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第2章 水の精霊、海の妖精神と次期龍神
爽やか王子 がパーティに加わった!▽
しおりを挟む「…………………………」
「………………………」
シースクウェア大国からヴァリアース大国に向かう馬車の中は、静寂に包まれていた。街を見てキャーキャー言おうと思っていたけどそんな気分にならなかった。理由は……………………
私はちら、と馬車の外を見た。
「お嬢様、窓から顔を出さないでくださいね。怪我をなさっては大変なので」
「……………………はあ」
そう言った護衛は____あろう事か爽やかイケメン王子のクリスティド・スフレ・アド・シースクウェア。このシースクウェア大国の第3王太子だ。その王太子は今やサクリファイス兵士の鎧を着て馬に跨っているのだから問題である。
どうしてこうなったのかは私が聞きたい。
昨日突然部屋に訪れて、"旅に同行させてくれ"と頭を下げてきたのだ。王位を継承する前に世界を知りたいのだと言っていた。勿論断ったのだ。私もラフェエルも。次期国王としての執務もあるはずだ。なにより、海の妖精神と水の精霊と契約をしているのは彼だけなのだから国許を離れるのはどうなの?と。
然し彼は引き下がらなかった。
自身の仕事は殆ど終わらせた、この国は伝達魔法に優れている故、出先でも出来る。自分は魔法も剣術も使えるから兵士として有能だと熱弁したのだ。
それでもラフェエルは首を縦に振らなかった。数時間の話し合いの末に海の妖精神・マリンと水の精霊・アクアを呼び出した。双子は顔を合わせてから『それはいい!』『いってらっしゃい』と言った。妖精神と精霊を味方につけたのだ。それだけに留まらず王子だと言うのがバレたらやばいから兵士の格好をしろだ王族には秘密だなんだとはしゃいだ。
で、とうとうラフェエルが折れて。同行することになった。両手に花ならぬ両手にイケメン王子という状況のわけだ。ドキドキ☆ハーレム感よりもハラハラ感の方が今のところ強い。というか落ち着けない。ラフェエルはともかく他所の王子に傷なんてつけてみろ、それはもう戦争にもなりかねない。
そして。
顔を出す度にその爽やかな顔で兵士のような事を言うのだから参る。それは私だけが感じている訳ではなく、ラフェエルが不機嫌な声で言う。
「……………一兵士が私の婚約者にちょっかいをかけるな」
「は、ラフェエル殿下。失礼いたしました。不肖クリスはリーブ殿に警備の心得を学んで参ります」
そう言って居なくなったクリスティドことクリス。彼の偽名だ。愛称を偽名に使うのもどうかと思う。
ラフェエルは堅物だと言っていたけど堅物じゃない。羽毛のように軽い。
「……………ねえ、本当にいいの?クリスティド連れてきちゃって」
「仕方ないだろう。連れて来なくても追いかけてくる。王族としての行動ではない」
「……………だよねえ」
初めてラフェエルと意見が合った気がする。王子に護衛を教えるラフェエルの側近・リーブが可哀想である。相手が王子で手を焼くだろうなあ、なんて思いながら本題へ。
「次は何処に行くの?」
「隣国のヴァリアース大国だ」
「何日かかる?」
「1ヶ月半」
「はぁ!?そんなにかかるの!?隣国でしょ!?」
思わず大きな声が出た。サクリファイス大帝国からシースクウェア大国に来た時の倍じゃない!ラフェエルは本を読みながら淡々と言う。
「ヴァリアース大国の王城はシースクウェア大国との国境からだいぶ離れている」
「なら私が龍に………それじゃだめか、空を飛んで行くのはどう!?絶対それより早く着く!」
「派手な行動は起こしたくない。表向きの私達は各国への挨拶回りだ。警戒されたくない」
「いやよ!1ヶ月半も馬車に揺られるなんて………ェッ!」
バチバチィ!と罰が落ちた。ラフェエルの右目にくっきりと黒い契約印が浮かび出ている。
「……………もう1発当たらないとわからないか?」
「………………もうちゃんと理解できました……………」
私は大人しく体育座りした。
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