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第9章 次期龍神達の"防衛戦"

生贄皇子×黒騎士

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 アイスバーン・南地区。




 「ば、化け物…………っぎゃぁぁぁ!」


 「数でおさえろ!その間に俺は____ッ!」



 「逃がすと思うか?」



 ラフェエルは言い終わる前に男を切り捨てた。クリスティドのように踊るように……………ではなく、獣のように暴れ回る。様々な魔法をかまし、剣で首を的確に落とし、剣を防がれればもう片手の短刀で動脈を切る。どれも凌いでも絶妙なバランスで体術を組み込まれて拘束され、また殺す。




 たった1人でもう2万は殺している。14から戦場の前線に出ていた知識と経験が見事に生かされている、人を殺す為に生まれたような振る舞いだ。



 しかも。



 ラフェエルは片手の短剣で目の前の男の首を貫きながら、振り返る。





 「こいつ、攻撃が通らないぞ!」


 「ど、どうかお助け___ぐふぅっ!」


 「やだぁぁぁぁぁ、しにたくなぃぃぃぃぃ…………!」




 アルティアの黒騎士が暴れ回っている。剣を振るおうが魔法を当てられようがビクともしない。泣き崩れる兵士達を無情に殺す殺人マシーンだ。



 ______やはり、アルティアの力は凄いな。こんなアンデッドが攻めてきたらたまったもんじゃない。私でさえどうしたらコレに勝てるかわからない。



 でもやってみたい気持もある。今度鍛錬の時に出してもらうのも一興だろう。




 そんな呑気なことを考えながら、やっぱり殺し続ける。



 全身に血を浴びながらもなお紅銀の髪は美しく、紅い瞳は冷たい。



 _____この戦いが終わったら自国とこの国で交友を深める為の書簡を記そう。亜人達を痛めつけない程度に調べ、会話でその生態を調べる。繁殖するのであれば、繁殖させ、再び数を増やすのもいい。


 しかし、その時に私はいない。それが少し残念だな。


 ヤイバルは無能だからこのような馬鹿なことをやりかねない。そうなったら、龍神になったアルティアに任せるとするか……………




 「ひ、ひぃ、あ、あの、貴方、サクリファイス大帝国の者だろう?いや、ですよね!私、セイレーン皇国のそばのミシシッピ国のものなんですが!王族です!お金はいくらでも積ませて頂くので命だけは_____」




 「ゴミが喋るな」



 「_____!」




 ラフェエルは躊躇なく首をはねた。
 赤黒い血が舞う中、頭上の結界に微かなヒビが入っているのにも気づかずに_____








 *  *  *









 「うへぇ~疲れましたぁ~今何時間経ちました~?」




 「言わないで!言っちゃダメよ!ダーインスレイヴ!だめだからね!」





 その頃、アイスバーン城、玉座の間。
 もう半べそ状態で、美少女だと思わせない不細工な顔をしたフランと、血走った目をしたこれまた美少女にあるまじき顔をしたアルティアがダーインスレイヴを見る。

 ダーインスレイヴはにっこり笑って答えた。


 「今やっと1時間だね」


 「まだ!1時間!あと1時間もあるぅうう!」


 「あぁぁ、知りたくなかったぁぁ!」




 絶望する2人の手には星の妖精神・ゼグスの手があった。アルティアは黒の魔力を、フランは白の魔力を注いでいるのだ。



 1時間もかけてやっているのに一向に目を覚まさないゼグス。余程魔力が枯渇していたのだろう、すやすやと寝ている。


 アルティアはそれを見ながら溜息を漏らした。




 疲れた。寝たい。ベッドでゴロゴロしたい。ノリと勢いとガロで正義の味方する!って言ったけど、こんなことならやらなきゃ良かった。



 魔力はまだある。けれどもお忘れだろうか?私は今、3つの魔法を同時進行で使っているのだ。










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