「だろ。俺の目に狂いはない」

 先輩が俺の肩をぽんと叩くので、つい苦笑いしてしまう。大学生にもなって、かわいいと言われてもどんな反応をしたらいいかわからない。素直に喜ぶべきなのか?
 俺は先輩に、一体どんなふうに自慢されてるんだろう。

「澪くん、山菜とか食べられる?」
「あ、はい。なんでも食べます」
「それはよかった」

 隣で話しかけてくれているのは、安芸先輩だ。安芸先輩はおっとりした雰囲気で話しやすい。顔もイケメンで、柔らかそうな栗毛と相まって、いかにもモテそうな感じの人だ。同期の間で安芸先輩には彼女が10人いるんじゃないかと噂している。

「僕も三坂と同郷でさ。夏祭りにはガキの頃からずっと来てるんだよね」
「へえ。どんな感じなんですか?」
「うーん。縁日とかが出る、普通の祭りだよ。ただちょっと、変わった催事があってね。そこに人手が必要だから、俺たちが呼ばれたんだ」
「なるほど」

 確かに、若い人手はいくらあってもいいだろう。ただ心配なのは、俺の腕力で役に立つか。

「大丈夫ですかね。俺、あんま鍛えてなくて。高校では一応、運動部だったけど」
「平気だよ。僕も三坂も、全然マッチョじゃないでしょ?」

 安芸先輩が、それほど大きくない力こぶを作って見せた。俺の緊張をほぐそうとしてくれる、優しい先輩だ。
 コミュ障の俺でも、安芸先輩とは楽しく話せる。イケメンな上に気遣いもできれば、そりゃあモテるに決まっているだろう。

 いつの間にか三坂先輩も、俺の隣に並んでいた。背が高い2人に挟まれると、俺は連行されるリトルグレイのようになる。

「何話してんだよ」
「幹事はいいの?」
「そんなの形だけだろ。澪を独占しやがって」
「普段は三坂が独占してるでしょ。ね?」

 安芸先輩が、俺の肩に腕を回した。こういうスキンシップは好きじゃないが、安芸先輩にされるならそんなに嫌でもない。

「あ、ずり。俺も」

 今度は三坂先輩が、俺の腰抱くように手を添える。人懐っこい三坂先輩は、普段からスキンシップが多めで、さすがの俺も慣れてきた。

 安芸先輩を女受けの権化とするなら、三坂先輩は男が惚れるようなイケメンだ。
 さっぱりした短髪に、がっしりした骨太な体格。人をまとめるのが上手くて、集まりの幹事を務めるのも今回ばかりではない。

 そんなイケメン2人にぴったりくっつかれるなんて、女の子だったら嬉しくて失神するかもしれない。しかし俺は男なので、暑いなぁと思うだけだ。

「あんまりくっつくと暑いです」
「あ、悪い悪い。つい悪ノリしちまった」

 三坂先輩がぱっと離れると、逆に安芸先輩は俺の腕に手を絡めてくる。汗でべたべたして気持ち悪いのに、安芸先輩からはいい匂いがしてどきっとした。

「そうだよ三坂。反省しろ」
「おめーもだろうが。離れろ」
「残念。ごめんね、澪くん」

 お互いに拳ひとつぶんくらいの間をあけて、横並びに戻る。他の先輩方は俺たちのやりとりを見てなかったようで、ほっとした。

「遊びすぎたかな。はやく行かないと、村長に怒られちゃうね」
「この年になって親父に怒られるのは嫌だな」
「え、先輩のお父さんって村長さんなんですか?」
「あれ、言ってなかったか?」
「はい。でも納得って感じです」

 三坂先輩のリーダーシップの源は、きっと実家で培われたのだろう。



 喋りながら歩いていたら、三坂先輩の実家まであっという間に着いてしまった。結構厳しい山歩きをしたのだが、2人の先輩が助けてくれたのでなんとか乗り切ることができた。
 すっかり汗だくになってしまったので、まだ昼間だがお風呂を借りて、代わりばんこに汗を流した。

 実家に着いてからは、三坂先輩と安芸先輩がやたらと手厚く構ってくれた。そのせいで、俺は自分に注がれる不躾な視線には、全く気づいていなかった。


 風呂上がりに貸してもらった浴衣に着替え、俺が広間に行くと、大きな座卓の上に豪勢な昼食が並べられていた。

「わあ、美味しそう」
「三坂のおばさんは料理上手なんだよね」

 俺の席は、当たり前のように三坂先輩と安芸先輩の間だ。上座とかあるんじゃないかと、礼儀作法に不安を感じるが、誰も指摘しないのでそのうち気にならなくなった。
 見たこともない山の幸に囲まれて、俺のテンションはどんどん上がっていく。本格的な和食なんて初めてで、しかも何を食べても美味しい。少し濃いめの味付けで、ご飯がよく進む。
 隣では三坂先輩が、ぱくぱくと箸を運ぶ俺を生温かい目で見ながら微笑んでいた。

「いい食いっぷりだな」
「はっ。すみません、お腹すいてて」
「かなり歩いたもんな。たくさん食べろよ。この後も体力使うからな」
「はい!」

 くしゃ、と頭を撫でられると三坂先輩の弟にでもなったような気になる。胸の奥がぽかぽかした。
 食事を終えると、だんだん眠くなってくる。お酒も飲んでないのに、子供みたいで恥ずかしい。
 俺が眠くなっているのに気がついて、安芸先輩がそっと耳打ちしてきた。

「澪くん、眠いの?」
「はい。ちょっとだけ……」
「寝てもいいよ。祭りは夕方からだから」
「でも準備とか……」
「それは澪くんの仕事じゃないから大丈夫」

 安芸先輩が優しく微笑む。数多の女性を落としてきた笑顔だ。意識が遠くなりかけているせいか、俺にも安芸先輩の唇が蠱惑的に見えてくる。舌で唇を湿らせる仕草が、めちゃくちゃ色っぽくて妙にドキドキする。

「俺の……仕事って?」
「澪くんの仕事は夜だよ。夕方には縁日を回ろう。それまでは眠っていいよ」
「ん……わかりました」

 遅いくる眠気に耐えきれず、俺は先輩の肩に頭を預けて意識を手放した。食事をしただけで、こんなに眠くなったことはない。もしかして料理酒に酔ったのだろうか。




「澪は寝たか?」
「ぐっすりだよ。ちょっと申し訳ないな。こんな純真な子を……」
「村のためだ、仕方ない」
「そうだね。僕らには役得なわけだし」
「……準備するぞ。香油と張型を」
「はいはい。三坂はせっかちだなぁ」
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