奴隷魔族の私に、幸せは訪れない〜救いを求めた少女が、世界の敵になるまで〜

鹿の子

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幸せは、きっと永遠に続くでしょ

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夏は、サラスの街に活気と穏やかな陽光をもたらしていた。

リリスにとって、それは生まれて初めて経験する、心からの幸福に満ちた季節だった。

覚醒級冒険者としての彼女の名は、もはや侮りの対象ではなく、信頼と実績の証として街の隅々にまで浸透していた。

ゴブリンの牙も、森狼の爪も、彼女の精密に制御された茨の前では無力であり、彼女が参加した任務の成功率は群を抜いていた。

仲間たちからの賞賛、依頼主からの感謝、そして何よりも、自分の力で正当に稼いだ報酬。

それらは、彼女の心に巣食っていた奴隷としての卑屈な自己認識を、少しずつ、しかし確実に溶かしていった。

その日、リリスは任務の報酬として受け取った金貨を握りしめ、胸を高鳴らせながら街の市場を歩いていた。

目的は一つ。

彼女の新しい人生を与えてくれた、三人の大切な人々への贈り物を買うためだった。

彼女の足取りは軽く、目に映るすべてのものがきらきらと輝いて見えた。

道端で売られている粗末な花でさえ、彼女にとっては楽園に咲く花のように美しかった。

*ギルダさんには、丈夫で、それでいて美しい装飾が施された鍛冶用の手袋を。オーギュストさんには、いつも執務室で飲んでいる、あの苦い薬草茶よりもずっと香りの良い高級な茶葉を。そして、エヴァさんには……エヴァさんには、彼女の亜麻色の髪によく似合う、小さな青い宝石のついた髪飾りを。*

品物を選ぶ彼女の顔には、自然な笑みが浮かんでいた。

誰かのために何かを選ぶという行為が、これほどまでに心を温かくするものであることを、彼女は初めて知った。

この幸せが、明日も、明後日も、一年後も、十年後も、永遠に続いていく。

彼女は、それを疑いもしなかった。

夕食時、ギルドの食堂は冒険者たちの喧騒で満ちていた。

リリスは、テーブルの隅で食事をしていた三人の前に、少し照れくさそうに、しかし誇らしげに、購入した品々を差し出した。

「いつも……お世話になっているので。私の、気持ちです」

最初に反応したのはギルダだった。

彼女は包みを乱暴に引き裂き、中から現れた豪奢な刺繍入りの革手袋を見て、ニカッと歯を見せて笑った。

「おう、気が利くじゃねえか、リリス! こいつはいい! 明日からの仕事が捗りそうだぜ!」

彼女はぶっきらぼうにリリスの頭をわしわしと撫でた。

その手つきは乱暴だったが、込められた愛情は痛いほどに伝わってきた。

次に、エヴァが小さな箱をそっと開けた。

青い宝石の髪飾りが、魔石灯の光を浴びて、彼女の瞳のようにきらめいた。

「……きれい」

エヴァは息を呑み、その小さな輝きを愛おしそうに見つめた。

彼女の目に、じわりと涙が滲む。

「ありがとう、リリス。……大事にするわ。一生、大事にする」

その言葉に、リリスの胸は熱くなった。

最後に、オーギュストが、黙って茶葉の包みを受け取った。

彼は何も言わず、ただその香りを確かめるように鼻を近づけ、そして静かにテーブルの脇に置いた。

だが、その厳しい口元が、ほんのわずかに綻んだのを、リリスは見逃さなかった。

仲間たちの笑い声。

ギルダの豪快な声。

エヴァの優しい眼差し。

オーギュストの静かな承認。

それが、リリスの世界のすべてだった。

彼女が命を懸けて守りたいと願う、温かく、かけがえのない宝物だった。
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