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第2章 水の精霊、海の妖精神と次期龍神

爽やか王子の爆弾発言

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 「ぐぅ……………………………」





 海の妖精神と水の精霊の屈服の儀が終わると、あっという間に夜が来た。アルティアは部屋に着くなりすぐに寝た。今もぐっすり呑気に眠っている。腹を出して寝る姿はいつも通り色気の欠片もない。



 腹には、刻まれた青と藍の屈服印。


 私が攫われたのは誤算だったが、結果的に目的は達成されたのだ。蓋を開けたらたった一撃で、妖精神も精霊も屈服させたんだから大したものだ。



 だが______



 "死なせるのは、もったいないわ"



 海の妖精神が言っていた事が引っかかった。
 20歳で死ぬと決められていた。だが、俺は生きた。今も生きている。



 あの口ぶりから何かを知っているのは明白だった。俺が将来的に死ぬ?どうして?



 聞きたかったが、海の妖精神は知らん顔をしていた。…………屈服の儀も知らなかった私達が知る由もない、か。


 いや、まだだ。
 屈服の作業は始まったばかりだ。他の妖精神に聞けばいい。



 私の手の内には____最強の次期龍神が居るのだからな。





 「ふへ、ふへへへ………………」




 「………………………」




 寝ながら不気味に笑うアルティアを見て神の教養についても考えなければな、とも思った。
  






 *  *  *






 「明日からまた馬車か~…………………」





 私は部屋の窓縁に座りながら街を眺めていた。もちろん"街に行きたい"と言った。けれど、あの理不尽ラフェエルが聞いてくれるわけもなく。それどころか……………




 「観光に来てるわけじゃないんだ。神が下々の街に降り立つものではない」




 ……………なんて言いよった。
 その時のラフェエルは天狗もビックリの鼻の高さだった。普通さ、小説とかの皇子って凄く優しくてレディーファーストでイケメンでハイスペックじゃない?



 ちら、とラフェエルを見る。
 幻想的な紅銀の髪、ルビーの様な紅い瞳、整った顔、すらりとしてるのにちゃんと筋肉のついてる体躯……………………見た目だけはこんなにイケメンなのに…………イケメンなのにぃ…………………!



 やっぱり王子と言えば、クリスティドだよね。金髪青瞳、爽やかイケメン王子。一昨日初めて会ったばかりだけど濃い一日を一緒に過ごしたから少しばかり知ってる好感の持てる青年だった。ちょっとキザっぽいのがまた美味しい。声も素敵だったな___




 コンコン、とノック音が部屋に響いた。私は慌てて窓縁から降りて身だしなみを整えてソファに座る。その間0.5秒。記録更新だ。にやけそうな私に呆れたような視線を向けていたラフェエルがはいれ、と短く言う。他所の家でここまで威張れるのはある意味才能だ。



 ドアが開くと、そこにはクリスティドが居た。




 「ラフェエル、アルティア様、こんにちは」



 「ごきげんよう、クリスティド殿下」



 私はソファから立ち上がり仰々しくお辞儀をした。もう龍神だとバレているけれど、条件反射だ。クリスティドはにこ、と私に笑いかけた。ひゃー、やっぱりイケメン。



 「何しに来た、クリスティド」



 「明日経つと聞いたから、挨拶をしておこうと思ってね」



 「それにしては早いですね。明日はお見送り出来ないのでしょうか?」


 「いや、そうじゃないんだ。


 私も君達と一緒に旅に出ようと思ってね」



 「へ?」







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