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第28章 不安要素と新たなる決意

世界を知らない主人公

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 全部隠すのは無理だと悟った俺は、正直にアミィール様に聞いてみた。嘘ではない、嘘ではないぞ。ちゃんと、真実を盛り込んだ。俺グッチョブ。


 自画自賛するセオドアに、アミィールは『ふむ』と少し考えてから言う。



 「妖精神と精霊は12名おりますわ。セオドア様の持つ太陽神の契約印は2つの意味がございますから、元々は13名なのですが。

 妖精神は海、森、星、空
 神は死、太陽
 精霊は水、土、氷、風、闇、聖、火です。

 神は元々龍神の次に力を持つ者で、現在は死神、太陽神が最上神ですね。
 妖精神は星、空、森、海が年齢順でございます。
 そして精霊は危険度や力の強さ、稀少さ、魔力の強さで順位をつけますと闇、聖、火、風、氷、土、水の順でございます。日常的に使われるものが弱い、と覚えていただけるとわかりやすいかも知れません」


 「へえ…………!」


 なんか、嫁が凄い。すごく賢いことを言っている。いや、アミィール様が頭のいいことを俺は知っているけれど、改めて実感させられた。知ると、更に知りたくなる。


 「神、妖精神と精霊の違いはなんなんだい?」


 「神は唯一神ですわ。本来死神のみが神だったのですが、太陽神は火の精霊を喰らって神に成り上がりました。

 妖精神と精霊はセットで考えます。2人で1つという扱いですね。妖精神は自然を司ります。そして、精霊はわたくし達の使う魔法を司ります。妖精神が居ることで自然が成り立ち、それをサポートしつつ人間に魔法提供するのが精霊の役目です。

 ですから、即物的なことを言うと妖精神がいないと自然は荒れてしまいます。精霊が居なくなってしまってはわたくし達は属性魔法を使えなくなります。

 闇の精霊は死神の補佐を行い、聖の精霊は神と同等の力を持つ聖女に従うので神は必要ない………ということです」



 「そうなのか…………」



 なんというか、とても深い世界なんだなと思った。ゲームの世界だから魔法が使える、妖精神が居ると思っていたが、それはこのユートピアを形成する物だったのだ。


 それはともかく…………俺達が会っていないのは死神と闇の精霊、空の妖精神と風の精霊ということになる。


 どちらもてんで何処にいるのかわからないな……………これも、アミィール様は知っているのだろうか?


 セオドアは手を動かしながら更に聞く。



 「空の妖精神や風の精霊、死神と闇の精霊は何処にいるのか、アミィール様は知っているのかい?」


 「ええ。空の妖精神と風の精霊は"天国にいちばん近い島"・ファーマメント王国、死神と闇の精霊は___"最果ての孤島"・ワールドエンドに」


 「ワールドエンド!?」


 「わっ!」



 セオドアは大声をだす。
 ワールドエンドをアミィール様も知っているのか!?アミィール様は黄金の瞳をぱちぱちと忙しなく動かしている。



 「ど、どうなさいました?セオ様?」


 「あ、いや、ファーマメント王国もワールドエンドという場所も、その、知らなくて…………」


 「ああ、そういうことですか………?
 たしかに、わからないと思いますわ。

 ファーマメント王国は空の上ですし、ワールドエンドは、このサクリファイス大帝国の地下の国ですし………授業や文献では学びませんの」


 アミィール様は戸惑いながら、言葉を紡ぐ。空の上!?空の上に国があるのか!?ワールドエンドの話も驚いたけど!この世界カオス過ぎないか!?



 グルグルと考えてしまうセオドアに、そ、とアミィールは触れる。


 「セオ様…………本当に、何がございましたのでしょうか………?何か、不安でもございますか?」


 「ぱぱ、不安?」


 「よわっちー」



 「あ、うう………」



 家族達に心配されている…………心配されているぞ俺…………これ、本当に2つの契約印が貰えるのか………俺…………?



 「セオ様、………わたくしに、どうか教えてくださいませ」


 「…………私は、アミィと、子供共にいるために、この国を詳しく知りたいだけ、だよ」


 「んっ」

 俺はアミィール様の頬に唇を落とした。
 ………本当だ、この呪いを解くためにはそれを知るしかない。俺は全てを守る為にこの世界の全てを知りたい。いや、知るんだ。




 セオドアは家族全員を抱き締めながら、気合いを入れ直した。







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