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第27章 冬はイベント盛り沢山!?
※すぐに離婚フラグ
しおりを挟む言わなくてもわかる。俺に出ろと言うんだろう。もちろん絶対嫌である。
「嫌です!私は出ません!絶対出ませんよ!?」
「某お笑い芸人がやる押すな押すな!って奴ですよね、わかります」
「そうじゃないです!」
「嫌よ嫌よですかね?」
「本当に嫌なのです!」
酔っ払い達はパリパリとおつまみ風菓子を食べながら話している。もちろんそこに俺の居場所などなく、無常にも会話は続いていく。
「私も国ほっぽり出してくる~!ラフェエル様は女装するのですか?」
「勿論、意地でも出すわ。あとはそうね、ダーインスレイヴとガロ、リーブ………国を誇るイケメンたちも出すつもりよ」
「まあ!素敵!わたくしも来たいですわ!」
エリアス女王陛下はぱん、と手を叩いて楽しげにしている。滅茶苦茶である。酷すぎるのである。涙が止まらない。俺の言葉なんてこの御方達に通じた試しなんてない…………
「パパー」
しくしくと泣いているとアドラオテルが走ってきた。俺の癒しまでも女装しているんだぞ?目の保養にはなるけれど、俺の子供だと言うだけでこのような大人の悪ふざけに巻き込まれるのだ、とても可哀想なのだ。
「アド、パパと逃げよう。パパは逃げたいんだ。早く化粧を落として………」
「俺逃げないよ!」
そう言って力強くドヤ顔するアドラオテル。可愛い、可愛いさ、けど男としてのプライドは持って欲しい。
そんなことを思うセオドアに、アルティアはとんでもないことを言った。
「なんだったら飛び入り参戦でアドくんも『女装大会』参加させるかあ!」
「………!ふ、ふざけないでください!」
「わあっ!」
セオドアはぎゅう、と愛息子を抱きしめる。息子の女装を公衆の面前に晒せるか!しかし暴走悪ノリ大人たちは止まることはなく。
「あら、いいですわね!絶対盛り上がりますわ!」
「息子VS父親…………アツい!アツすぎる!激アツよ!」
「あ、あの!」
「セオくん」
止めようとするが、アルティア皇妃様が言葉を遮った。そしてにっこりと笑った。
「出なければ離婚だから、よろしくね」
「…………………」
…………何かと離婚と隣り合わせな俺はやっぱり可哀想だと思うんだ。ぐず、と涙を浮かべるセオドアに、アドラオテルは『離婚ってなに?』と聞きまくるのだった。
* * *
「女装大会を本当にやるのですか………?」
「……………うん」
夜、家族の時間、セオドアはソファの上でキノコを生やしながら体育座りをしていた。ジメジメとしている夫の背を優しく撫でるのは紅銀の長髪・黄金色の瞳の美女、サクリファイス大帝国の皇女のアミィール・リヴ・レドルド・サクリファイスだ。
「パパ、だいじょーぶ?」
その腕の中で心配げに父親を見つめるのは紅銀の髪、黄金と緑の瞳の娘・セラフィール・リヴ・レドルド・サクリファイスである。ぱっちりなお目目の上にある眉は下がっている。
セオドアはそれを見て、アミィールからセラフィールを受け取って抱きしめる。温かい体温に涙が出た。
「ぐずっ、………セラ…………」
「よちよち」
「なんとか『女装大会』を辞めさせたいのですが…………お母様が1度言い出すと辞めないのです」
「……わかる、わかるよ」
セオドアはセラフィールに頭を撫でられながら小さく小刻みに頷く。アルティア皇妃様は滅茶苦茶なのだ。一周まわっておかしいのだ、そこに俺の意見などないのだ。あ、だめだ、また泣きたくなってきた。
ぽろぽろと涙をこぼすセオドアの目じりを、アミィールはちゅ、とキスをした。
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