1 / 6
1話 プロローグ
しおりを挟む
「貴方は天才なのです」
何万回そう言われたことか。
ボクは天才なんかじゃない。
寧ろ普通以下だ。
「お父様の血を受け継いでいるのですよ!
それなのにこの子は…っ」
「…ごめんなさい」
天才なのは父さん。
褒められるのは父さんでボクじゃない。
ボクは叱られてばかりだ。
「ほら、集中していないから…」
「えっ…あ…
すみません」
父さんは、100問中100問答えられる解答も、ボクは99問だった。
「それが礼儀かっ!
もっとちゃんと鞘から抜け!!」
「申し訳ありません」
父さんが抜けた刀もボクは上手く抜けない。
そんなボクを周りは何故か『天才』と呼ぶ。
だから…
「母さん、話が…」
「蒼、良かったわね」
「…え…」
まさか…そんな…
「私立帝國軍師大学附属高等学校。
合格通知が来てましたよ。
おめでとう」
…嫌だ。
ボクは…ボクは、軍師なんかに…
「…ありがとう、ございます…
入学後も精進して参ります」
なりたくない。
「…そう。頑張りなさい。
…それで?話って?」
「…いえ…
何でもありません…」
…ボクは臆病だ。
なりたくないものはあるくせに、他の目標がないから…自信がないから、こうやって避ける。
なんとなく、父さんの仕事と同じ『軍師』を目指しているフリをして。
期待を裏切らない為だけに努力して。
怒られないように生きようとして。
こんなの間違っていると分かっている。
でも、動けない…
そんな自分が…
「一番嫌いだ」
『涙を流すのは弱者の証拠だ』
いつか、父さんにそう言われたのを思い出す。
ボクは涙を流した。
「大丈夫。
大丈夫だから…」
…腕に響く鈍い痛みに憎しみを込めて。
何万回そう言われたことか。
ボクは天才なんかじゃない。
寧ろ普通以下だ。
「お父様の血を受け継いでいるのですよ!
それなのにこの子は…っ」
「…ごめんなさい」
天才なのは父さん。
褒められるのは父さんでボクじゃない。
ボクは叱られてばかりだ。
「ほら、集中していないから…」
「えっ…あ…
すみません」
父さんは、100問中100問答えられる解答も、ボクは99問だった。
「それが礼儀かっ!
もっとちゃんと鞘から抜け!!」
「申し訳ありません」
父さんが抜けた刀もボクは上手く抜けない。
そんなボクを周りは何故か『天才』と呼ぶ。
だから…
「母さん、話が…」
「蒼、良かったわね」
「…え…」
まさか…そんな…
「私立帝國軍師大学附属高等学校。
合格通知が来てましたよ。
おめでとう」
…嫌だ。
ボクは…ボクは、軍師なんかに…
「…ありがとう、ございます…
入学後も精進して参ります」
なりたくない。
「…そう。頑張りなさい。
…それで?話って?」
「…いえ…
何でもありません…」
…ボクは臆病だ。
なりたくないものはあるくせに、他の目標がないから…自信がないから、こうやって避ける。
なんとなく、父さんの仕事と同じ『軍師』を目指しているフリをして。
期待を裏切らない為だけに努力して。
怒られないように生きようとして。
こんなの間違っていると分かっている。
でも、動けない…
そんな自分が…
「一番嫌いだ」
『涙を流すのは弱者の証拠だ』
いつか、父さんにそう言われたのを思い出す。
ボクは涙を流した。
「大丈夫。
大丈夫だから…」
…腕に響く鈍い痛みに憎しみを込めて。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」
「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」
私は思わずそう言った。
だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。
***
私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。
お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。
だから父からも煙たがられているのは自覚があった。
しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。
「必ず仕返ししてやろう」って。
そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。
義母と義妹に虐げられていましたが、陰からじっくり復讐させていただきます〜おしとやか令嬢の裏の顔〜
有賀冬馬
ファンタジー
貴族の令嬢リディアは、父の再婚によりやってきた継母と義妹から、日々いじめと侮蔑を受けていた。
「あら、またそのみすぼらしいドレス? まるで使用人ね」
本当の母は早くに亡くなり、父も病死。残されたのは、冷たい屋敷と陰湿な支配。
けれど、リディアは泣き寝入りする女じゃなかった――。
おしとやかで無力な令嬢を演じながら、彼女はじわじわと仕返しを始める。
貴族社会の裏の裏。人の噂。人間関係。
「ふふ、気づいた時には遅いのよ」
優しげな仮面の下に、冷たい微笑みを宿すリディアの復讐劇が今、始まる。
ざまぁ×恋愛×ファンタジーの三拍子で贈る、スカッと復讐劇!
勧善懲悪が好きな方、読後感すっきりしたい方にオススメです!
【完結】英雄様、婚約破棄なさるなら我々もこれにて失礼いたします。
紺
ファンタジー
「婚約者であるニーナと誓いの破棄を望みます。あの女は何もせずのうのうと暮らしていた役立たずだ」
実力主義者のホリックは魔王討伐戦を終結させた褒美として国王に直談判する。どうやら戦争中も優雅に暮らしていたニーナを嫌っており、しかも戦地で出会った聖女との結婚を望んでいた。英雄となった自分に酔いしれる彼の元に、それまで苦楽を共にした仲間たちが寄ってきて……
「「「ならば我々も失礼させてもらいましょう」」」
信頼していた部下たちは唐突にホリックの元を去っていった。
微ざまぁあり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる