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第8章 幸せな新婚生活
恵まれている主人公
しおりを挟む「防御魔法!」
セオドアがそう叫ぶと、青い光を纏い、自分の周りにドーム状の防御壁が現れた。
やった!成功だ!
初めて上手くできた防御壁に感動していると、静かな声が。
「防御解除魔法」
「あっ!」
できた!と思って1分、俺の防御壁は消えた。声が聞こえた方を見ると____ラフェエル皇帝の側近・リーブが防御壁があった所に手を伸ばしていた。
呆然としていると、リーブが口を開く。
「お上手です。あれなら、平凡な人間の攻撃は防げるでしょう」
「…………………………」
とかいってリーブさんは普通に解除しているじゃないか…………………
_____俺は、アミィール様と夫婦になった後も、『教育』を受けていた。
1年学んだ事は、全て俺の平凡を少し高めた、『最低限の知識、武術、礼儀』だったのだ。つまり、やっとスタートラインに立っただけ。今やっているのは1段階上の花婿修行ならぬ夫修行なのだ。
アミィール様は、次期皇帝になると確実視されている御方だ。その皇配が並の人間では務まらない。おまけに俺にはチート能力"治癒血"の持ち主なのだ。
不自由な守られる生活をするのではなく、自由を謳歌しつつアミィール様をお守りする生活をしたい、と決めた以上俺が弱くてはだめなのだ。
で、今やっているのは『防御魔法』。他人を守る前に自分を守る術を身につけている最中で、それはいつも教育してくれるガロではなく、リーブが引き受けてくれている。リーブという側近は、特殊な魔法と名高い解除魔法に特化している御方で、この練習にはうってつけなのだ。
「セオドア様は筋がよろしいですね。もう少し鍛錬を積めば今以上に精度があがるでしょう」
「本当ですか?」
「ええ。…………セオドア様は防御を完璧にマスターすれば、自分の身だけではなくアミィール様をも守れます。自信をお待ちください」
「…………ッ」
………………どうやら、この城にはいい人しかいないらしい。他国の公爵家生まれの子供がここまで優しく扱われるなんてないんじゃないか?
セオドアは褒められて浮かれながらそう思う。俺、凄く人に恵まれているな。
「では、次は防御壁を纏いながら飛行魔法を使ってみましょう」
「はい!」
_____頑張ろう。
そう思いながら、大きく返事をした。
* * *
「~♪」
セオドアは鼻歌を歌いながら花に水を上げている。
最初は庭園の1部しかなかった自分専用の花壇は、いつの間にか拡大され、今では庭園の全てが俺のテリトリーになっていた。勿論、庭師も手伝ってくれている。
不思議な事に、森の妖精神を初めとする様々な妖精神がこの庭園の手入れを手伝ってくれているのだ。森の妖精神と太陽神はともかく、ほかの妖精神や精霊とは俺と関わりがないのに、無条件で、だ。
以前不思議で、アルティア皇妃様に聞いたことがある。アルティア皇妃様は『全員物好きなだけだよ』なんて笑って言っていたけれど、きっとそれはラフェエル皇帝様やアルティア皇妃様がほかの妖精神や精霊に慕われている賜物だと思う。
改めて、すごい人達だよな。
ダーインスレイヴや各国の重要人と親しいし、国民だってサクリファイス大帝国の皇族を慕っている。ここに来る前は『怖い国』という先入観があったのだけれど、今はそう思わない。
それくらいみんな気がよく、優しいのだ。この城に住む人間は勿論、この城に定期的に来る商人や客人、法律改正してほしい、領地の問題を進言しに気軽に来る国民達も他国出身の俺を敬いつつ、それでいてフレンドリーに絡んでくれる。
結婚して、サクリファイス大帝国に認められてから俺はいつも幸せだ。
この幸せをくれた愛する人に感謝してもしきれないな。
………………やばい、会いたくなってきた。
早く夜にならないかな、なんて思いながら花に水をやり続けた。
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