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第6章 お披露目祭り
大事な話
しおりを挟む「____ということなのです」
アルティアはそこで言葉を切った。
俺たちは場所を移し、応接室_アルティア皇妃様の防音壁を張って_挨拶もそこそこ、俺の力についての話をした。
"治癒血"
流れる血が、あらゆる生命の傷は勿論、生命さえも操れる……………という力。未だに信用出来ないが、色んなことをラフェエル皇帝様に試すよう言われ、実験をした。
枯れた草木に掛ければ、草木は生き返り、それどころか葉っぱが巨大化した。
皿に乗った肉に掛ければ、その肉だった生き物が現れた。
そして___餓死した人間にかければ肉体が生き返り、命さえも取り戻した。
……………ここまでチート過ぎると、逆に怖い。
思い返しているセオドアを他所に、家族は様々な反応を見せた。
「そんな………セオに、そんな力が…………?」
「母上、落ち着いてください。…………事実なら受け止めるべきです」
「……………ッ、セオ」
母上は泣いた。兄は苦しそうな顔をした。父上は___俺を抱き締めた。その反応全てが、この力の危うさを現しているようで、心が暗くなった。出た当初喜んでいた自分を殴りたい。
歯を食いしばるアミィールの頭をひとつ撫でてから、アルティアは口を開いた。
「………………セオドアくんの力は、危ないわ。使い方を間違えれば世界の均衡は崩れる。人間が知れば、戦争の種にもなりうるわ。
だから、これはただの恋愛婚ではなく、サクリファイス大帝国が"その力"を管理します。
……………………子供達は分からないでしょうけど、セシルさん、ガーネットさん。貴方達ならわかると思いますが…………私は、"この世界でいちばん強い"です」
「………………存じ上げております」
「はい。………………"世界最終日"、わたくしたち夫婦はラフェエル皇帝様とアルティア皇妃様の演説を聞いております」
………………世界最終日?
知らないワードに首を傾げる。兄上も分からないらしく忙しなく瞬きをしている。
確かにアルティア皇妃様はすごい力を持っているのはわかる。けど、すんなり信用する両親が、不自然だった。
そんな疑問を残して、父上は母上と共に頭を下げた。
「セオを…………セオドアをどうか、お守りください。親馬鹿なのかもしれませんが…………セオドアは優しい子です。争い事に巻き込まれて欲しくありません」
「………………わたくしも、同じ意見でございます。わたくし達の子供達はかけがえのない宝なのです」
「…………同じ親として、わかります。
"悪しき血"を持つ私の事を信じてくれとは言いません。ですが、この"悪しき血"を持ってして、あなた方の大切な宝を守らせてください」
そう言ったアルティア皇妃は____強く哀しい、顔だった。
分からないことが多すぎて頭がパンクしそうだ。クラクラしている俺を兄上がぽん、と叩いた。
「……………セオ、アミィール様を連れて少し休んでこい。アミィール様のお顔が優れないからな」
「あ、……………」
そう言われて、目の前を見る。
アミィール様は____泣いておられた。
俺はそんなことにも気づいてなかったんだ。…………皇配として失格だ。
「アミィ、行こう」
「……………はい」
俺はすぐさま立ち上がって、アミィール様を連れて部屋を出た。…………出てきたはいいけど、どこに行こう。
「…………あの、セオ様」
「ん?」
アミィール様は俺と繋いでない方の手で涙を拭きながら、言う。
「___セオ様のお部屋を見てみたいです」
「…………?いいけれど、何も無いよ?」
「セオ様が過ごしてきた部屋ですから、気になるのです」
アミィール様は優しく笑った。
その笑顔が、暗い心をじんわり温かくしてくれた。
「……………はしたないでしょうか?」
「いや、そんなことはない。………では、案内させてもらうね」
「はい!」
2人はセオドアの部屋に向かった。
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