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第2章 水の精霊、海の妖精神と次期龍神
※現在の時点で甘い展開は期待しないで下さい
「……………………………はぁ」
ゴトゴトと揺れる馬車の中で私は膝を抱えて何度目かのため息を吐き出した。
乗った時はお姫様みたい!なんてはしゃいでたしフカフカのクッションを堪能してたけど、15日も乗り続けたら飽きるというもの。寧ろ身体が痛くて痛くて堪らない。某有名な悪役令嬢溺愛小説ではイケメン王子と二人の世界に入ってキスとか手を繋いだりとかそれはもう幸せそうで羨ましいなあなんて思って読んでたのを思い出す。
で、私も悪役令嬢じゃないけど婚約者(仮)で、イケメン皇子とひとつの馬車に乗ってる点では一応同じようなシチュエーションではあるにもかかわらず、そのイケメン皇子は触れるどころかゴミをみるような侮蔑の視線を向けているか、難しくて厚い本を読んでいるか、はたまた私を痛めつけるかで扱いは天と地の差です。
まあでもそれはいい。
別にこの紅銀頭の紅瞳が特別大好きあいらびゅーなわけではないので。私が絡まなければ痛めつけることも無いわけだし。
差し込む太陽の光を受けながらも心がどんより雨模様なのは___初日に聞かされた、この旅の"意味"を聞いたから。
どうやら私は妖精神を物理的に屈服させなければならないようなのです。龍神になる為にはそれは避けて通れない道で、修行らしい。外に出れた事で浮かれていたけど自由ではないということだ。
というか、"妖精の神"だよ?神様だよ?神様と戦うって何?というか神様ってなに?………あ、私も龍神でした。神ですねえ。でも気持ちは人間なんですよ。
神様VS人間!小説の展開ではなかなか面白いと思いますが現実で自分が戦うとなると全く面白くない。ベタベタなノリツッコミよりも面白くない。というかアトランティスに帰りたい。アトランティスでデロデロに甘やかされていた日常が恋しい。一生幽閉か神様と戦うかどちらかを選べと言われたら一生幽閉されるのも訳ないくらい嫌。
「…………………………………………そんな顔をしてもどうにもならんぞ」
「うぐ、………」
ラフェエルは静かに言った。読心術でも使えるんですかねえ彼は。契約しているせいですか?こんなに嬉しくない以心伝心は初めてです。
「____もう国境を超える」
「え?…………うわぁ!」
私は馬車の窓から顔を出して感嘆の声を上げる。紅と金_推察するにこの2つの色はサクリファイス大帝国の色なのだろう_に彩られた大きな門、そして、紅銀の結界に黒い龍が描かれている。思わず、見蕩れた。
「すっごい………………………」
「歴代の皇帝の全魔力を注いで作る代物だ。向こう側から見たらまた違う」
何その展開。王道悪役令嬢小説でもこんなシーンなかった?魔力で作った結界とか………現実世界も異世界も考えることは一緒?いや、もしかして、私が知らないだけでここは小説の世界だったりしない…………?
考えに耽っている間に通行の許可を得た。荷物検査を終えた馬車が動き出し、考えるのをやめて反対側の国境の門を見た。
「わぁ………………っ!」
青と水色のグラデーションの門を囲むように青く揺れ、波打つ結界。キラキラと輝く白い光が砂のように散らばっている。見ようによっては星空にも見える。幻想的だ。
「___ここが"世界一綺麗な海を持つ国"・シースクウェアだ」
「海!?見たい見たい見たい!」
「勝手に見ろ、ほら」
「わ、わ~~~!!」
遠目からだけど海が見えた。この世界で初の海。綺麗な青色が太陽に照らされて光ってるようにさえ見える。もう丸々知ってる展開だ。次は休憩がてら海に行こうとか、言ってくれるよね!?
期待を込めてラフェエルを見る。
ラフェエルは頬杖をついて嘲笑った。
「勿論、行かないぞ」
「………………」
……………某悪役令嬢溺愛小説にいくら似ていても、この大魔王ラフェエルがヒーローである限り甘い展開はないな、と確信したアルティアでした。
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