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何か聞こえた様な……

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そうなんですね!早く中に入って見たいです」
「じゃあ、行きましょうか。ここから先は魔物もいるかもしれないわよ」
「はい!タクトさん、絶対に離れないようにお願いします」
「分かった。しっかりと守らせて頂きます」
「よろしくね!あと、私の事も忘れないでよ」
「はいはい……。分かっていますよ」
そして俺達は王都に向かって歩き出した。
「……ん?」……なんだ?何か聞こえた様な……。
「どうかしたのか?」
「いや何でも無い」
気のせいか……。
「あれ?ここだけなんか雰囲気が違うわね?」
サーシャが不思議そうな顔をしている。
「確かに言われてみるとそうかもしれませんね」
ミーアも気づいているようだ。
「二人共どうしたんだ?何も変わったところはないだろう?」
「いや、だって普通に考えておかしいじゃない!」
「えっ!?」
「あの扉だよ!なんであんなに大きな鉄の塊がここに落ちてるのよ!!」……なっ!?どういうことだ!!なんで、
「タ、タクトさん……」ミーアが震えながら俺の名前を呼んだ。
「大丈夫だ。安心しろ」俺はミーアの肩に手を置いて優しく言った。
「……はい。すみませんでした」
「謝ることなんてないさ。それより、少し様子を見てくるから二人はここで待っていてくれ」
俺はサーシャ達を残してゆっくりと近づいて行った。
「……誰かいるのか?」声をかけてみたが返事はない。
「……開けるぞ」俺は恐る恐るドアノブを回して中に入った。
「これは……!!」
「おぉ、タクトではないか!」そこには大きな男が立っていた。
「どうして、お前がこんな所にいるんだ!?」
「それはこっちのセリフだぞ!久しぶりじゃないか!」
「そんな事はどうでもいいんだよ!どうしてお前が王都に

まぁ、落ち着くのだ!まずは座ろうではないか!」
「……くそっ!」……仕方がない。話を聞こう。
「それで、何故お前がここに居て、しかもこの国の王様になってるんだ?」
「まぁ、順を追って説明しようか。私も今から丁度その話を始めようとしていたところなのだ」
「そうなのか?」
「あぁ、そうだとも!……では、始めようか」
「……おう」
「私は魔王を倒した後、そのまま旅に出たんだ」
「はぁ?何言ってんだ?お前が倒したわけでもないのにか?」
「まぁ、最後まで聞くのだ。実はその後、私は色々な国を旅していたのだがな。とある王国で、私が魔王を討伐したことになってしまったらしいのだ」
「はぁ!?」
「そこで、国王直々に褒美を与えたいと申し出があって、断る理由もなかったし受けることにしたんだ」
「いやいや、断れよ!というか、どうしてそうなった!?」
「それがな、なんでも『魔王を倒す程の力があるのなら是非我が国の王に!』との事だったんだ」
「いや、意味が分からん……。でも、よく考えれば分かることなのか?」
「あぁ、おそらくだがな。きっと、魔王の件で活躍したタクトの活躍を聞いたのだろう」
「なるほど……。まぁ、大体理解できた。で、その後はどうなったんだ?」
「うむ。流石に王になるつもりはなかったから断ったら、今度は大臣達が勝手に盛り上がってしまってな。結局、押し切られてしまった訳だ」
「はぁ「はぁ……。相変わらずだなお前は……。それで、今はどうなってるんだ?」
「うーん……。まだ正式な王ではないからな。一応、元王って事になっているぞ」
「そうなのか……。それなら、俺が王になった時の為に挨拶しておくか」
「おっ!それは助かる!是非頼む!」
「分かったよ。じゃあ、早速行くか」
「うむ!楽しみにしているぞ!あっ!それと、一つ言い忘れていたが……」
「なんだ?」
「私の今の職業は"勇者"だぞ!宜しくな!」
「……はい?いやいや、ちょっと待ってくれよ……。はぁ……。もういいや……。とりあえず、いくぞ?」
「あぁ、分かった!早く行こうではないか!」
こうして俺達は王城に向かって歩き出した。
「……遅いわね」サーシャが心配そうな顔をしている。
「そうですね……。何かあったのでしょうか?」ミーアも不安そうだ。
「おい!何をしているんだ!!いつまで待たせるんだ!!」門番の兵士が怒鳴っている。……本当にうるさい奴だ。
「すみません!すぐに終わらせますから!」俺は兵士に近づき、小声で話しかけた。
「なぁ、悪いんだけどさ。少しの間だけ黙っていてくれないか?あと、もう少ししたら終わると思うから」
「ふんっ!……好きにしろ」
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