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第一章
国王陛下と私
しおりを挟む「もう2人はそんなに仲良くなったのかい?」
庭から室内に戻った私とカイラスをみて、お父様が驚いた声をあげた。それもそのはず。カイラスは私と手を握りたがって駄々をこねたため、仕方なく私は手を繋いであげたのだ。本当に困った子犬王子。
「同じ子ども同士ですもの。打ち解けるのも早いのですわ」
ドヤ顔でそういう私の後ろにカイラスがスっと隠れる。どうやらお父様にはダメだったみたい。
その姿をみていた国王陛下は肩を落とし、困ったように笑う。
「カイラスは人見知りが激しくてね、人前に出るとこの調子だから困っていたんだよ。よくここまで懐いたね。やはり血の繋がりかな?」
血の繋がり、という言葉がひっかかり私は国王陛下をみつめる。
「血の繋がりとは…?」
「おや、セリス、マリアちゃんには何も話をしていないのか?」
「あれ?マリアに何も言ってなかったっけ?」
国王陛下にセリス、と呼ばれたお父様は頭をポリポリかく。私、何も聞いてないぞ。キッと睨めば、小動物が縮こまるようにお父様も肩を落とし小さくなった。
「マリアちゃん、私は君のお母さん、ヒステリアの兄に当たるのだよ」
兄!?私の叔父様に当たるってこと?まさか、お母様は気品が溢れる人だなぁとは思っていたけれど、王族だったなんて…。つまり私とカイラスは『いとこ』になるわけか。
「またいつか、ヒステリアがこの公爵家に嫁入りすることになった理由を聞いてみるといい。面白い話が聞けるぞ」
「それはもう少しマリアが大きくなってからですよ。陛下はすぐそういうことを言う」
「まあまあ、セリス、良いではないか」
お父様と国王陛下のやり取りをみていたが、この2人本当に仲がいいようだ。王家と公爵家が仲良いってことはきっと良いことなのよね。私はその辺の知識があまりないから分からないけど。
そんなこんなで、国王陛下とカイラスは帰っていった。カイラスは金色の瞳をうるうるさせてたけど、一生の別れじゃないんだから。
「それにしてもお父様、陛下はどうしてこちらに?」
「うーん、顔合わせがしたかったらしい」
「それはなんのために?」
「陛下の考えは僕たちには分からないことさ」
「ふーん…」
なんだか上手いことはぐらかされているような気がしなくもないが、私は一旦それを保留にすることにした。
それからしばらくは、お茶をしたりお昼寝をしたり1日を過ごしていたのだが、はたと私はそのことを思い出した。
私手紙読んでないのでは!?ポケットを探り、手紙を取り出す。幸いここには誰もいない。侍女はいるが、ちょうどほかの仕事をしている最中で、お昼寝をしている私のことは見ていないようだ。
手紙の内容は、要するにこういうことだった。
__________________
この世界は、神である我が作ったれんあいげーむの世界。
ひろいんは、異世界から転生した女の子じゃ。
げーむ内には4人の攻略者とそれを取り合う悪役令嬢が存在するのじゃぞ。
我が見たいのは、そんな悪役令嬢の女の子が主人公となる物語!
お主は、その物語のヒロインにあたるのじゃ。攻略者を1人だけ教えておいてあげようかの。
1人目は第一王子、カイラスじゃ!
人見知りの激しい王子なのじゃが、この王子と仲良くならない限り物語は始まらないからのぅ。なんとか仲良くなってほしいのじゃ!
ではの!
___________________
「全然訳分からない…」
神は私を適当に選んだとか言っていたけれど、本当に私でよかったのだろうか。
なぜなら私は、
恋愛ゲームはしたことないし、昨今流行っているという悪役令嬢が主人公の物語を読んだことも見たこともないのだから……。
「ヒロインって、何をすればいいの…?」
手紙を見つめながら、私は途方に暮れるしかなかった。
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