38 / 270
第2章 水の精霊、海の妖精神と次期龍神
規格外な次期龍神と爽やか王子
しおりを挟むベッドで自分の城のように寛ぐアルティアを見る。
……………今回の旅は、私の持ち物や馬車含め皇家の紋章の入った物、私の側近であるリーブ以外全てアルティアが作り出した物だ。アルティアのドレスから装飾品は自分が作り出したもの。物だけではない…………メイドや馬車引き、護衛等20人に及ぶ者共は全て"アルティアの人形"である。
どれもこれも完成度が高く、給仕は勿論戦闘も行う。道中何度も敵襲にあったが私が出るまでもなく片付けた。そして、アルティアの命令に忠実だ。
「甘い物が!食べたい!」
アルティアは突然そう言って起き上がる。するとふわり、と身体が浮いて目の前のソファに座った。机の上に置いてあるマドレーヌを口に含んで幸せな顔をしている。
…………子供すぎる性格や美しすぎる人間の見た目に目を瞑れば、かなり恐ろしい存在である。次期龍神、というのも納得せざるを得ない。人智を超えている存在ではある。
だが。
「マドレーヌうんまー!このマカロンも美味しいし、おかわり食べたい!ね、ラフェエル!ちょっとシースクウェア城の人におかわり貰っても___ぎゃぁぁぁあ!!!」
右目に力を込めて、罰を落とす。
……………やはり教育は必要だな、と蹲るアルティアを見ながら紅茶を飲み干した。
* * *
「サクリファイス大帝国の"龍神に認められし第1皇子"・ラフェエル殿とその婚約者・アルティア嬢をシースクウェアは歓迎しよう」
「ありがたき幸せ」
「ありがとうございます」
翌日、シースクウェア城の玉座の間にて国王様と王妃様に謁見した。………とはいえ殆ど話は聞いていなかった。理不尽大魔王・ラフェエルの巧みなコミュニケーション能力で淡々と挨拶を交わしただけ。私はラフェエルに従って礼儀をしっかり意識していただけだ。理不尽大魔王は若いのに中々の猛者で、話すのが上手いから頭が残念な私でもすんなり状況把握できた。あれ?なかなかに凄い奴なんじゃないこの人?
そんなことを思いながら、ラフェエルのエスコート付きで玉座の間を後にした。廊下を歩きながらこそ、と聞く。
「…………で、これからどうするの?お茶会?歓迎パーティ?世の中の婚約者ってどんなことするの?」
「………貴様は何をしにきたのか忘れたのか?挨拶を一通り済ませたらこちらの目的を達成するだけだろう」
「妖精神と戦うとかいうの?……………でも、どうしたら戦えるの?そもそも戦わないと行けないの?」
「それは______「ラフェエル皇子」……………!」
「……………?」
不意に、前から声がした。
見ると___キラキラと輝くような金髪、純度の高い青色の瞳の男。
王子だ、と思った。
見た目がね。見た目がもうThe!王子!って感じなのです。伝わります?白馬に乗っていそうな王子様系イケメン!
そのイケメンは姿勢よくゆっくり歩いてラフェエルの前に来た。
「久しぶりですね、ラフェエル皇子。お待ちしていました」
「………………クリスティド王子、久しいな」
え?知り合い?
1人だけ置き去りになっている私はどうすればいいのかわからなくて2人の顔を交互に見る。ふと、王子と目が合った。
王子は暫く私を見てからにこ、と笑った。
はうあ!なんだこのイケメン!爽やかな笑み!顔面が人間国宝!
「……………挨拶をする前に、場所を移動しましょう。ラフェエル皇子、よろしいですか?」
「……………構わない」
「ありがとうございます。では、こちらに」
クリスティド、と呼ばれた爽やかイケメンは先を歩き出す。ラフェエルもそれに合わせて私をエスコートしつつ歩き出した。
私は1人、よく分からないまま後に続いたのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
98
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる