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第9章 次期龍神達の"防衛戦"
次期龍神は絶不調
しおりを挟むさて、おさらいしてみましょう。
『秘術・目覚めて』
今やってる秘術だね。星の妖精神に魔力を送ってる。正直これが1番しんどい。これのせいで殆ど外の状態がわからない。多分、ほかの魔法が強制解除されたとしても気づけないんじゃない?ってくらい意識が飛びそうになってます。
『呪術・私を守る騎士』
本来私の手足となるアンデッド製の騎士だ。今はラフェエルに貸している。中~上くらいの力は持っているから、大抵の事は大丈夫だと思う。
『防御魔法・全遮断』
この国にかけた時間稼ぎの防御魔法だ。妖精神や精霊が攻め込んできたらわかんないけど、人間くらいなら解けないだろう中位の魔法だ。
いくら魔力_正確には魔力もどきなんだけど_を持っているからって放出し続けて楽なわけがない。例えば、私の頭の中からドーム上の結界の存在を忘れたら、外の結界は解除されてしまう。呪術だって、何かあった時のために意識疎通はしておかないとラフェエルを攻撃してしまうかもしれない。
そして、今やってる魔力を注ぎ込むのだって匙加減を間違えたら死ぬかもしれない、とダーインスレイヴに脅されているんだよ?
もう無理、詰んでる。
「あーーーー疲れたーーーカーバンクルにやらせちゃだめー?」
「ダメに決まってるでしょ!ヒロインなら根性見せなさいよ!」
「私はモブだもん……………ヒロインはアルティア先輩だもん………………最近聖女らしいことしてないから力が~…………」
………………と、3つの魔法を同時に使っている私の目の前でこんなことを言ってる聖女をとてつもなく殴りたい。いや、今手が空いてたら殴ってた。それはもうボコボコにしてた。
なんて………………冗談も言う余裕すらない。何が次期龍神よ………………もやしすぎるだろ私…………………
『頑張れ~なるはやで頼む~』
……………ついでに、ゼグスの足元でゴロゴロしているこのふざけた氷の精霊・シヴァも殴りたい。なんなんだこの精霊。国の一大事ならアンタも戦いに出なさいよ。さっきの態度はどうしたの?
「あ、…………」
「アルティア!」
「はうっ!」
少し気が抜けて黒の光の魔力が揺れる。ダーインスレイヴに言われてすぐさま気を引き締めた。
危ない、本当に意識飛びそうになった。
本当に少しでいい、力の湧く何かがあれば______?
「……!」
「え!?」
「これは…………」
『なんだこれ!?』
そう思った瞬間、ぶわ、と赤い光が舞った。私とダーインスレイヴ以外目を見開く。
これは_______
* * *
少し時を遡って。
アイスバーン・東地区。
「うぅ…………ありがたや、ありがたや…………」
「ええ、気になさらないでくださいまし」
避難所の中、緑のフードを被った眼鏡の女・エリアスは亜人達を治癒魔法で癒していた。これだけの大きな敵襲の中、怪我人がいないわけがなく。沢山の人が怪我をしていた。
ここにいた人だけじゃない。リーブ様やガロ様が転移魔法_アルティア様の防御魔法内のみで有効という条件で使えるのだが_で怪我人を転送して貰っているから、避難所はパンパンになっていた。
それを1人で行っていたら魔力が無くなるのでは?と心配していたが、外でクリスティド様と共に戦っている幻獣達のおかげで魔力が自然と回復する。
私の幻獣はみんな優しくて、攻撃や効果を齎した方の魔力を頂けるのです。
でも。
………………アルティア様が、心配です。
沢山の魔力を使ってらっしゃる上に同時進行で別の魔法も使ってらっしゃるので、制御が難しいはず……………!
そう思って上を見上げた時____僅かに防御魔法が歪んでいるのが見えた。
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