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第27章 冬はイベント盛り沢山!?
忘れた頃に来る『女装大会』
しおりを挟む「……………」
ひまわり畑にて、群青色のポニーテール、緑色の瞳のドレス姿の美少女は真顔を作っていた。
勿論、その理由は_____彼が、20歳の男であるからだ。
「なのでっ、やめてください!」
「今日も可愛いわよ、セアちゃん♪」
美少女___否、美男子であるセオドア・リヴ・ライド・サクリファイスは大きな声で吠える。それを聞くのは、黒の長髪、黄金色の瞳の皇妃こと義母、アルティア=ワールド=サクリファイスである。そしてその周りには、黒と白のごまプリン頭のセイレーン皇国の皇女で聖女のフラン・ダリ・ジュエルズ・セイレーンと深緑の髪と黄緑の瞳のヴァリアース大国・女王陛下のエリアス・ラピュード・サクリファイスである。
「そうだよセアちゃん、可愛い声が図太いよ~?」
「私は男ですからね!」
「でもお顔は女性ですよ?」
「それでも男なんです!」
セオドアは一人一人に突っ込んでいく。
俺はこんな姿をしていても男なのだ。夫なのだ。父親なのだ。なのにこんな扱いを未だに受けているのはおかしいだろう?俺はおかしいと思う。
それに。
「セアちゃんももちろん可愛いけど、この子もよね~、アーテルちゃん♪」
「あはん♪」
アーテルちゃん___俺と同じ群青色の髪にリボンを沢山付けられた紅と黄金色の瞳の美少女な赤ん坊……否否、息子のアドラオテル・リヴ・レドルド・サクリファイスだ。
「ほらも~!やっぱり私の孫は可愛い!」
「間違いないです!」
「さっすが主人公とヒロインの息子~!」
「おれ、かわいーでしょ?」
「…………ああ………」
例のごとく酔っ払っている3人は俺の息子を見て顔を綻ばせている。アドラオテルも満更ではないらしくどこから覚えてきたのかグラビア写真のようにポーズを取っている。………俺は負けたのだ、この大人達に。とうとう息子にまでこんな姿を晒し、あまつさえ子供にこのような格好をさせているんだ。泣きたくもなるだろう?
「ぐずっ…………私はどうなってもいいんで、どうかこの子だけは…………」
「パパ泣いてる~!そんなにおんなのこのかっこううれしい?」
「嬉しくはないよ、パパはとっても悲しいんだ、こんな格好パパはしたくないんだアド、だから喜ぶなアド………」
「辛気臭いわね~、アーテルちゃんを見習いなさいよ、とっても可愛いでしょう?」
「うぐ、………」
アルティア皇妃の言葉に怯む。
そりゃあ可愛いさ!アドラオテルは何を着ても似合うくらい整った顔をしてるから!けど考えてみろ!女装好きになったらどうする!?俺はどう接すればいいかわからない!全く持ってわからないぞ!?
言葉にならない父親の悲鳴に、息子は『パパは泣き虫~泣き虫~』と可愛い格好でゲス顔をした。そしてまたセオドアが泣く。子供達がもうそろそろ2歳になる、という歳だ。すっかり俺の立ち位置はアドラオテルに虐められるのが当たり前になっている。悔しい。
「それはともかくセアちゃん、あなた覚えている?」
「何がですか…………やっと私の女装を辞めさせてくれるのですか?」
「そんなわけないじゃない。ほら、そろそろ『女装大会』が始まるでしょう?」
「____!」
セオドアの背筋が伸びた。
『女装大会』、それは皇族を含む国民達が女装をするというおぞましい企画のことである。去年からという話だったが育児に手一杯で見送られたが…………
「も、もしかして…………」
「ええ、今年からやろうと思ってるのよ、で、皇族も__「嫌です!」………まだ言い終わってないんだけど」
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