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第8章 氷の精霊、星の妖精神と次期龍神
星の妖精神は笑う
しおりを挟む「………………………んん?」
私は首を傾げた。
目の前には_____紫色の、大きな結界。
もう夜が更けた。なのに部屋に戻ってこないラフェエル。
………………べ、別に心配したとかそういうんじゃないから!
ただフランとの一件_セイレーン皇国で起きた"ラフェエル誘拐事件"_みたいな事があったら面倒臭いなって思ったからだし!あの時と同じでラフェエルの契約印の気配がまったくないから!
…………………コホン、まあとにかく、そんなこんなで城中を歩き回ってラフェエルを探してたのだ。
で、玉座の間に来たら_____この結界が張ってあった。ご丁寧に中も見えなくなっている。妖精神の作り出す聖域壁によく似ている。
怪しいでしょ?とっても怪しい!
ってことでこじ開けてみようと思います!
「____ブレイク」
そう呟くと、簡単に亀裂が入った。
でも少しおかしい。ブレイクは中の下の解除魔法だ。森の妖精神・リーファの時は、リーファが弱っていたからこれで開けられたけど………………本来これだけでは開けられないはずだ。確認する為に使った魔法で壊れるなんて………………
_____もしかして、弱ってる?
そこまで考えたところで、パリン!と音を立てて結界が割れた。中にはやっぱりラフェエルと星の妖精神・ゼグスが居た。
「ラフェー!」
「………………アルティア、どうした?」
「どうしたってね、アンタを探してたに決まってるじゃない!
また攫われたかと思ったわ!」
「…………心配、してくれたのか?」
「____ッ!」
私は口を塞いだ。
今の言い方、我ながら心配してる風だった!
思わず出てしまった言葉に顔が熱くなる。私は見られないように顔を背けて怒鳴るように言葉を紡ぐ。
「そ、そんなわけないじゃない!ただ攫われたら助けに行くの面倒臭いなって思っただけだし!
あー!罰が落ちなくてせいせいするー!って満喫しながら散歩してたら?たまたま玉座に来てて?不思議な結界があったから壊してみただけだし!」
くぅぅ……………苦しすぎる、苦しすぎるぞこの言い訳……………!ラフェエルの顔が見れない…………!
そんなアルティアに、ゼグスはくすりと笑った。
『…………ふふ、随分愛されているんだね、ラフェエル』
「あッ…………愛してるとか……………!」
「……………………仮初の婚約者の延長だろう。こんな馬鹿で鈍感な女を好きになる私ではない」
「ンなっ!?」
なんつーツンケンした言い方!聞きました!?仮初の婚約者でも婚約者なんだからこんなこと言わなくても良くない!?絶対この男、女心が分かってない!イケメンの無駄遣い!
この理不尽クソ皇子め____
「あんぎゃぁぁぁぁ!」
そこまで考えたところで黒い雷、もとい罰が落ちる。私はその場に倒れ込んだ。
ラフェエルは腕を組みながら、見下ろす。
「また理不尽だとか考えただろう?」
「考えただけで雷を落とすのはどうかと思います……………」
『ぷっ…………あはははっ!』
ゼグスは爆笑している。
いや、笑ってますけどこのクソ皇子貴方の子孫なんですよね?怒ったりしないんですか?いたいけな少女が目の前でいじめられてるんですよ?これ滅茶苦茶痛いんですからね?
『ふふっ、ごめんごめん、いや、確かに私の子孫ではあるんだけどね、あまりに仲がいいから邪魔しちゃ悪いなぁ、………ふふふ』
未だに笑いを堪えているゼグス。
ラフェエルと同じ顔なのに性格全然違うやん……………額の傷と金色の瞳以外もろラフェエルだからラフェエルが爆笑したらこんな顔なのか………………
まあ、このラフェエルが腹を抱えて笑う姿なんて鳥肌ものだけど。
私は取り敢えず立ち上がった。
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