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第7章 主人公と皇女の結婚式前
プレゼントの渡し方
しおりを挟む1人残されたセオドアは、自分のズボンに張られたテントを見て大きくため息をつく。
………………………アミィール様がお綺麗過ぎるから悪いんだ。裸は初めてそういうことをする時に見てかっこよく『綺麗だ』なんてお決まりのセリフを言いたかったのに…………いや!本当に綺麗だったけれど!
豊満な胸に、俺の腹筋より立派な腹筋でありながら腰は細く、足も長くて腕も細くて、そして、アミィール様の聖域を守る場所は_____ッ!?
そこまで考えたところで、テントを見る。じんわりとシミが出来ていて____セオドアはこれでもかと顔を赤くした。その上、まだテントを張っているんだ。痛いくらい自分の息子は元気いっぱいで。
セオドアはそれを見ただけで自分に幻滅し、それでも考える。
結婚の前からこんな風では、閨を共にしたら、俺はどうなるんだ…………?思い出しただけでこうなるなら、触れたり、それ以上をしたら…………!
セオドアはそう考えながら、自分のベッドに行き、掛け布団で下半身を隠した。
部屋に戻ってきたレイはそれを見て『間に合わなかったか』とやっぱり意地悪くにやにやした。
* * *
「ガロ様」
「なんでしょう、セオドア様」
結婚式まであと5日。セオドアは剣の稽古の休憩中にガロに声をかけた。ガロは自分と同じく上半身裸だ。立派な、これこそ男の憧れの詰まった身体には俺と同じ契約印_色は銀で違うけど_もあったり、傷が多かったり。男の勲章か?と思ったけど、ところどころ焼かれた跡などもある。深くは触れられない雰囲気を纏っているのは鈍いセオドアでもわかっている。
思考が脱線したな、と思い直したセオドアは首を振ってから、聞きたいことを聞いた。
「女性というのは、どのようなタイミングでプレゼントを渡せば喜ぶのでしょうか?」
「はい?」
ガロは目を丸くする。
セオドア様の顔はとても赤い。自分もアル様に『女のコみたいな顔だねえ、女のコみたいな性格だねえ』と言われるけれど、セオドア様の方が"女のコみたいな"顔をしている。こんな風に聞かれたら何かアドバイスをするべきなんだが…………
「…………………申し訳ございません、私は女性の気持ちに疎いのです。プレゼントもしたことがなく…………」
「え!?そうなんですか!?ガロ様はとても美しい方なのに…………!」
驚いた顔をするセオドア様。自分が美しいと思ったことがないガロにはその理由が分からなかった。しかし、アル様の御子であるアミィール様がお慕いしている方、何か力になりたいと思うガロは必死に考える。
こういう時、なにを言えばいいのだろう?
私……………いや、ボクはアル様とアミィール様以外の女性とあまり話さないし、プレゼントなんて縁のない言葉すぎて何が正解なのかわからない。
でも、ラフェエル様は_____
そこまで考えて、ガロは口を開いた。
「タイミングはそこまで重要ではなく、相手の目を見て、直接渡すことが大事だと思われます。
ラフェエル皇帝様は、いつもアル様にそうしています。そうすると、アル様はとてもお喜びになりますので、それがいい方法なのだと私は考えます」
「……………そう、なんですか…………」
セオドアはガロの言葉を受けて、考える。
試行錯誤を重ねたドレスは完成した。それをアミィール様にどう渡せば良いのかをガロに聞いたのだ。
大事なのはタイミング、ではなく直接渡すことか……………最初はエンダーに渡して、結婚式当日に渡そうと思っていたけれど、確かに本人に手渡して、どのような顔をするのか間近で見たい。
そう考えていると、アミィール様の様々な笑顔が浮かぶ。
…………なかなか、いいかもしれない。
「決めました!私、今からアミィール様の元へプレゼントを届けてまいります!」
「いってらっしゃいませ………と、言いたいところですが、今アミィール様は執務中ですし、セオドア様は剣術の稽古の時間です。このあとも武術の時間、魔法の時間がございますのでその後にしていただけると……………」
「あ」
ガロの困ったような顔に、我に返ったセオドアは顔を赤くし、『よろしくお願いします』と剣を構えた。
____早く、渡したいな。喜ぶ顔が見たいな。
なんて考えていたら、いつも以上にガロにコテンパンにされたセオドアでした。
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